春霞
春霞の空をふと見つめると、スーッと飛行機雲が通っていった。
青い空の上に白いヴェールが掛ったような春は、先の見えない未来を予見させる。
ああ、あの子は元気なのだろうか。今でもあの人の隣で笑っているのだろうか。もしかしたら子供だっているかもしれない。
関係を断たれる理由は十分にあったし、原因は自分だって分かってる。
なのにどうして今も、こんなにあの子の事を想ってしまうのか。
自分の未練がましさに笑みが漏れる。
「佐々木」
同僚の声で意識が返ってくる。またあの頃の思い出に浸っていたみたいだ。
いつだって、記憶の中のあの子は綺麗な笑顔でいる。
もう声は思い出せない。
「好きだった」「今もまだ好き」「出会った時からずっと好き」
たった2文字伝えられたら楽なのに。
卒業式のまま。そのままで居られたらよかったのに。
どうしても時が進んで私を置いて行ってしまう。
いつまで私は過去の私に縛られるのか。いつまであの子の事を想うのだろうか。
そうして私は「私」を被って生きていく。
=LOVEさんの「この空がトリガー」を聞いて、ふと頭に浮かんだものを書いてみました。
この楽曲はハッピーエンドかもしれないし、バットエンドかもしれない。
聞き手によって解釈は異なると思います。
私。あの子。あの人。どの立場で当てはめても見え方は変わると思います。
=LOVE:(イコールラブ)
指原莉乃プロデュース。10人組ガールズグループ
大谷映美里・大場花菜・音嶋莉沙・齋藤樹愛羅・佐々木舞香
髙松瞳・瀧脇笙古・野口衣織・諸橋沙夏・山本杏奈
2023年2月22日13thシングル「この空がトリガー」発売。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?