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夜明けのすべて
満月の日って、身体がぱんぱんに膨張したような、重たくて浮腫んでて…でも、内側は何かがはち切れる寸前の高揚感みたいなどうしょうもできない感覚を抱えることがある。
昨晩は満月。それがやってきていた。
直感的に、今の私に必要なのはこれだ!って思ったから、早めに夕ご飯を用意して、レイトショーで「夜明けのすべて」を見に行った。
満月の張り詰めた感じと「発作」が起きる疾患を抱えている感じはよく似ている
わたしは子供の頃喘息で、秋が深まってくると喘息シーズンに突入する。だいたい発作が起きるのは夜…朝にならないと病院に連れて行ってもらえないから、一晩中苦しかったけど、朝が来るのを一生懸命待っていた。明け方になると、とりあえず、救われた…て感じがした。
発作が起きる…かもしれない…恐怖と緊張
映画の中にしずかに流れる緊張感、この緊張感に気が付ける人がどれくらいいるかわからないけど、わかる人にはわかる。
ずっと忘れていたけど、思い出した。
PMSの影響で月に一度激しいイライラを感じてしまう藤沢さん、
転職してきたばかりの同僚・山添君は自分がパニック障害だってことを隠している
最初は距離がある二人が少しづつ打ち解けてゆく。
自分のことはよくわからないけど、人のことはよくわかる。でも、それは、共通の何かがあるからわかるわけで、すべての人がわかりあえるわけじゃない。
その「共通の何か」が藤沢さんと山添君にはあって、わたしにもあった。
物語が大きく動くような出来事も起きないし、劇的な感動につながるような事件もおこらない
ただただ、毎日、同じ職場に通っているうちに、すこしづつすこしづつ、ふれてゆく、気が付いてゆく、共通の何かに。
そしてしずかに、協力し、支え合い、乗り越えてゆく
生きてゆくためにはお金が必要だから仕事をする。。。。仕事とは、そういうものである…といえばそれまでだけど、
仕事は自分を成長させるもの、職場は自分を成長させる場であったらいいな。
栗田化学はプラネタリウムをつくっている。
栗田社長をはじめ,二人をとりまく、人たちがやさしい。
プラネタリウムは、暗闇の中、星を映し出す。
暗闇は怖い…かもしれないけど…、いつも、どんな時でも、分け隔てなく、私たちを受け入れ、包む。
~喜びに満ちた日も、悲しみに沈んだ日も、地球が動き続ける限り必ず終わる。そして新しい夜明けがやってくる~
宇宙はやさしい、かならず、夜明けがあるから…
映画館を出た後、空には満月が輝いていた。時々雲に覆われて、ぼんやりとにじんだようなやわらかな光に私は包まれた。
お日様の光じゃ強すぎる、月あかりだから、じんわりといやされる。
ずっと前に忘れていた、私も持っていた緊張がほぐれた。涙があふれてきた。何かが内側で流れ出した…
世の中には仲間がたくさんいる。夜明けを待っている。
大好きな映画がひとつ増えました。