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から揚げをたくさん食べたい
仕事を休む。妻が研修で、朝も早く帰りも遅いので、息子の幼稚園の送迎をするためである。
息子を幼稚園に送り届けてから髪の毛を切りに行く。
自分なりに似合う髪型というのはわかっているのだが、わかっているからこそ今まで違う髪型をしていた。いつでもその髪型にすればいいやという安心感があるから冒険していた。
ただ、このさき頭髪だって薄くなってきて、その髪型も出来なくなるかもしれない。それによく考えたら自分の一番良い状態がわかっているのに出し惜しみしている意味がわからない。そんなことを思って今回はちゃんと自分に合う髪型にした。
妻が介護の仕事をしていることもあり、最近老いについて考えることが多い。
それから買い物をしてお昼を食べたりしていたら、あっという間にお迎えの時間になったので息子を迎えに行く。
僕の顔を見て喜ぶかと思ったら「早すぎる」と言われて拍子抜けした。園のキッチンの前を通ると、バターなのかおいしそうな匂いがして息子と「いいにおいだね」と話した。そういえばちょうどおやつを作ってる時間だ。たしかに「早すぎる」だわ。
家に帰ってきて、息子と戦いごっこをする。息子の最近の口癖は「パパをたおす」である。ひたすら戦う。
娘が帰ってくる。授業でパワーポイントの使い方を教わったので見せてくれるという。いまの子は学校でパワーポイントまでやるのだ。
娘が作ったのは、娘に関するクイズだった。スライドをめくるごとにスライドが紙飛行機になって飛んでいったり、クリックすると音声が流れたりと演出がかなり凝っている。僕が仕事で作るパワーポイントなんて、テキストだけの味気ないものなのに。クオリティー高いなあ。
クイズの中で娘の好きなものを答える問題があり、正解が「弟」で感動する。普段あんなにケンカばかりしてるのに。
その後、娘は宿題を始めた。もちろんスッと始めるわけはなく、そこに至るまでに色々あるのだがそこは割愛。
娘から三ツ矢サイダーを飲みたいから買ってきて、と言われる。当然ことわる。すると娘は、「じゃあテーブルに置いてあるコップ取って」と言ってきたので麦茶の入ったコップを渡した。
はっ、これってあえて一度無理めな要求をして断らせることで、ハードルの低い本当の要求を通すテクニックだ。ドアインザフェイスとかってやつ。ぐぬぬ、一体どこで覚えたのやら。
「分数がわからないから教えて」と言われる。分数の概念て、たしかにわかりづらいので、娘の大好きな蒲焼さん太郎で教えることにした。蒲焼さん太郎を5等分したら、何分の何か?5等分した蒲焼さん太郎が10個あったら何枚になるかといった具合だ。
解きながら娘が「パパの説明わかりやすいんだよなあ」と呟いた。よしよし。
夕飯は唐揚げ。
揚げ物って何歳くらいまで美味しいと感じられるんだろう。
そんなことを考えながら、20代に間違えられたと嬉しそうに話す、妻(38)の研修の話を聞いた。