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坂本ケーブル
少ないけど友達がいます。
私みたいな協調性や社会性に乏しい人間と仲良くしてくれるぐらいなので、みんなすごくいい人たちです。
Eさんとは夜の酒場で仲良くなって、どっぷり遊んでもらうようになりました。
私はEさんが好きすぎてなんでもかんでも誘っており、またEさんは優しいのでなんでもついてきてくれました。
Eさんがいてくれるだけでなんでもかんでもべらぼうに楽しくされてしまいます。
そんなEさんですが、ついに秘境駅にまでついてきてくれちゃうのでした。
大好きなEさんとお出かけしたのは坂本ケーブル!
坂本ケーブルは比叡山とふもとを繋ぐ日本一長いケーブルカーなのですが、ここには中間駅がふたつ存在します。
それがとんでもない秘境駅だということで、こりゃ行ってみんとあかんと立ち上がった次第でございます。
とりあえずJRで比叡山坂本駅まで。
JRからケーブル坂本駅までは徒歩。20分程度で着きます。
はい、乗り場です!
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ここで乗車時に係員の方に「ほうらい丘で降ります!」と元気に宣言。
なぜわざわざ宣言するのかというと、これは宣言しておかないと通過されてしまう駅なのです。
え? なに言ってんの?
って思いますよね。私だって思います。
でも坂本ケーブルの中間駅たちは事前申告しておかないと全便通過なのです。
ちょっとこれ面白すぎませんか。
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このような流れで「ほうらい丘行きの客」となった我々ですが、なぜかこの日はケーブルカーが激混みですし詰め状態。
ぎゅうぎゅうになりながらいつもの調子でEさんに
「御堂筋線みたいね!!」
と言うと、近くに詰まっていた人たちがどっと笑い出しました。
やっちゃった。
詰まっている人たちはみんな比叡山まで行くのでしょうが、私たちはすぐに下車するので、そんなにしんどい時間は長く続きません。
とてもわくわくしながら詰まっています。
そして……はい、ほうらい丘です!
ケーブルカーが停まりました。
私とEさんがほうらい丘で下車していくのを、ほかの乗客たちが不思議そうに見ています。
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ホームのすぐそばに霊窟があります。
ここには霊窟以外は特になにもありません。
霊窟の中に入ってみると、お地蔵様がびっしりと並んでいます。
坂本ケーブルのHPによると、これらの石仏は坂本ケーブルの工事中に発掘されたものとのこと。比叡山焼き討ちの際に犠牲となった方々の鎮魂のための石仏なのではないか、と伝えられているそうです。
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雨が降ってきたので、ふたりで少し雨宿りさせてもらいました。
なんとなく石仏にカメラを向けるのはよくない気がして、霊窟内の写真は撮れていません。
で、ですよ。
ここから脱出しなければならないわけですが、下車する人がいない限り、やってくるすべての便がここを通過していくわけです。
どうするのか?
これを使います!!
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このインターホンを押すと係員の方につながり、「次の便に乗ります」と宣言すると停まってもらえるのです。
え? なに?
行ってみたい、やってみたいって?
わかるわかる。
すぐ行ってきて。明日行ってきて。
やってきたケーブルカー、私たちの姿を見て驚く乗客たちの顔。
こんな妙なところから女性ふたり乗り込んで来たらびっくりしますよね。
引きますよね。
わかるわかる。
で、次はもたて山駅で下車するわけです。
こちらももちろん事前に下車したい旨お伝えしてありますから、ちゃんと停まってもらえます。
変な駅から乗り込んできて、変な駅で降りてく女性ふたり。
引きますよね。
わかるわかる。
なんの害もありませんのでほっといて。
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それにしても、もたて山のホームの斜め具合はやばいです!
ものすごい角度です。
雨で濡れていることもあって、手すりにしがみついていないと転げ落ちてしまいそうです。
登山靴でやってきたEさんは楽々ですが、コンバース履いてきた私はヨチヨチ歩きしかできません。
ホームを出ると……やっぱりめちゃくちゃ森!
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いちおう道がありまして、この先に見晴台と紀貫之のお墓があるらしい。
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私とEさんもちょっと歩いてみたのですが、お天気が悪く、だいぶ霧が出ています。もちろん私とEさん以外、誰もいません。誰一人いません。
ちょっとこれは危険かも、という判断で駅に戻りました。
私ひとりならまだしも、Eさんを危険に巻き込むわけにはいきません。
で、またインターホンで連絡し、ケーブルカーに停まってもらい、好奇の視線を集めつつ乗車、という一連の流れです。
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今回の旅の目当ては秘境駅ですが、せっかく来たのでちょっとだけ比叡山も散策して帰りました。
このむちゃくちゃな旅に、Eさんはヒャッヒャヒャッヒャ笑いながら付き合ってくれました。
なんて素敵な人なんでしょう。
みなさんも秘境駅に行くときはEさんについてきてもらうといいと思います。
女ふたり、秘境駅旅の思い出でした。
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