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フリーランスに「派遣」との掛け持ちをオススメする10の理由。

20代後半で会社員を辞め、フリーランス(ライター)になった私。数年間は専業フリーランスとして活動してきましたが、現在はフリーランスでの仕事も引き続き請けつつ、週に数回は派遣社員として働いています。

将来的に会社員に戻るのか、派遣の仕事をしながらフリーランスの仕事の幅を広げていくのか、雇用の仕事を掛け持ちするのかはまだわかりませんが、しばらくは、専業フリーランスには戻らない予定。いまのところは、この働き方にわりと満足しています。

派遣社員というと、やたら「就職活動がんばったのに正社員になれなかった人」「なんかあるとすぐ切られる」みたいに、ネガティブな感じでメディアに取り上げられたりすることもありますよね。

もちろん実際にそういう問題もあるとは思いますし、「本当は正社員になりたいのに派遣の仕事しかない」人にとっては不満が出るのはわかるのですが、そうじゃなければ全然、メリットも多い働き方だと思ってます。

デメリットのほうのイメージがあまりに強く押し出され過ぎて、派遣の働き方のよいところって、あんまり表に出てこない。

ずーっと派遣社員を本業にして暮らしていくのならば、キャリアや年齢を重ねたとき、契約が終わってしまったときや退職後のことなど、不安に感じるのはわかります。

ですが、フリーランスみたいにほかに仕事を持っていてダブルワークに派遣を選ぶとか、なんか事情がある数ヶ月〜数年間は派遣社員で働くとかは、けっこういい感じだしありがたいことも多いんだよなー、と思っています。

フリーランスは絶対派遣と掛け持ちすべき! とかではなく、ひとつの選択肢として全然悪くないよ、という感じ。

端的にいうと、派遣+フリーランスは「社会的な保障は受けつつ、無理なく自由度の高い働き方ができる」という点がメリット。働き方としてはまだニッチかもしれませんが、たとえば、以下のような人には合うんじゃないかと思います。

・フリーランスになったばかりでまだ不安定、または月によって仕事量の差が激しい

・フリーランスの仕事をやめたいわけではないが、専業フリーランスは不安になってきた

・現在フリーランスだが、これからずっと専業フリーランスでやっていくかはわからない

・フリーランスでやってきたが、そろそろ働き方を変えていきたいと考えている

・フリーランスから会社員に戻ろうかと考えているが、そのための準備期間がほしい

・フリーランスをしているが、何らかの事情で働けなくなってしまったときのことが心配

・将来やりたいことが決まっていて準備中だが、その間の収入は確保したい

・多少不安定でも、毎日の時間のゆとりや精神的な豊かさを重視して働きたい

・今後考えが変わるかもしれないが、いま現在は会社員としてがっつり働くことは希望していない/月-金週5では働けない事情がある

・長時間労働や残業続きのような働き方は避けたい

・収入アップは目指していきたいが、まずは生活に困らないレベルの収入を得られればよい

今回はフリーランス経験があり、いまは「派遣+フリーランス」として働いている私が、派遣との掛け持ちをおすすめする10の理由についてご紹介したいと思います!

「派遣+フリーランス」をおすすめする理由

私が派遣+フリーランスを推す理由は、以下の通りです。

おすすめ理由1:経済的安定

働く理由は人それぞれですが、仕事をするうえで「金銭的に困らない」というのは正直、かなり大切です。

フリーランスになりたてのころって「不安定でも好きなことができればOK!」とか思ったりしがち。

でも、年齢を重ねたり結婚したり子どもが産まれたりすると、ある程度の経済的安定が、心のゆとりにつながるようになってきます。(もちろん、すべてではありませんが)

フリーランスだと、企業と継続的な契約を結んでいない限り、月によって仕事量や収入はまちまち。企業からしても、仕事が発生しない月に無理にフリーランスに依頼する必要もないので、不安定な収入になりがちです。

派遣の場合、派遣先が決まって働くことになった際には、事前に勤務日数や勤務時間を明確に決めます。(途中で変更の相談も可能)

