ワインのジャケ買い。
息も苦しくなるような、8月の夕方。少し暗くなりかけた空を見て、あわてて外に出ました。ついつい行ってしまう、小さいが意外にも賑わいを見せている個人経営の本屋。いつも、前出しされている本のレパートリーが絶妙なんです。
両開きの自動ドアが少し遅れ気味に開き、迷わず向かう小説のコーナー。色々な作家の小説が行くたびに代わる代わる、並べられている。しかし、、ピンとくる小説がなく、探し続け、ふと時計に目をやると、もう1時間も経っている。「今日は縁がなかった、、」と心の中。いや、ちょっと声が出てたかも。
外に出る。相変わらずの暑さ。でも、嫌いじゃない。セミの声。いい本に巡り会えなかったときというのは、どうも気分が乗らない。往生際の悪いぼくは、安売り自慢の酒店に入る、なんかいいワインでもないかと期待して。閉店ギリギリの酒屋の一番奥。一際目立った、ボトルが目に付く。ワインのジャケ買い。こんなことでも、ぼくの一日はいいエンディングを迎えられそうな展開になるものなんです。