競馬を教えてくれたブラストワンピース
第二回 2021年1月20日(水)
みなさんこんにちは。
今回は、前回最後にお話ししたように2018年の日本ダービーで出会った私とブラストワンピースの話を書きたいと思います。
*2018年日本ダービー*
ダービー前日に初めて馬券を買い、見事に的中した自分はそれを軍資金に新聞をみながら翌日の日本ダービーの馬券を購入。
そこで自分が選んだのが、そう「ブラストワンピース」でした。
前回にも書いたようにまず名前にビビっときました。強そう。
当日テレビでパドックを見ると緑のシャドーロールに532㌔の巨漢。競馬新聞では文字でしか分かりませんから「これがブラストワンピースか!」と興奮しました。
日本ダービー。当時の自分は、ダービー=すごい大きいレースくらいの感覚でしかありませんでした。
結果は直線十分な手ごたえでしたが詰まって5着。単勝を買っていた自分はとてもアツい直線でした。
のちにスポーツ内閣で福永と川田がダービーのレース解説をしているのを見て、すごい手ごたえだったブラストを4コーナーで福永騎乗のワグネリアンが閉じ込めたと知り、ジョッキー同士の駆け引き、競馬のスポーツ性にますます引き込まれました。
春の東京の青々とした芝に、テレビ越しでも聞こえる今はない大歓声。
前日の葵ステークスとは全く違ったものでした。
*2018年 菊花賞*
そこから私は、「放牧」と称し夏競馬はやらず菊花賞前に「放牧」から帰ってきました。自分が本格的に毎週馬券を買うようになったのがこの菊花賞からです。
菊花賞で買う馬は一択でした。
新潟記念で3歳ながら1.8倍の支持を受け、直線は外ラチ沿いを伸びて完勝。菊花賞本番でも1番人気に。
結果はまたもやあと一歩届かず4着。悔しい。
ダービーの時にはまだ知らなかった各レースの位置づけや意義を知り、クラシックがどういうレースかを知った私は、ブラストが負けたことに対し自分も同じように悔しい気持ちになりました。
馬券を買うということはその馬を応援するということ。
自分が「こいつだ!」と思った馬に本命をうつ。
その瞬間からその馬に感情移入し悔しい嬉しいを共有する。
もちろん馬券を買わなければ応援してないのか、そうではありません。
ただブラストの馬券を買って2戦とも負けていますが、自分は金が増えた減った以上に、なにか競馬の神髄のようなものを教わった気がします。
*そして有馬記念*
菊花賞から毎週競馬をやり始め、その秋には天皇賞秋でサングレーザ本命から馬連三連複。その他ジャパンカップ、チャンピオンズカップ、朝日杯と、見事にいわゆる「ビギナーズラック」を掴み、もうそのころには色んなことを調べ、知り、その短期間で競馬大好き大学生が誕生しました(笑)
ビギナーズラックについての持論ものちのち話したいと思います。
そして有馬記念。ついに苦労したブラストが雪辱を果たす舞台がやってきました。
有馬記念。1年の終わりにファン投票で選ばれた馬が出走するドリームレース。
秋競馬をやってきた私にはブラスト以外にも例えばキセキやレイデオロなど好きな馬が増えていたので12月上旬ごろの時点では、
「ブラスト有馬でてきてもどうかなぁ」
と悩んでた時期もありました。が、
やはり有馬記念。ここはもちろん当てたいけれど
「好きな馬で当てたい」
逆に言えば、
「この馬でなら外れたってかまわない」
これが結論でした。
勝った馬券はブラストとレイデオロの三連単2頭軸マルチ。
レイデオロも天皇賞で初めて万馬券を的中させた思い入れのある馬でした。キセキも好きな馬でしたが、秋4戦目、前走の世界的レコードの疲れからここは相手まで。それでもこの連戦の中、当日+2㌔で来たのはやはりすごい馬だなと思いました。
当日私は阪神競馬場にいました。
中山の馬場は稍重。ハービンジャー産駒で馬格のあるブラストにはぴったりの舞台でした。
公開枠順抽選で池添が⑧番を引き、道中いつでも動ける中団外の理想的な位置取り。
4コーナーを回り最後の直線。もうそこからは、
「いけぞえ~~!!!」「ブラスト~~~!!」
声が枯れるほど叫びました。
逃げていたキセキとの差がだんだんつまり、ゴール前ラスト100mあたりで一気に変わり、見事3歳でグランプリ制覇。
馬券も見事的中。
三連単 25340円×3票=76020円
好きな馬が勝って当てた馬券は全く違うものでした。
「信じてよかった。」
これこそが競馬の魅力です。
この馬の主戦ジョッキーの池添は「この馬は絶対にGIを取れる」と言い続けてきました。
やっと取れた。
一緒にいたブラストファンの友達と涙をこらえ抱き合いました。
*ブラストに教えてもらったこと*
本当に心から嬉しかった。感動した。
私はブラストから負けることの悔しさ、勝利の喜び、惜敗が続いてもあきらめず頑張ることの素晴らしさを教えてもらいました。
*古馬になって*
古馬になってからは4歳で凱旋門賞への挑戦。
それにあたって池添から川田へ主戦ジョッキーの交代。
札幌記念は好メンバーの中、巨体ながら最内から馬郡を割っての完勝。鞍上が川田に代わって新味が出ました。
凱旋門は血統面からも期待が高かったが、もともとタフなロンシャンの馬場に雨が降り、日本馬にとってはもはや別の競技といっても過言ではありませんでした。
凱旋門大敗後の帰国後緒戦。選んだのは連覇のかかるグランプリ有馬記念ではなく年明けの中山2200mのAJCC。究極にタフだった大レースの後、無理する必要はない、いい選択だったと思います。
ここでは明らかに格の違うメンバーの中、凱旋門帰りやそもそもの能力が落ちているのではと、単勝1番人気ながら3.0倍、複勝にいたっては1.4~1.8倍で1番人気はミッキースワローに譲っていました。
「なめられたもんだ」
何が何でもこの低評価を見返してほしかった。2着ではダメ。
絶対に勝たなければならない1戦でした。
終わってみれば。
4コーナー手前で故障した馬の煽りをうける不利がありながらも、その間にスルスルとラチ沿いを立ち回ったルメール騎乗のステイフーリッシュを川田の好判断で見事差し切り、”格の違い”をみせつけてくれました。
*今ブラストに思うこと*
これまで数多くの感動をくれたブラストですが、5歳春以降なかなか思うように結果がついてこなくなりました。
2020年暮れ、一昨年の勝ち馬として挑んだ有馬記念ではレース途中で競争中止。診断結果は心房細動でした。
まずはホッとしました。
レース中に急性の心臓発作で亡くなる馬が年に数頭います。骨折して予後不良になる馬も数多くいます。どんなスターホースにもその可能性はあってもちろんブラストも例外ではありません。
またブラストの勝利を、できればその時単勝馬券を握って、そんな日がきたらいいですが、今私がブラストに思うことは、
「無事に引退してほしい」
これだけです。もうレースで見れなくてもいい。十二分に感動はもらいました。
もしまたレースに出てくれるのであれば、今はしっかり身体を直して元気になってあの緑のシャドーロールを見せてほしいとおもいます。
ブラストのことを書くと気づけばつい熱くなってこんなに長くなってしまいました。(笑)
最後まで読んでいただいた方ありがとうございました!!!
(終)
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