解雇や企業の倒産などがない限り、少なからず契約期間中は確実に働くことができて、働いたぶんの収入も保障されるので、収入の見通しが立てやすいです。

おすすめ理由2:社会保険に加入できる

派遣社員の場合、一定の基準を満たせば社会保険に加入することが可能です。社会保険の加入で得られるものは、専業フリーランスでは絶対に得られないものばかりであり、非常に心強いものでもあります。

社会保険の加入は、ざっくりいうと以下の1か2のどちらかに当てはまれば可能です。

1.1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、その企業の正社員などの4分の3以上である

2.以下の短時間労働者の要件のすべてに該当している

・1週間の所定労働時間が20時間以上である
・継続して1年以上勤務する見込みがある
・月額賃金が8.8万円以上である
・学生ではない
・従業員501人以上の企業に勤務している

1だと社員とほぼほぼ変わらない労働時間になるのでフリーランスで働いている人には厳しかったりしますが、冷静に見てみると、2のハードルって意外と低いんですよね。

まず、派遣社員の場合はあくまで「派遣会社に雇用されている」ため、派遣先の企業ではなく、派遣会社の従業員数が501人以上であればOK。

※今後、派遣やパート、アルバイトなど正社員以外の労働者の社会保険の加入条件において、従業員数の規定が緩くなり、これまでよりも加入しやすくなるようです。詳細が気になる方は、公的な情報でご確認ください!(2021年7月現在)

月額賃金も、仮に派遣社員として週20時間働くとして、時給1100円以上ある案件ならば月に8.8万円は超えますから、これもほぼほぼクリアできます。

週20時間だと、たとえば「週2フルタイム+週1半日」とかでも合計20時間になるので、フリーランスの仕事をする時間も十分つくれるんですよね。

短期の案件でない限り1年以上は働くことが見込まれるため、そこも問題なし。(あくまで見込みなので、何か事情があり結果的に1年以内に辞めたとしても問題はない)

社会保険に加入すると、フリーランスでは受けられない以下の保障が受けられます。

将来もらえる年金が増える

自分で毎月国民年金保険料を払わなくても派遣会社が給料から自動で引き落とししてくれるうえ、国民年金だけでなく厚生年金が上乗せされるため、将来もらえる年金が増える。

「いやいや、年金なんかどうせたいしてもらえないっしょ」と思う方もいるかもしれませんが、以前とある専門家の方に聞いた話では「年金のような公的な保障制度が、将来、完全に機能しなくなる可能性は極めて低い」とのこと。

つまり、もらえる年齢が上がったり金額が減ったりする可能性は高くても「払っていたのにまったく年金がもらえない・またはほんのちょっとしかもらえない」可能性は限りなく低いということです。

それなら、毎月少しでも多くの年金をもらえるようにしておいた方が安心ですよね。

ただし「年金はあてにせず自分で老後資金を準備する!」という考えのフリーランスにとっては、あまりメリットではないかもしれません。

健康保険料が安くなる

社会保険に加入すると、フリーランスの仕事もしていたとしても扱いは「派遣会社に雇用されている労働者」になるため、健康保険証がもらえます。

フリーランスの場合は強制的に国民健康保険(国保)に加入となり毎月の保険料も高めだったりしますが、雇われている場合は健康保険料の半額は企業が負担してくれるため、毎月の負担額は国保よりはるかに安くなります。

病院を受診するときなどは、企業の健康保険と国保で受けられる診療内容が変わるわけでもないので、毎月の健康保険料が安い方が、金銭的にはお得です。

働けなくなったときに保障が受けられる

フリーランスの場合、出産して子育てをすることになったり、家族の介護が必要になったり、急に仕事がなくなったり、病気やケガをしたりするなどなんらかの理由で働けなくなったとき、金銭的にカバーしてもらえる制度は基本的にありません。

