カンパチのおかげで、30歳過ぎて生魚が食べられるようになった話。

〈 苦手な理由 〉

アレルギー等ではなく、とにかく味が苦手でした。

問題は、生臭さ。

甘エビやイカ、ホタテや牡蠣は生でも好きなのですが、
お刺身やお寿司は、どうしても食べれない。

克服しようと何度かトライしたけれど、口にすると全てが”生臭くて”同じ味に感じてしまいます。
白身と赤身の区別なんてつかないです。

大学生の時に、友達に連れて行ってもらって人生はじめての回転寿司に行ったことがありますが、どうしても手が出なくて、結局うどんとかっぱ巻的なものを頬張って終わりました。

「好き嫌いがあると、人生の半分損してるよね」
お刺し身大好きな友達に言われた事ありますが、あながち間違えじゃぁないなと思っています。

そりゃ好き嫌いなんてない方が絶対いい。

好きなものが多いだけで、食べる楽しみの幅が広がると分かっています。

焼き魚や煮魚は好きなので魚自体は苦手ではないのですが、冠婚葬祭の食事はどこかで生魚が出る事が多いです。

そんな時は、日本人は生魚が好きな人が本当に多いなと思いながら
”わたしは生魚が大好き”
と暗示をかけて食べます。


〈 転機 〉

6月頭、父の日のプレゼントを探していました。

ここ数年の父の日と母の日は、2人に喜んでもらえそうな食べ物を選んで贈っています。

母の日に贈った、徳信さんの鯵茶漬けが2人に大好評だったので、今回も料理の1品になるものを探していました。
(ちなにみこのお茶漬け、めっちゃ美味しいです)

母は胃の全摘手術を受けたので、術後は3度の食事の他に2回程間食をしています。
消化しやすい食材で栄養バランスを考えたりと、毎日作るのが面倒で、食べるのも嫌になる…と電話で話していたので、気持ちの上がる食べ物がいいと思っていました。

ネットで探してもピンと来ず…
ヒントがあればいいなと思ってつけたテレビ番組のコーナーで

”コロナで行き場を失った20万匹の野見漁協自慢のカンパチ”

が紹介されていました。

普段は料亭やレストラン等に卸しているけれど、今回のコロナの影響で営業を自粛しているお店が多くて、大切に育てた大量のカンパチが手元残っている状態。

このままだと最悪カンパチ達を処分してしまうかもしれない…

品質には絶対の自信があるものの、一般的には知名度がないと作りの手方が話されていました。

その話を聞いて
技術があって、知る人ぞ知っているのに、美味しいっていって口にしている人も多いだろうに…知名度が低いってだけで、自信と自慢の塊が売れないって辛いことだなと思いました。

わたしの販売経験の中で、職人さんが手掛けたアイテムを取り扱っていたことがあって、まだまだ知名度が低いだけで、技術が詰まっている製品を沢山見てきました。

その体験もあって、少しでも貢献したい!と思いました。

母も父も刺し身が大好きなので、父の日の贈り物として、このカンパチを贈りたい!
と思いました。
ですが、1つ気になる点が…

約3ヶ月前に胃の全摘手術を受けてから、母が生魚には手を出していないのを知っていました。

生のお魚は、お腹をクダしてしまう可能性があるので、あまり水分も取れない母にとっては、どうだろう?と気がかりでした。

〈 注文 〉

電話で母に相談

・すごく新鮮で作り手の方の思いが詰まった魚だと思うこと。
・普段は簡単には口にできない。
・母の食べたいモノや、食べれると思えるモノが幅が広がるキッカケになるかもしれない。
・体調を見ながら一口食べて、よさそうなら食べて欲しい。

と伝えました。

「ちょっと怖いけど…新鮮なら大丈夫だと思う!食べてみたい!」

と母の意向もあり、今年の父の日の贈り物になりました。

テレビ放送の反響がすごかったようで、配送日は未定と連絡が来ました。


〈 タイミング 〉

noteで書いた「小さな巨人」の話と重複するのですが、珍しく弱音を吐く母が心配になり、
「生きている間に会えんかもしれんのに」
の母の言葉を聞いて、実家に向かいました。

思っていたよりも元気な母を見る事ができて、ほっとしました。

実家に来たからには、何かいい爪痕を残そうと思って必死に動いていると…

注文していたカンパチが届きました!

画像2

(いい写真なくてすみません)

通知が来ていたので知ってはいましたが、実家にいるタイミングとは全然予想していなかったので、ビックリしました。

早速
その日の夜ご飯にお刺身として食卓に並べました。

母からは
「新鮮!油が乗って美味しいわ〜!これなら食べれると思う!」

父からは
「うまい!うまい!」

と声が漏れていました。

喜んでもらえてよかった〜と思ながら、自分用に用意した三切れに手を伸ばしました。

「おいしっっっっ!
甘くて美味しい!何これ?!
プリッとしてて…
え?これが脂がのってるって事なん?」

カンパチの美味しさにも、生魚を食べて美味しいと思っている自分にもビックリしました。
生魚に脂がのっている意味を初めて知りました。

少なめに用意したので、全然足りません。

母の体調に変わりはなく、
翌日は量を増やしたお刺身に、みんなで
「おいしい!おいしい!」
と言いながらペロリと食べました。

画像1

(実際はもっと美味しそうです)


〈 気になって 〉

「生魚を美味しいと言うなんて珍しい…」
話を聞いた夫は、追加で注文をかけました。

お刺身で出したカンパチを食べて、
「おいしい!脂がのってて!プリッとしてる!」
わたしとまったく同じ反応をします。

「おいしいよねー!」
と言いながら、我が家でも楽しい食事になりました。

ちなみに、夫も生魚はそこまで得意ではないです。


〈 幸せのおすそ分け 〉

お刺身や料理が好きな友達に、ちょうど何か贈り物と考えていたので、カンパチを贈りました。

その友達からは
「最高に美味しかったっっっっっっっっっ!」
と感想が来ました。

ふふふ

自分が美味しいと思ったものを自信を持ってプレゼントできて、喜んでもらってるって本当に最高!


〈 感謝 〉

おいしいカンパチごちそうさまです!

”須崎勘八”は、わたしの魚に対する気持ちを変えてくれました。

養殖って、あんまりよくないのかな?
と思っていたわたしの固定概念を吹き飛ばしてくれました!

苦手な食べ物だと思っているモノこそ、本物を食べた方がいいという事も分かりました!

30歳過ぎて、好きなモノが増えた事に感謝です!

今から色んな魚料理の感動と驚きを味わえると思うと幸せです!


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