「苦味」魚座と味覚
春は苦みのあるものを食べると良いと聞く、
苦味には冬の身体を春の身体に変える、リセット効果があり
冬眠から目覚めた熊などの動物たちも、まずは苦みのある春野菜を食べるらしい。
子供の頃、春、この季節、食卓には必ず「フキノトウ」の料理があり、
大人たちは「美味しい美味しい」と食べていたけど、私にはただ苦くて、独特な香りがして、その美味しさがまったくわからなかった。
けれど、いつ頃かも覚えていないけど、気が付けば、春になる度に
「そろそろフキノトウが食べたいな~、信州に帰りたいな~」と思うようになっていた。今年もまた、そんな季節になった。
反対に、あんなに大好きだった「すっぱいもの」が以前のように食べられなくなってしまった。夏みかんや八朔なんて大好物だったのに、「すっぱさ」を想像しただけで…お口の中にじゅわ~っとひろがる唾液だけで充分である。
味覚の感じ方は変化している。年齢によって欲するものも変わってきている。
10歳の息子は柑橘系、とくにみかんが大好きだ。
高校生の娘は食べ物に困ってしまうくらい好き嫌いが激しくて心配だったけど
だいぶいろんな「味覚」にチャレンジできるようになった。最近は
タイ料理やベトナム料理にも付き合ってくれるようになり母はうれしい。
けれども、まだ「苦味」は受け付けないようで、スタバのキャラメルマキアートやカフェモカでさえ苦くて飲めない。
「コーヒーが飲めるようになる気がまったくしない、多分一生無理!」
とか言っている。
私はいつから甘くないコーヒーが飲めるようになったんだろう…覚えていないけど、気が付いたら飲めるようになっていた。今やコーヒーはなくてはならないものである。
味覚には4つの性質があり
しょっぱさ、塩味は思考に関連し意識を目覚めさせる
すっぱさ、酸味は思考と感情両方、リフレッシュ
甘さは感情、ここちよさ
苦さは意志に働きかける
とシュタイナーは言っている。
苦いものを口にするときは意志の力が必要。
苦いけど食べるぞ!って自分で決めないと食べられない。
子供は苦いものは絶対に食べない
けれども、苦いものが食べられるようになったとき
子供自身も自分の成長を感じるのだろう。
「俺!コーヒーブラックで飲めるもんね!」って。
苦味…といえば
生きていると「苦い経験」というものを体験する日がやってくる。
おそらく…苦いものが口にできるようになるのも、
苦い経験を味わえるようになるのも
ある程度大人になってから。
「良薬口に苦し」という言葉のごとく、漢方薬は苦いものが多い。
西洋医学のお薬に比べ、効果が出るまでに時間がかかる。
しばらく飲み続けないと効果がわからない。
苦味には時間が必要。苦味が姿を変えるまでには「時間がかかる」
つらく悲しい苦い体験てのは、その時は(口にした時は)きついけど
時間と共に変容し、いつしか心の栄養になる。
かならず、そうなる時が来る。
「苦い経験」は「苦い薬」なのである。
「感覚」は12の感覚があり、占星術でいう12の星座に対応している。と説いたシュタイナーによると、「味覚」は「魚座」
「外の世界」にあるものを口にする、よく噛んで、唾液で溶かし飲み込む
溶かしたものが吸収され栄養になる
「溶かして運び(循環)変容してゆく」のが魚座の「溶解」する力。
しっかり噛む、じっくり時間をかける、
食べ物とのかかわり=食べ物との会話、コミュニケーション=共感を産む
食べ物が体に入ってくる、消化吸収の工程は私たちに「潤い」を与える。
現代は「美味しい、美味しくない」の判断で食べ物を選んでいて
現代人は味覚が麻痺している、堕落しているそうだ。
体が何を欲しているかいないか、何が体に良くて何が悪いかを
キャッチできる、体の声を聞きながら必要なものを取り入れてゆけるのが
健康な状態。
私たちは地球に「味わい」にきているという。
食べ物も、体験も味わいたくてこの時代に生まれてきた。
酸いも、甘いも、苦いも、すべて体験し
こころの栄養にするために。
今年もまた、「苦味」のある、フキノトウや菜の花が食べたくなってきた。
魂の十二感覚 魚座の季節に。