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学力の実態
聴覚障害児は【書かれていない情報を無意識に補う】が育ちにくい!?
こんな算数の文章題を一緒に考えてみましょう
子ども(聴覚障害児)の解答 「0人」
なぜこんな解答になるのか
この子どもは文字は読める。問題文で使っている語や構文は既知である。
なのになぜ読みの理解ができないのか。
この問題文を読んで どういうふうにイメージしてしまっているのか。
気になりますよね。
視覚化してみます
正答なら 「後ろに11人いる」と答える
子どもの解答
なんと、新たに子どもの列をつくって そこの9番目にひとみさんがいる!!だから「後ろは0人」なのです。
これはどういうことかというと・・・
「ひとみさんは この列に並んでいて」とういう一文は一言もかかれていませんが私達はこの情報を補いながら問題文を考えます。なのでひとみさんの後ろは11人になるのです。
一方で聴覚障害児は 問題文にかかれていない情報を補うことなく 書かれているところだけをイメージしたのでしょう。そのように考えると下図のようになります。
「こどもは20人」「それはさておき」「ひとみさんは 前から9番目」
こういうイメージがあってもおかしくない・・・
このような読み間違いは我々にはなかなか思いつきません。
なぜかというと 私達は「ひとみさんはこの列に並んでいて」をほとんど無意識に補ってしまうからです。一言も書かれてないのに補ってしまうのです。
つまり、私達は字面通りに読んでいるだけではなくて、与えられた文字情報から与えられていない情報まで考えながら補ってしまうのです。そして引き算をすればいいんだなと感じるのです。
聴覚障害児が 言葉を処理するときの一つの特徴として
字面は読むけれど そこから何を考えるべきか という思考が苦手なのだと思います。
このように与えられた情報から 与えられていない こんな情報が埋め込まれているんだと考える『能力(推論する力)』が聴覚障害のお子さんは非常に弱いということがいろいろな研究で指摘されてます。
つまり 問題文がスラスラ読めているから「よし、わかっているな」と考えるのは危ないということです。
親や先生は聴覚障害児に教えるときに 特に書かれていない情報、推論しなくてはいけない情報が補えているか その都度、確認しながら勉強をすすめる必要があります。勉強だけでなくても日常生活の場面でも意思の齟齬につながりかねないこともあるということを念頭においておきましょう。