良質番組『ブラタモリ』はつぶされた_20170521オークス

私はここ数十年テレビをあまり見なくなった。
つまらないお笑い芸人、歌唱力も演技力もないジャニーズ、たくさんのドラマに頻出する人気俳優、みんなうんざりする。

さんまさんがボールを投げて、それを若手芸人がお決まりのギャグや決め台詞を発し、会場中みんな爆笑しているなか、その構図に飽き飽きとしたひとりシラけている自分。
笑わせるのはテレビの向こう側なのに。

話が得意でないプロスポーツ選手が本音で語ったり、人間味をみせたりすると、そのプロスポーツ選手の頭を手ではたくチンピラ芸人（かつて横山やすしさんから「おまえらの漫才はチンピラの立ち話や！」とこき下ろされた）にはたとえ芸だと言われても腹が立つ。

事務所の力でテレビ局を上から目線で見降ろし、ごり押しであらゆる番組に出演させ、他の人選まで口出ししテレビ局に圧力をかけるジャニーズ。
昔はマッチだのトシちゃんだの単体だったからよかったのだが、今は大人数のグループだから寄ってたかって番組を乗っ取る感じがする。
バレーボールを見ようと思ったら、前座でなにやらバレーとは関係ないチャラい奴らの下手な歌と踊りを見ることを強制されるのはテロだ。

一昨日は銀行マン、きのうは刑事、きょうは犯人、あしたは政治家、いくら人気があろうが演技が上手かろうが、これだけ変幻自在な俳優にはなんだか騙されてやしないだろうかとさえ思ってしまう。

だからテレビはほとんど見ない。

司会は局アナのほうがいいと思うのだが、なぜお笑い芸人なのか？？？

それでも例外はいる。
くりぃむしちゅーの上田さんのギャグの切れ味や、バカリズムのセンスなどには感心するし、TOKIOの泥臭さ、一生懸命さに男として共感するものがある。

さて話を変えるが、私が好きな数少ない番組、それが『ブラタモリ』（NHK土曜7:30-8:15）だ。
ちなみに私は深夜の再放送しか見ていないので、調べてみて土曜放送だというのに初めて気がついた。
この番組はタモリさんがNHK局アナとともに日本各地に足を運び、その土地の魅力を語り歩くのだが、あるテレビ評論家がこの番組を最近増えてきた「さんぽ」番組だと評していた。

ちょっと待ってもらいたい。

「さんぽ」番組のカテゴリーに入れてほしくない。
この番組は下手な地理の授業よりためになる。
その地形や街並みから「なぜ」という疑問が生じ、自然地理と歴史をひも解いていく番組。
何十年、何百年と移ろいゆくその土地土地が現代のモダンな街並みに様変わりしたにもかかわらず、ある土地の片隅に何十年、何百年前の昔の様子が隠しきれない、そんな特徴を発見したタモリさんの幸せそうな表情に「これぞオタク番組！」と拍手を送りたくなる。

各土地の地理・歴史の専門家が古地図や双眼鏡を片手にタモリさんたちをエスコートするのだが、その専門家たちの質問にタモリさんはことごとく正解を発する。
そのたびに、「どうだ！」と言わんばかりに満足げな表情をする。
自然地理の専門用語にも長け、知識レベルも非常に高い。

そんなこの番組にもいた。
ナレーターは草なぎ剛さん（ジャニーズを離れるみたいだが）。花粉症かわからないが鼻づまり口調が気に障るが、顔を見るよりマシか。

さて、そんな私の数少ないお気に入りの番組がつぶされるかもしれない。

「テロ等準備罪」つまり「共謀罪」法案が先週衆院法務委員会で可決した。
このままいくと、この法案は今国会で成立する見通しだ。

金田法務大臣は
「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」と述べている。

つまりタモリさんは地図や双眼鏡を持って歩いているのでこれはテロ等準備罪の嫌疑がかけられても不思議ではなくなったのだ。
当然「一般人」でもなくなるのだ。

さらにタモリさんがその土地土地で多国籍麻雀でもしようものなら共謀罪で捕まるだろう。
タモリさんもブラブラしてはいられなくなった。
困った世の中になってしまった。

私はこれこそ番組へのテロだと思っている。
笑い話だが笑えない。

この発言は現役の法務大臣の発言だけに重い。
このオヤジは地図を「紙」でしかイメージしていないだろう。
今や地図はネットで、つまりアイフォンや携帯で見るものだ。
私がこの発言を翻訳するとアイフォンや携帯を所持していれば、嫌疑をかけられてもおかしくないと解釈できる。

タモリさんだけでなく、私も、そしてあなたも「一般人」ではなくなってしまうのだ。
恐ろしや・・・

もし私がテロ犯なら必ずビールや弁当を持っていくだろう。

さて、本日はオークス。
③フローレスマジックを狙う。
人気の桜花賞組へのテロだ。

ビールや弁当を持っていくのはサクラや草花に対するテロではないのか！

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[今年の当たり]
◯NHKマイルC　ボンセルヴィーソ　6人気3着
◯大阪杯　ステファノス　7人気2着　
◯中山牝馬S　トーセンビクトリー　5人気1着
◯きさらぎ賞　アメリカズカップ　6人気1着
◯京都金杯　ブラックスピネル　6人気2着