1枚の写真を10000人で見たら世界が平和になった
最高の記事だった。デイリーポータルやっぱり天才。
ああ。ああ。1枚の写真だよ? ふつうの横断歩道があって、車が止まってて、うしろにビルが並んでてってただそれだけ。
なのに、なのに。
ある人は車がよく見えて、ある人は地面のマンホールを見ている。街路樹の区別ができる人もいれば、建物の名前がわかる人も、そこについてるアンテナも、仕上げの「中低層アルミカーテンウォール」とかさそんなパーツが見える人も。
環世界じゃん。
この本、たぶんおもしろい。
「環世界研究会」なる5名のメンバーとその周辺の人たち総勢20名くらいが寄稿している寄せ植えのような本。
ドミニクチェンさんみたいな情報学研究者から、『目の見えない人は世界をどう見ているか』の伊藤亜紗さんとか、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんとかの、「環世界」にまつわる環世界が、広がって、いるのだと、思う。
いや、私には到底まだわからないのだ。「横断歩道がある」くらいの精度でしか読めてない。マダニ並みの世界観。
でも、蝶にも鳥にもイノシシにもなってみたいと思うマダニだから、わかんない本も読むのだ(と開き直る)
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あの写真に、いろんな人が名前を書き込んでいくプロセスが面白いのって、自分の知らない「環世界」を見せてくれるからじゃない。
人はそれぞれ見てる世界が違うというのは、「わかりあえないよね」って文脈で語られることが多いけど、それだけじゃないね。あの記事のように世界をよりカラフルにしていくのも、多様な環世界があればこそだ。
あの記事に登場した車族の人とアンテナ族の人、話はあわないと思うのね。
「トヨタハイエース4形DXがあったよね」
「そんなのありました? VHFオールチャンネル型12素子共同受信用高性能アンテナならわかりますが」
見てるものが違うとき、話にならんやんけって対話を打ち切るのは簡単だ。けどあの記事に感動するのは、「みんなちがってみんないい」のユートピアがそこにあったからじゃない。
「あなたはそんな世界に住んでるのね!もっと教えて!」
平和ってこれじゃないかね。
うめざわ
*鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。