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原稿用紙10枚書く力を読んだよ

 「書いては考え、考えては書く。これが本当の『頭のよさ』と、生きるうえでの『カシコイやり方』を知ることにつながる!」

 今回は、斎藤 孝著『原稿用紙10枚書く力 増補新装版』を読んだ感想をつらつらと述べていく。

 冒頭の文章は背表紙からお借りしたもので、書くことと考えることは密接に繋がっていることと、考えて生きていくことがいかに重要であるかという問いが一文に凝縮されている。この本を読みながら大事だと思ったところや、今後実践していきたいと考えた事について注意深く書き写しておいた。そして、その今後も実践していきたいことの一つがこのように読んだ書物の感想文を書き、それをnoteに掲載していくという事だ。

 本書全体を通してやはり書くという事は考えて生きるという事を大きく支えうるという事が述べられている。確かに、自分で文章を構成して書くという事はすなわち自分の考えを構成するという事に直結する。自分の考えというものはかなり複雑で、多くの感情や事実が乱雑にそして大きさや姿形を変えてあちこちに現れているように思う。それらについて文章構成能力を使って整理することによってよりクリアに自分の考えをまとめることができるようになるという本書の論展開にかなり共感した。

そうすることによって自分の心に従い自分で選んで生きる事の出来る人間になれると私は思うのだ。

そう考えたことの発端は、私が散歩中に聞き流していた話に由来する。先日アランというフランスの哲学者が『幸福論』で述べていたことを簡略化して紹介する、とある媒体の放送を歩きながら聞き流していた。その時に、人間には自分で選んで自分で生きる人と、周り環境や周りの人や物の言いなりの奴隷になって、なんでもかんでも人のせいにして生きていく人の二つのタイプに分かれるとかなんだとか言っていたことを思い出した。これを聞いてこの前者を目指していきたいなと感じた私にとって、それでは自分で考えて自分で選んで生きていくためにはどのようなことを具体的に行えば良いのかと考えた矢先、今回の読書で試してみたい答えが出てしまった。そう、書けばいいのだと。

それでは今回の感想文だが、ちょっと特殊ではあるが今回の感想対象はどのように書いていくかを教えてくれた本なのでこう教えられたのでこのように試しますという事を示していきたい。

それは、三つキーコンセプトを挙げてそれについて述べるといことだ。本書によると、人が面白いと思うところはそれまで頭の中でつながっていなかったものがつながるときだという。落語の三題噺というものがある。客から三つのテーマを募りその場でそれらをつなげで一つの噺を作るというものだ。即興で三つのテーマをつなげてさらに落語として笑いにもつなげる、なんて高度な技なのだと読みながら感銘を受けた。ほかにも三つのことの有用性や、三つという要素の持つまとまり力や面白さを引き出す力について深く述べられていた。それらを参考にすることと、私自身三つ挙げて述べることがまず簡単で始められそうだと感じたため早速本書を読んで特に心に残った三つのことについて述べていく。

私が面白くてみんなに伝えたいと思った要素を見返してみたがなんとすべてが第三章で述べられている事だった。ズバリ「文体=生命力=パッション」「取捨選択の過程をとらえる」「日記の有用性と書くことの内圧を高める」である。

一つ目は、「文体=生命力=パッション」という話だ。順を追って説明すると文体は文章構築力の上に成り立つものであるが、そもそも何かを読んでもらおうと思って書く場合に自分の立ち位置を意識することによって文章における個性のようなもの、つまるところの文体という物が現れてくるといことである。

 また、自分の世間との距離やとうのような立場で誰に対して書いた文章なのかを明確に意識することで文体は違ってくるものであるとも述べられている。パッションとか生命力とかとりあえずそのようなものが欲しいので私はこの話に一番に飛びついたように感じる。欲しいというよりは自分の中にある青い炎をどのようにかして表現してみたいものだし、その方法やそれに対する考え方に触れることができる気がして勝手に字面で心が躍ってしまったのだ。

 とまあ、感覚で文章に飛びついている節があるのだが、よくよく読んでみるととても重要な章の幕開けでもあった。

 「読み手が『いい文章だな』と思うのは、技術的に優れた文章というよりも、書き手の体温が伝わってくるような文章です」

 これは本文の欄外コラムのようなものから抜粋したものだが、文体の重要性が人文に詰まっていると察知した。音読をすることで文章の体温を感じやすくしたり、ただたくさん書くのではなく、同時によい文章を読んだりすることで修練を積むことが大切だと著者は伝えている。

