「親のお金を引き出したい時」に知っておくべきこと
「親の入院費を払いたい」
「親が認知症かも? 今後、親のお金の管理どうしよう」
「親が急死した」 など、、、
あって欲しくはないことですが、
こういう場合、どうしたら良いのでしょう?
知っておくべきことを詳しくご紹介します。
その前に、確認です!
「親のお金を引き出す」とは、
親自身が管理している親名義の預金を、
何かの事情があり、親からの依頼があって、
代わりに引き出すことを指します。
親子とはいえ、
親名義のお金はあなたのものではありません。
親の預金を勝手に引き出す行為は認められません。
あくまで、
親からの依頼があることが前提です。
「親のお金を引き出したい時」ってどんな時?
動けない時
例えば
*体調を崩し立ち上がれない
*足腰を痛めて歩けない
*入院生活が続き銀行に行けない
この場合、
親自身の意思はあるので、
親に依頼されて
代わりに預金を引き出す行為なので認められます。
ATMであれば、
キャッシュカードと暗証番号が分かれば、
通常通り引き出すことができます。
(引き出せる上限額があるので、要注意!)
窓口では、
通帳や印鑑はもちろん、
親からあなたが依頼されたと証明できる「委任状」と、
あなたの「写真付き身分証明」が必要になります。
各銀行のHP上で「委任状」をダウンロードできますよ。
認知症になった時
何度も言いますが
「親のお金を引き出す」には、
親自身の意思があり、
親から依頼されて、代わりに引き出すのが前提です。
認知症になった場合、
初期段階であれば問題ないかもしれませんが、
今後、症状が進み、お金の管理も困難になると、
あなたに依頼するという意思がなくなる可能性もあります。
銀行は
「成年後見制度」の利用を勧めてくることも考えられます。
(「成年後見制度」については、次の項で詳しく説明します。)
親自身の意思があり、
通帳や印鑑、キャッシュカード、暗証番号の管理もでき、
委任状を親自身が書けるうちに今後の事を考えて
「成年後見制度」等の手続きを整えておくことも大切です。
死亡した時
親が死亡した後は、当然、親自身の意思はないので
「親の預金を引き出す」行為は認められません。
銀行も
口座名義人の死亡を知った段階で口座を凍結します。
その理由は
この預貯金が、相続や遺産分割協議の対象となるからです。
しかし、
口座を凍結した後でも
一定額であれば預金を引き出すことが可能です。
その一定額は、
【 預金額 × 1/3 × 相続人の法定相続分 】
例えば、
相続人が長男と次男の2人で、預金が600万円の場合、
長男が預金を引き出せる額は、
600万円×1/3×1/2=100万円です。
(一つの金融機関につき、150万円が上限です)
もしものために知っておきたい制度
成年後見制度
認知症、知的障害、精神障害などの理由で
判断能力が不十分な方を保護し支援する制度です。
例えば、
不動産や預貯金などの財産管理や遺産分割協議、
介護などのサービスや施設入所に関する契約などが必要な時に、
本人に不利益や被害がないよう保護し支援する制度です。
この成年後見制度は
「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。
「法定後見制度」とは、
家庭裁判所で選ばれた人が、
本人の代理人として契約を交わしたり、
法律行為に同意したりできます。
任意後見制度
前項の「成年後見制度」の中の1つで、
本人が十分な判断能力があるうちに本人自らが選んだ代理人に、
自分の生活、療養や看護、財産管理に関する手続きの
代理権を与えることを、公正証書に定めておくものです。
この代理人(後見人)は、
血縁者に限らず誰でもなれます。
最近では、
内容が複雑だったり、血縁者が離れて暮らしていたりで、
専門家にお願いするケースも増えているようです。
生前贈与
死亡後の相続ではなく、
生きている間に預貯金等の財産を贈ることです。
相続と生前贈与の大きな違いは、
「税金の種類」と「贈る対象になる人」。
税金の種類は、
死亡後の相続は「相続税」
生前贈与は「贈与税」
贈る対象になる人は、
相続は「法定相続人」
生前贈与は「贈与者が決めた人」
法定相続人であろうがなかろうが、
生きている間に「この人に贈りたい」と思えば、
生前贈与は誰でもできます。
(贈られた金額によって「贈与税」の支払い義務が生じます)
「親のお金を引き出したい時」に
知っておくべきことを詳しくご紹介しました。
これをきっかけに、
もしもの場合に備えて、
親子や兄弟姉妹で、話し合ってみてはいかがですか?
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