雪国へ(2)大糸線、ヤナバスキー場前、無意味下車など
この日は大糸線に乗ってみました。
この極寒の中、なぜ大糸線にやってきたのかというと、「ヤナバスキー場前駅」を見てみたかったのです。
このヤナバスキー場前駅は2019年に廃止されていますが、私が訪問したこの頃はまだ営業休止という状態で、列車は停まらないものの、ギリギリ生きていました。
列車に乗ってただ前を通過するだけにはなりますが、どんな駅なのか見に行こうではありませんか!
簗場駅を出たあたりから一気に緊張に襲われます。
うーん、窓のどっち側に駅があるんだろう。
単線だし小さな駅だし、きっと右か左かどっちかにしか駅らしいものはないでしょう。
ここまで来て失敗したくないので、乗客のおじいさん(鉄道マニアらしい装備を整えていない、どう見ても地元の方)に聞いてみることにしました。
「すみません、ヤナバスキー場前っていう駅は……」
「次だけど、もうやってないから降りられないよ」
「降りないので大丈夫なんですが、窓のどっち側に駅が見えますか?」
「こっち」
怪訝そうにしつつも、進行方向右手側を指さして教えてくださいました。
わざわざ教えてもらっておいてキョロキョロするのも失礼でしょう。
ここはもうおじいさんを信じて右側を注視!
カメラ構えて注視!
以下、撮影した動画のスクリーショットです。
おっ、おっ、お!!
あったーーー!!!!
一瞬だったーーーー!!!!
見てきた、と言うにはあまりに一瞬すぎますが、でも駅ありました!
うん、確認してきました!
満足!
レア駅も見たので、このあとは大糸線を乗りつぶせば、やってみたかったことはコンプリートです。
が。
南小谷で乗り換えに際して、ちょっと困りました。
乗り継ぎが悪い。
南小谷から先、糸魚川方向はぐんと本数が減る……
糸魚川まで行ってしまうと松本まで帰るのがかなり遅くなってしまいます。
冬なので陽が落ちるのも早いし、なんといってもこの寒さです。
うーん……不安。
南小谷の駅前を軽く散策しながらぐるぐると悩みます。
うん、決断しました。
勇気ある撤退を選びます。
ムリはよくない。
また暖かいシーズンにゆっくり来たらいいのです。
それにしても悔しい……
せっかく南小谷まで来たのに。
ええい、もうヤケじゃい。
ここから先は趣向を変えまして、競技下車(たぶんそんなものはない)に変更じゃい!!
ひとつでも多くの駅を見て帰ることで納得するしかないんじゃ!
あずさで一気に距離を稼ぎます、とりあえず!
とりあえず信濃大町で下車!
とはいっても、ここも一時間に一本程度しか列車は来ないわけで……
上り列車と下り列車で行ったり来たりしましょう。
はい、どんどん行くよー!
細野!
なにこの駅! なにがあるわけでもないけど、なんか猛烈に好き、この雰囲気!!
「ただいま!」って言いたくなってしまいます。
私の心の「好きな駅リスト」に細野が追加された瞬間でした。
なにしに行ったの? って聞かれると……「なんにもしてない」としか言いようがないけども。
つぎ!
南大町!
テンション上がってきた。
どうせ一時間ぐらい列車来ないし、なんかもう歩くわ、隣駅まで!
ということで戻ってきた信濃大町。
からの、
北大町!
ああ、やっぱり日没が早いです。
暗くなってきちゃいました。
今日はもうこのへんで切り上げることにしましょう。
ああ、寒い。
めちゃくちゃ寒い。
生まれてきたことを悔いる寒さだよ。
辛いよー。苦しいよー。
早く列車こないかなー。
寒いなー。
……ん?
寒いやんか!!
私は荷物の中からシャボン液の残りを取り出しました(前回の続き)。
凍るか? ついに凍るか?
この日はゆるく風が吹いており、私が吹いたシャボン玉はふわふわと長い時間、空中を漂っています。
滞空時間がのびると、なんだか凍りそうな気がしてきました。
いけるか? いけるか?
かなりわくわくと楽しんだものの、結果は凍らず。
私の吐息の温度が邪魔なのかもしれません。
吹くストロータイプではなく、手で振るタイプの、金魚すくいのポイみたいな形のやつを使えば凍るのかもしれません。
夢中で遊んでいたらいくらか楽しく時間がつぶせました。
寒くて手はブルブルしてますけども。
シャボン玉を片付けて松本へ帰りましょう。
この旅では女性専用カプセルに泊まっていたのですが、さすがに大晦日が近づいているので静かなものです。
ちょっと家が恋しくなってきました。
私の旅ももうすぐ終わります。
雪国へ(3)へ続く
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