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《転載》 そろそろ放電タイムです!

※この記事は、2016年に以前のアカウント「まいにちアスパーガール!」で掲載した記事からの転載です。


わたしたちには静かな場所でのひとりの時間が必要です。

情報のコントロールが苦手なわたしたちは、不要な情報も受け取ってしまう体質のため、『ひとといること』それだけで過剰なエネルギーを受け取ってしまいます。

『ひと』はもちろん、『音』『光』『匂い』『振動』いろいろなものに、日々絶え間なく振り回されているのです。

それらが渦巻いた雑踏のなか、つまり都市のなかで過ごすことは、常に莫大な負荷を抱えて生活していることと同じで、スイカ割りをするかのように、ぐらぐらする世界を必死に歩いている状態です。

それはただ、気になる程度のレベルではありません。時に、発狂したくなるほどのものであったり、めまい、吐き気をもよおし、その場にしゃがみこんでしまうことがあるほどなのです。

図書館が動物園に感じる。

日常生活をおくるだけで、わたしたちの感覚過敏をおそってくる脅威はたくさんあります。
一般的に図書館は静かで落ち着く場所として捉えられがちですが、わたしたちにとっては拷問の場所でもありえるのです。

たとえば、蛍光灯のチカチカする音、光、電子の移動の騒々しさ。
たとえば、換気扇の「ゴー!ゴー!」となる音。エアコンや室外機の音。
たとえば、人々の足音や、椅子を「キーッ」と引く音。
たとえば、隣の席の人のページをめくる音、消しゴムの音、ボールペンをカチカチする音、貧乏ゆすりの動作。
本を確認するときの「ピ!ピ!」という音。

すべてが同じボリュームで、わたしの身体に襲い掛かってきます。

生身の身体で行ったとしたら、到底、安心して、集中して本を読める場所ではないのです。

感覚のオーバーロード

感覚処理能力の低さのため、一度に多くの情報を受け取ることを嫌います。

・本がぎっしり並んだ本棚。
・ものがいっぱいつまったクローゼット。
・大型家電量販店。
・満員電車。

これらは、わたしたちの呼吸を浅くします。
ずっと見ていると息ができないような気分になるのです。

わたしの場合、特に電車の中は大変です。
乗っている人々、それぞれの匂い、服装、オーラ、さらには人生まで受け取ってしまうのです。
モノよりも人は多くの情報を抱えています。
情報処理しきれず、もどしてしまったり、途中下車を余儀なくされたことも多くありました。

まさに感覚のオーバーロード食べ過ぎて吐きそうという状態なのです。

なにも感じなくていいという幸せ。

働きすぎたり、がんばりすぎたりしたときに、次頑張るためのエネルギーチャージをすることを充電するってよく言うと思うんです。

でも、多くのアスパーガールの場合、『放電』って言葉の方がしっくりくるんじゃないかなあ〜ってわたしは思っています。

「これ以上、入らないよ!」って状態だから。

パンパンになってしまった情報や、まわりから受け取ってしまったエネルギーを身体の外に出す作業が必要なのです。
常に何かを感じ取ってしまうわたしたちには、
「何も感じなくていい場所・状況」が必要です。

たとえ、家族であっても、その神聖な場は汚しちゃだめなのです。
ひとりになる権利を奪ってしまってはだめなのです。

暗い押入れと明るい広場に安らぎがある。

わたしの放電スポットは、主に、暗い押入れの中と、明るい広場です。
広場はできる限り人は少なく、自然が多くあるのが理想です。

日常的に、あ、溜まってきているぞ。と思ったら、広い公園に仰向けに寝転んで、雲の流れゆくのだけに集中し、風と虫と鳥の声だけを聴きます。
時間がないときは、外に出て、深呼吸を5回ほどするだけでも違います。
自然はいつもわたしの味方です。
人工音はいつもわたしを攻撃しますが、自然の音はいつもわたしに寄り添ってくれるのです。

週末には、職場のある都市をはなれ、田舎へ帰ります。
人工音が激減します。
田んぼと山と川と美しい星空があります。
週に1度は、その環境に戻らないと息がつまりそうになるのです。

暗い押入れの中に閉じこもるのは、たいていメルトダウンが起きたときです。
感覚のオーバーロードがいきすぎたとき、わたしは発狂してしまいます。
泣き叫び、暴れ、自分をコントロールできなくなるのです。
真っ暗な押入れの中に、短い時は1時間、長い時は一晩いると、次第に精神が和らいでいくのを感じ、自分の鼓動と呼吸の音に集中できるようになります。

一般的には、理解がされづらいことかもしれませんが、わたしはこうして自分の感覚のオーバーロードをコントロールする場所と時間が必要なのです。

お助けアイテム

アスペルガーの自覚症状がないころから使っていたものから、
自覚してから使い始めたものまで、わたしの感覚過敏抑制アイテムを紹介します。

キャップ、ワークキャップ
光の刺激を和らげてくれるものです。

耳当て付きニット帽
音の刺激を和らげてくれるものです。また周辺世界と一定の距離を保てるので、集中力を維持することに有効です。

サングラス
拡散光が強く、輝度の高い、曇りの日には必携です。

イヤホン
人混みの中を歩くには、欠かせませんでした。

ノイズキャンセリングイヤホン型耳栓
人の声は聞こえるまま、設備環境音が驚くほどなくなり、ストレスがずいぶん減りました。

スマートフォンのハンズフリー機能
受話器に耳を当てて、耳に直接聞こえる電子音化された人の声が、耳が痛くて苦手でしたが、ハンズフリーのおかけで、耳への不快感なく電話できるようになりました。

自分が安心できる環境を整えるということ。

高度に情報化され、物が溢れた現代は、感覚処理能力に問題があるわたしたちにとっては、とても怖い世界です。
だからこそ、いかに自分が安心できる環境をまわりに整えるか。
自分が安心できるようなアイテムをうまく使っていくかが大事だと思います。

そして、感覚処理障害のないひとたちにもわかってもらえるように、つたえていくのも、当事者であるわたしたちの責務だと思っています。

伝えることをあきらめて、世界の不満ばかり言うのは、ちがうと思うのです。

過剰に受け取れるメリットもある!

そして、感覚過敏をわるいことばかりだと思い込まないことです。
不要な情報もたくさんキャッチしてしまいますが、
ステキなものを、よりステキに感じれる力もわたしたちはもっています。

すばらしいものに出逢い、感激して全身が震え、涙を流した経験も幾度となくあります。
一般的なひとでは気が付かないような変化に気付き、繊細なものごとに配慮することができます。

持って生まれたこの能力と、ベストな付き合い方をさがしていくのが、わたしの希望です。

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