フォロワーさまのツイートを眺めていてふと空想した、ある3日間のカゲとヒカリの物語。
登場する人以外の場面は、もしかするとそんな事が本当にあったかも。そして人のシーンは全て実話です。
このお話は、フォローしてくださっている ルーチェ🐈ともこさんの2020年2月6日のツイートを拝見して、ずっと眺めているうちに、その後に起きた事も考え合わせると、「もしかすると、こういう事が起きたのかも‥」と、どんどん空想が膨らみ、とまらなくなって、ついつい書き留めたものです。
お話の中で、ともこさんのツイートにあった素敵なセリフとせんたくもの(笑)を、ちょっとお借りしました。
書き終えた時に、いつのまにかルーチェ🐈ともこさん&ご主人の摩耶仙人さんお二人の、これからのヒカリに満ちた時間を自然にイメージできて、これを贈りたくなりました。ぜひ、皆さんにも読んでいただいて、お二人のツイッターを訪れてみてはいかがでしょうか。すてきなご夫婦です。
ルーチェ🐈ともこさんと同じように、時にはつらい状態に耐える一日があったり、でもそんな時でも美しいものを感じる心を持っていたい、そんな方に読んでいただきたいです。そして今日と明日と明後日はそんなに変わらないかも、というキモチになりかけている方にも、このお話を贈ります。
ぜひ、2020年2月6日のルーチェ🐈ともこさんの、次の2つのツイートをご覧になってから、お読みくださいませ。
=================================
【 カゲのちヒカリ 】
「せんたくものもなんだかカワイイ」
小さく声が聞こえた気がしました。
ベランダで、そよぐ風に揺れながらおしゃべりをしていた、
せんたくものの靴下たちの1本が、はっとなって揺れるのを止めました。
「いま、あの人がワタシたちのこと、カワイイって!」
「だれ?」
隣のせんたくバサミに揺れている柄の違う靴下がたずねました。
「カーテンの向こう。いつもワタシたちを履いてくれてる人。」
そう言って、そよ風にちょっと助けてもらってつま先で部屋の方を指しました。
「え?だってあの人、今日とっても疲れてるのよ。ほら、横になって休んでるでしょ?
ワタシに聞こえないのにアナタにだけ聞こえるはずないでしょ。ねぇ。」
1つ空けた向こうに揺れているもう片方の靴下が、柄の違う靴下に同調をもとめました。
柄の違う靴下は、間にはさまれてとまどうように、
せんたくバサミの下で1回転して、もう一度たずねました。
「本当に聞こえたの?心の声じゃなくって?」
「そうかもしれない。ほら、耳をすませば聞こえるかも。」
3本の靴下は、そろって履き口を部屋の方へ向けました。
そばで、そのおしゃべりを聞いていたそよ風も、
邪魔をしないようにそよぐのをやめて耳をすませました。
「ね!」「ほんとだ。」
「あの人、今日いつもより身体すごくきついはず。なのにワタシたちのこと。。」
「本当だねぇ。」
靴下たちとそよ風は、女の人の心の声がきこえるのです。
「ねぇ!そよ風さん!」
そよ風は、急に声をかけられて、びっくりして後ずさりしました。
その風で、おしゃべりをよそにお昼寝中の、柄の違うもう片方の靴下が
ちょっとだけ揺れました。
「な、なんだい?」
「お願いがあるのよ。」
3本の靴下はからまるように、そよ風とヒソヒソ話を始めました。
一通り聞き終えたそよ風は、まだお昼寝中の靴下の揺れを止めてあげながら、
「よし、わかった!」
と言い終わるやいなや、ひふゅーーっと、青空に向かって吹いてゆきました。
超特急で吹いていったそよ風を見送りながら靴下たちは、
乾いて取り込んでもらったら、女の人の足元をもっとあたためてあげようと思いました。
「くもさぁーーん!」
そよ風が、突風のように猛スピードで飛び込んできたので、
雲の真ん中が作りかけの綿菓子のようにほどけてくずれました。
「落ち着いて。どうなさった。」
そよ風は、ふぅふぅと風をきらしながら、わけを話しました。
そして、そよ風は空気の振動を利用して、女の人の声を真似しました。
「おお、その声ならさっき私も聞こえたよ。」「本当ですか?」
「ああ、まあ、今日みたいな日は、青空とのコントラストも良いから、ほめ言葉が下の方から、たくさん聞こえるんだがね。
ちょっと元気がなさそうに感じたが、それでもほめてくれたから覚えてるよ。たしか…」
「あおぞらにくももキレイだなあ」
「…と、こう言ってくれてたね。疲れてるだろうに、嬉しいものだね。
なあ、青空さん。」
と言って見上げましたが、青空は何も答えませんでした。
雲もそれをわかっているようでした。
「そよ風君、君とその靴下さんたちの言いたいことはわかった。
ちょうどよかった。
このところ、たまにこの街の上を通る時にね、少し気になっていた子がいるんだよ。」
そう言って雲は、なにかを確認するように街の上を少しだけ向こうに移動して行きました。
3日がたちました。
その子の耳にだけ、どこからか声が聞こえました。
「私は日頃、この街にカゲを作ってるんだがね。
君にだけは、ヒカリをあげようと思うんだよ。
もう待たなくていいんだよ。
今までよくがんばったね。」
小さなあずきくらいだった肉球は、ずっと待っているあいだに、いつのまにかもう、
そこにいる他の仲間たちより、大きくなっていました。
声に教えられた通りに、いつもより注意深く待ちました。
その人はすぐにわかりました。
見つけるつもりが、見つけられたように感じたからです。
目と目があって、しばらく見つめあっていると、
すぐに教えられた細かいことは忘れて、
なにもかもその女の人に預けたくなっていました。
その人に連れられお引越しをして、
初めて見るその場所を探検しながら、
ねこは考えていました。
あの声が教えてくれたヒカリってなんだろう?
この場所に落ちてるのかな、食べものかな?
そして探検するうちに、
その女の人とその人に優しい男の人が寄りかかっているソファーの上の方の、
ちょっと窓に近い場所が気になりました。
なんとなくちょうどよくヒカリに近いような気がして、
あの声がすぐにまた届いて、
約束のヒカリをもらえそうな気がしたからです。
とりあえず、しばらくそこをお気に入りの場所にすることにしました。
でも、きっともうあの声は届かないでしょう。
これからヒカリをくれる人は、もうそばにいますから。
そして、その人はもうひとつ、「なまえ」というものをくれました。
それをくれた人の声が、
あのヒソヒソ話の日より元気になっていることを、
ねこは知りません。
でも、靴下たちは知っています。
あ、いま、また、その人に「なまえ」を呼ばれましたよ。
LUCE ルーチェ。
あなたもヒカリ。
=====================
おわりまで読んでくださり、ありがとうございます。
ぜひ、ルーチェ🐈ともこさんの、その後のツイートもお読みになってください。
umepink