 私は早速本文で取り上げられている、トルストイの『戦争と平和』を図書館で借りて読み始めた。正確には把握してないが文庫本で6巻くらいあったので正直読み終わるまでどれくらいの時間がかかるのか定かではない。現在第一巻の百五〇ページほど読み終えたところだが、今のところ多くの特徴的な登場人物やそれらの人々や時代の背景についての描写が素晴らしいことは深く感じた。これからもお勉強がてら読み進めていく所存。

 また、文体に関するトレーニングについて自分が好きだと思う作家の作品を毎日読むというものも紹介されていた。学生など時間がある人は特に試すべきだと。今は学生じゃないけれど、好きな作家さんが今後出てきたら毎日文体に触れるという事をしていきたい。それから、学生時代、かれこれ2~3年間ほどだが、ヘルマン・ヘッセのことが大好きな日々があった。かなり長い期間ヘッセにハマっていいたのだがその日々に繰り返し彼の文書を読んだりしていて純粋に楽しかったし何より心が安定していたような気がすることをふと思い出した。それはヘッセという作家の生命力をきちんと受け取り続けていた証なのかなとも。今後も再読して、彼の生命力に触れていきたいと思ったりもした。生命力を受け取るだけで他には何もないけれども、逆手にとって生命力を他者へ分配できるような人はかなりすごいのではと感じた。

二つ目は、文体のオリジナリティを出していく段階で自分が何か取捨選択した際の過程…いわゆるその際に生じた心の機微というものを書くという事だ。三つのキーコンセプトを見つけることが文章を書く際で重要なことであると本書では述べられているが、三つ選ぶという事は必ず取捨選択がなされているという事になる。しかもその取捨選択のために脳は高速で思考している。その取捨選択の過程を書くことで思考のスピードを一旦落としてもう一度考え直し自分の考えをさらに深堀していくというものである。思考のスピードを下げることで新たな自分の考えにであうことができたり、自分の本当の考えや思い思考の癖などに気が付いたりすることができると述べられている。

早速、今回の10枚作文の中で本を読んで三つのキーコンセプト『文体』『思考の過程』『日記』を、どのような過程を経て選んだのかという事を考えていきたい。書物には細かい要素だと沢山のものが組み込まれていると思う。そのため、今回は私が本書を読みながら特に大事だと思いメモをしたものの中から取捨選択したものについて解説する。まず、本書で散々に述べられている文章構成の仕方について、多くをメモしてあるし、そのうちのどれかを選ぶこともできたがその点を選ばなかった理由は文章の構成については実際に、文章を作ることでその都度メモを見返して自分のものにしていこうと考えていたため、わざわざ記述をしてかみ砕く必要がないと考えたためである。また、文章構成のためのトレーニング方法についても多くのメモを残した。この点についてもやはり文章にすると淡々とやり方を説明するだけになってしまい、まだかみ砕ける状況にないと判断したため省いた。ここまでキーコンセプトの取捨選択の理由を考えたところで、私の中で文章にするという行為がどのような意味を持っているか少しだけ見えた。それは、文章にするということはすなわち物事をかみ砕いて理解しようとする試みであるという事だ。

 少しだけ、取捨選択の過程を振り返ってみたがかなり自分に関心の向く文章になるため、日記など自分に向けて文章を書く際に行うとかなり自分と向き合えるという事がよくわかる。

 実際には、この取捨選択の過程を自分の中で分析しさらにそれを受け取り手にどう伝えるかという事を工夫し、それらに受け取り手が触発されることでオリジナリティが生まれていく。その点でも、自分の感覚や取捨選択の過程をまずは素直に書き写すという行為が重要であるとこの流れを通して感じたのである。

そこで、三つ目の『日記と内圧』である。本書では日記について、「自分のことを話したいパワー」を活用してうまく「書く力」に転化させる方法であると述べている。確かに、日記を書く段階で自分の話したいよくというものを満たしていくと、外の世界や他人と関わる時により外の世界や他人に関心が向くため、自己に刺さった些末な外部の事や受け取り方や相手を観察して分析したりする機会が増えるだろう。すると、また、その外部から刺激を受けた自分の感性や外部について観察して得られた個人の知見などを文章として構成し、表現することでオリジナリティや生命力を産むきっかけになりうると思う。日記が、書く力を底上げするだけでなく日記が習慣とサイクルを作り出すと確信した。心がざわついたとき、今日が終わってほしくないほど楽しかった時、寝っ転がってスマートフォンで動画やSNSを見る前に日記を書きたいと思いはする。うん、思ってはいるがこれが中々難しい。私は高校生の時代からスマホを持っているし、もう日々の生活に組み込まれてしまっている。この無駄をどうにか省くためにも日々このような有益な情報に触れた際に時間を取ってかみ砕いて自分の中に着実に落とし込んでいきたい。

 

 

今後、このnoteでかみ砕いていく予定だ。

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