フリーランスが病気などで働けなくなった場合に使える所得保障の保険なども登場していますが、加入していても、適用するには条件が結構厳しめだったりもします。

社会保険に加入していれば、出産や子育てをする場合は産前産後休暇や出産手当金、育児休暇を取得する場合は育児休業給付金、介護をする場合は介護休暇、失業した場合は失業手当(すべて雇用保険)、病気やケガをしたときは傷病手当金(健康保険)が受けられます。

社会保険に入っていて1年以上雇用されていた場合、仮に派遣会社を辞めることになってしまってフリーランスの仕事もなくなってしまった! 的な状況に万が一なってしまっても退職3か月後からは失業手当を受けられるので、次の仕事を見つけるまでの金銭的な不安も軽減されます。

これが専業フリーランスだと、もしも仕事が一気になくなってしまうと収入のあてもなく一時的に「詰んだ」状態になってしまいますよね。社会保険に加入していると、そこを避けられます。

フリーランスの場合、これらのような保障は「一切なし」。

そう考えると、雇用されることで、いざというときのセーフティネットをつくれることになります。

おすすめ理由3:有給がもらえる

派遣社員の場合も、勤務日数に応じて有給がもらえます。週に数回程度の勤務でも、フルタイムの勤務でなくてももらえます。

フリーランスの場合は自分が休むと収入にはなりませんが、派遣会社に雇用されている場合は有給で休みをとっても、働いたのと同じように賃金が支払われます(有給時の賃金は、会社によって算出方法が異なります)。

家の用事や旅行、自分のための時間など、好きなことに使える有給。自分や子どもが病気になったときでも、有給を使えば収入が減ることもありません。年に数日でも有給がもらえることで、安心感が生まれます。

おすすめ理由4:孤独感が減る

程度の差はあるものの、フリーランスでありがちなのが「孤独になりやすい」ということ。

企業に所属しているわけではないため、人に会わず自分ひとりでずっと仕事もできてしまうので、寂しさを感じたり不安になったりする人もいるかもしれません。

私も基本的には孤独に強いタイプではあるものの、専業フリーランスだったころは、クライアントとのやりとりがメールやチャットのみ、話す相手が家族のみという日々が続くと少し閉塞感があったり、社会からの疎外感を感じたりすることもありました。

派遣社員の場合、正社員ほどコミットすることはむずかしいものの、派遣先企業ではレギュラースタッフの一員として認識され、打ち合わせやミーティングで「定期的に」人と接する機会ができ、孤独感は大幅に減りました。

これは、フリーランスでも「人脈が豊富」「社交性がある」という人にとってはとくにメリットではないかもしれませんが「人付き合い面倒だからフリーランスになった」「内向的だけど人ともちょっとは交流したい」みたいな人には(笑)、精神衛生上、けっこういい効果をもたらしてくれます。

おすすめ理由5:気持ちに余裕ができる

専業フリーランスの場合「来月の仕事どれくらいあるかなー」「今月はやたらと忙しいな」「暇な時期が続いて不安……」のように、つねに波がありますよね。

あと、フリーの仕事しかしていないと「仕事内容は魅力的」「自分の今後にプラスになりそう」だけど報酬は高くない、みたいな仕事を受けるのに、勇気がいったりもします。

でも、派遣社員としての仕事があればベースの収入は見込めるので、そういう仕事も引き受けやすくなる。

フリーランスとして仕事を引き受けている企業から発注がない/少ない月があっても「まぁ、派遣のほうの仕事があるし」みたいに、あまり焦らずに済みます。

おすすめ理由6:いざというときに「法律」で守られる

フリーランスは、労働基準法の適用外です。つまり、仕事でどんなに不利益なことや理不尽な思いをしても、法律ではまず守られないのが現実。

「自分の身は自分で守るしかない」といわれてしまえばそれまでですが、場合によっては、法的に守られていないフリーランスは、企業に都合よく使われてしまったりすることもあります。

