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創作童話 僕と龍の物語 #0

「僕と龍の物語」プロローグ

宇宙神社ポールランドは今日も全宇宙からの参拝客で溢れている。

僕は、いつものように身を清めるために、てみずやの水盤に目を向けると、海路(カイジ)が気持ち良さそうに泳いでいる。

この水盤には湧き水が流れて来る。冷たくて清らかなので気持ちいいに決まってる。水盤にはスイカやトマトが冷やしてあるので、僕はよく冷えた真っ赤なトマトにガブリとかみついた。

カイジは青い龍で地球が出来た時に最初にやって来た龍のグループのリーダーだ。人間が現れるずっと前のことだから、歴史なんかには載っていない。

カイジは変幻自在に姿を変えられるので、雲になったり風になったり、時には10センチ位の大きさになって現れる。今日は小さいバージョンだ。以前、僕が湯船に入っている時も楽しそうに泳いでいた。

初めて僕がカイジに会ったのは寝て見る夢の中だった。

「何故わざわざ(寝て見る)なんていう言葉を付けるんだ?」と君が思ったとしたら、きっとこの現実だと思っている世界、その目で見る世界だけが真実だと思っているんだろう。

だけど本当はそうじゃない。寝て見る夢も起きて見る夢も変わりはない。
だって夢の主人公は数え切れない位いるけれど、夢を見ているのはたった一人なんだから。みんなそれを知らないだけ。おっと、この話は聴く準備が出来た者だけが聴くことが出来るので、話を戻そう。

僕が初めてカイジを見たのは海の中だった。カイジは海路と書く通り、海の中を真っ直ぐに泳ぐ、ものすごい速さだからカイジが通った跡は水のトンネルのようになる。そのトンネルで遊ぶのが僕たちイルカの子どもたちにとって、最高のアトラクションだった。

そう、あの時僕はイルカだった。アトランティスの海で生まれ育ったイルカだった。

僕は人間とも仲良しでよく一緒に泳いで遊んだ。いつも遊ぶのは可愛い小さな二人の女の子だ。二人はとても仲が良くて、学校の帰りに海に来て、砂浜に宿題の図形を描いたり僕たちに歌を聞かせてくれたりした。

あの日、僕はいつものように水のトンネルで遊んでいた。だけど僕はカイジがどこへ行くのかどうしても知りたくなって、水のトンネルの中を全力でカイジを追いかけたんだ。するとカイジは僕に気づいてスピードを落としてくれた。

「着いて来てはいけない!」
強く威厳のある声が僕の体に響いて来た。

「もう二度と戻れなくなるぞ!」
僕の心が止まった瞬間、激しい渦の中に巻き込まれて、僕は意識を失った。

「おまえは時空のトンネルに入ってしまったのだ。そして入口は閉じてしまった。新しい生命を受け入れろ!」

遠くでカイジの声が優しく聞こえていた。そして又僕は気を失って、深い眠りに落ちた。

気がつくと僕は海岸の砂浜に倒れていた。イルカではなく人間の少年に転生していた。「あの二人の少女のようになりたい」って密かに思っていたからなのだろうか。

こうして僕の輪廻転生の物語が始まった。

つづく


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