多羽(オオバ)くんへの手紙 ─12─
セーラー服の袖に腕を通す3回目の春。
真っ新でもなく
スカートのお尻や上服の背中がこすれて少し光っていたりするけれど
クリーニング帰りのパリッとした相棒が
「また1年付き合ってやるよ」と言っている。
肩先にヒラリと落ちて来た桜の花びらを
少し眺めてフッと吹いた。
ひらひら、ゆらゆらと風に舞ってどこかへ飛んでいく。
のんびりと正門をくぐると、クラス編成の貼り出してある窓の辺りが
生徒たちでごった返していた。
窓の外側に貼り出されている「○年○組 担任:○○」とそのクラス