一方、雇用されている場合は、もしも仕事で何かあったときは労働基準監督署に相談でき、対応してもらうことが可能です(内容にもよる)。

派遣社員の場合はその前に、まず派遣会社という相談先がある。

派遣社員として雇われの身で仕事をすることで「もしも労働トラブルがあったときにただ泣き寝入りせずに済む」というのは安心感があり、けっこう大事なことだと思います。

おすすめ理由7:時給が結構いい

アルバイトやパートと比較すると、派遣社員の時給は比較的高めに設定されています。

たとえば編集者・ライター、Webデザイナー、エンジニア、プログラマーなどのものづくり系専門職だと、悪くはない時給で働けたりもします(難関資格を持っていたり希少性の高いスキルを持っていたりすると、時給はなおよいと思います)。

派遣の場合は働いた時給分のお金は必ずもらえるので、フリーランスの仕事が少なそうな月は派遣の方のシフトを増やす、という調整もできます。

おすすめ理由8:事情が変わったときも辞めやすい

案件によりますが、派遣社員は3か月ごとに契約を更新するところが多いです。

たとえばフリーランスの仕事の方が大幅に忙しくなって派遣の仕事をする時間が取れなくなったり別の企業で正社員として働くことが決まったりしても、次回の契約更新をせずに契約期間終了後に辞めるのは、合法です。

逆にいうと、派遣は数ヶ月単位の契約期間を更新していく働き方のため、企業側が「次回は更新しない」といっても、それも合法。急に仕事が終わってしまうリスクはあります。

しかし、派遣のほかにフリーランスの仕事をしていれば、派遣の仕事がなくなっても、仕事や収入が一気になくなることはありませんよね。

それに、もしも派遣先との契約が終了してしまっても、派遣会社との雇用関係がなくなるわけではない。派遣会社からは、新たな案件を紹介してもらえるケースがほとんどです。

おすすめ理由9:社会的信用が増える

フリーランスの場合、残念ながら「社会的信用は高い」とはいえないでしょう。しかし、派遣社員であっても「社員」という肩書きがあれば、信頼度は多少アップします。

たとえばクレジットカードや民間保険など何かのサービスに加入するとき、ローンを組むとき、家を借りるときなども、派遣とフリーランスというふたつの軸を持っておくことで、審査が通りやすいこともあるかもしれません。

正社員とくらべるとやはり世間的には不安定な印象は否めないものの、専業フリーランスよりも、比較的信頼されやすくなるでしょう。

おすすめ理由10:在宅勤務の案件もある

派遣社員は、家で仕事をすることも可能です。「在宅勤務」は正社員にのみ適応されるようなイメージがありますが、派遣社員でも最初から在宅勤務での契約となっている案件もあり、いまも増えてきています。

私も在宅勤務の契約で働いていますが、基本的には自宅の仕事部屋で作業をし、フリーランスとの仕事の兼ね合いを見ながら、入れる日に派遣の仕事のシフトを入れさせてもらうようにしています。

そのため「勤務時間の縛りがある」「業務中の報告が必要」ということ以外、正直、専業フリーランスのときとさほど大きく働き方は変わっていません。

通勤のない在宅勤務の場合「今日は派遣の仕事が終わってからフリーランスの仕事をやる」というように、1日にふたつの仕事をすることも可能です。

「満員電車に乗りたくない」「オフィスで働くのは苦手」というフリーランスの方は、在宅勤務の案件ならば、違和感なく取り組めると思います。

逆に「ずっと家で仕事をしてきたので、むしろオフィスでも働いてみたい」のであれば在宅勤務ではない案件を選ぶことで週に数回は通勤ができ、気分転換にもなりそうです。

以上が、フリーランスに派遣との掛け持ちをオススメする理由です。

もちろんほかの働き方と同様にデメリットやリスクはありますし、あくまで働き方のひとつの選択肢ですが、正社員ほど時間の拘束がなく、アルバイトよりは高い収入を得られる派遣社員。

派遣とフリーランスの仕事を掛け持つことは、人によっては決して少なくないメリットや恩恵を受けられるワークスタイルなのではないかな、と、実際に働いてみて感じています。




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