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ショートショート#2 暗闇の中から

「ああ寒い、一体いつになったらここから出られるのだろう」

ここは真っ暗で、日に数回光が訪れる。

僕はそのたびに「今日こそ生まれ変われる」と胸を躍らせてきたのに、いつも失望する。

そして新しい仲間が入ってくるたびに僕はどんどん奥に押しやられる。すっかり姿を変えて、もう役にたたなくなり捨てられて行った仲間もいた。

「こんなはずじゃなかった。僕は多くの中から手に取って吟味され選ばれた」そう思っていた。

僕が育った田舎は一年を通して天候に恵まれ、山から流れてくる川の水も栄養たっぷりで、それはそれは大切に育てられた。

学校で教えられたのは、僕たちがどのように変化し、最終目的である人間になるのか、という事だった。

そう、僕は人間になるために大きくなったのだ。
選ばれた誇りも僕の体の水分のようにだんだん萎んでいく。

また光が差した。

「どうせまたここから出られないんだろう」
そう思った。

がさごそがさごそ、その手が動く。

「きゃー」
その声がしたとたん、僕はぎゅっとつかまれ光の中に出された。

なんだどうしたんだ?

「またやっちゃたよ、こんなに皮がシワシワのさつま芋、蒸して食べるか!」

ああ、これでやっと僕は人間になれる。

オナラになって出て行くまでは。。。


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