どこをかえる?どこを、かえない?
1学期が終わって、夏休みが始まって、10日ほど過ぎた。ちょっと休めたので、2学期の授業を考え始めている。考え始める前に、メモやら、紙やらに書きなぐった1学期のことをブログにまとめて、振り返ってみた。
去年から、かわったこと、かえたこと
「自己選択・自己決定の機会を増やすこと」
うーん、なんだろうなぁ。これをやったほうがいい、これをしたほうがいい、こうしないと社会で生きていけない、就職ができないというような言葉に最近触れる機会が多い。個人的な感覚では、通常級よりも特別支援学級の方がそういう声(教員、保護者、高校関係者、企業関係者)が大きい印象。そして、自己選択・自己決定の経験があまりにも少ない。そういう言葉がけが多いと、自信の欠如であったり、自己理解の不足につながっていく。いろんなスキルも大事だとは思うし、保護者の気持ちもよくわかる。けれども、自己選択・自己決定の練習も、生徒たちには絶対必要で、自己選択・自己決定をしないで生きていく人生って幸せなんだろうか?とかモヤモヤ考えてしまう。就職するためには、あれもできなきゃいけない、これもやらなきゃいけないって、そんなに人間って、「ねばならぬ」をたくさん背負って幸せに生きていける生き物ではないと思うんだよなぁ。ましてや、まだ中学生なんだよ、と思う。
「うろうろ」
空き時間にうろうろする時間を増やした。担当していない教科の授業にも入る時間を増やしたということ。去年は、慣れるのに大変でそんな余裕はなかった。今年も、余裕があるわけではないけど、職員室でパソコンとにらめっこするより、うろうろする方が楽しいしで、そっちを選択している。どんな1日を過ごしているのかなぁって、こども理解のためだったり。どんな思いでどんな授業しているのかなぁって同僚とのコミュニケーションが目的だったり。授業アイデアを考えるためだったり。ベテランの特別支援教員の技をみたいという気持ちだったり。理由は、様々だ。
授業のこと
【国語 俳句で作家の時間】(クラス人数6名、週3コマ)
「コトバミクス」で遊んだり、「俳句メーカー」で遊んだりしながらも、夏井いつき『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業 』を使って、作家の時間を1サイクルして1学期は終了。
例えば、授業で使っていたプリントは、こんな感じ。このプリントで、3〜4回分の授業。もっとわかりやすくできたな・・・。
https://www.canva.com/design/DAGH_AUCBUY/cu62tTeyLNZoi6gUetdBSQ/view
一番よかったのは、ファンレターのときの一場面。俳句なんてむずかしい、やりたくない、かきたくな〜〜い、というある女子生徒。本を参考にしながら、ちっちゃなステップに分けて、一緒に俳句をつくってみた。まだ未完成の段階だったけれども、「これ、とてもよさそうだから、発表してみようよ〜」と、声をかけ続ける。だいたい「嫌だ!無理!」という返事なんだけれども、「まぁ、そういう気分の日もあるよね」と、懲りずに僕は声をかける。そうするとある日、勇気をもっておそるおそると発表をしてくれた。発表を聞いていたクラスのみんなから「いいね!」「面白いね!」と、フィードバックをもらえた。その作品を清書して出版。嬉しそうにファイルにファンレターをとじて「このファイルをずっと、国語の授業がないときも、かばんにいれて持ち歩くことにする〜」って。(そのファンレターは1ヶ月くらいしたら、どこかにいってしまったのだけど・・・。)俳句の単元が1学期で終わることを告げたら、まだやりたーーい!と、授業の初めとは全く違う様子を見せてくれる。2学期も生徒同士をつなげて、こういう変化を起こしていきたいな。学校の学習や人間関係でいろんなところで、つまづいたり傷ついたりしてきているからこそ。学校の学習や人間関係で、うまくいったぜ!を積み重ねていきたい。
【数学 長さ図鑑づくり】(クラス人数10名、週3コマ)
https://www.canva.com/design/DAGMkYNBNRM/eFva-juWS0_4C8doT7Nq4w/view
数学は、特別支援学級にしては、なかなかサイズの大きいクラスを今年は担当をすることになった。当たり前だけれども、それぞれの困り感はバラバラで、僕がうろうろして、ちょっとずつでも声をかけたりする時間を授業時間内で確保しなくちゃいけない。そこで「長さ」の単元で、図鑑を作るという学習にしてみた。(上のスライドのドラムロールは、意外と不評だった)。この図鑑作りでは、好きなミッションを選んで、やっていい。支援員さんにも協力してもらって授業を進めていった。ミッションに取り組むペースも、順番もみんなバラバラだから、こういう授業だと僕は生徒に合わせてうろうろもしやすくなる。あと、どうしても、ミッションではなくて、プリント学習がしたいんだ!という生徒もいるので、その生徒にはまた別の教材。それぞれのミッションごとに、ミッションシートをつくってみた。例えば、こんな感じ。
https://www.canva.com/design/DAGMkjlmSjg/Qv1K_I8e1NW7miQ32EIfHA/view
紙飛行機選手権は、他のクラスがたまたま体育館を使っていなかったので、乗り込んで開催。めちゃめちゃ盛り上がるし、これでもか!!ってぐらい今まで見たことがないぐらい丁寧にメジャーではかる。勝ちたい気持ちが伝わってくる。困ったことに、1m50までしか測れない短いメジャーしか準備できなかったけど、「つなげればいいじゃん」と、せっせと短いのを協力してつなげて、調べている生徒たち。短いメジャーさんのおかげで、うっかり協力する機会が生まれた。だいたい3回くらい紙飛行機を体育館のステージから飛ばして測ったら、あとは体育館でひたすら紙飛行機を飛ばしあって楽しんだ。
数学でも、わかったことなどをシェアをする時間をとる。例えば、「階段トレーニングで3年間続けると、なんと地球の成層圏まではたどりつきませでした!」という発表をイラした生徒がいた。発表内容のほとんどが、成層圏の説明だったけれども、なんだか楽しそうだったので、よいよい。
【社会 移動教室事前学習】(約15名のクラス2つ 週1コマずつ)
社会は、前の記事のスリーヒントクイズのあとは、Googleスライドか、A4の紙で、まとめて調べたことを発表し合おう、という内容。
https://www.canva.com/design/DAGGkPZGdbs/01d-VP9_KQsWp6LqGMD8wA/view
ただ、この授業は、いろいろうまくいかないことだらけ。移動教室までの限られた日数で事前学習をしなければならないこともあり、昨年は教員のインプット1〜2時間で事前学習は終わっていた。国語や数学で、生徒たちが見せてくれるお互いの取り組みを励ましたり、褒めたりするいい感じを、きっと社会でもできるはず、と考え昨年までとは、事前学習のやり方をガラッと変えた。日頃の生徒の興味や関心を参考に、調べるためのパンフレットを準備したり、調べるためのインターネットのリンク集のホームページもつくった。去年は、社会科担当ではなかったので、やっと社会の授業ができるぞ!と、張り切った僕は、力が入りすぎて目の前の子供の姿を見失ってしまうことになった。
https://www.canva.com/design/DAGGL_19zq8/5tUoJxJ7KWjsqJNeJ3UMiA/view
こも。「小学校のときに社会では、調べ学習をやっていましたよ」と聞いていたから、きっとこれぐらいは、できるだろう!!と思っていたら、全然そんなことはなかった。「こんなのできなーーーい!」「わからなーーーーーい」と「やりたくなーい」と、いうことが連続で起こった。原因の1つはパンフレットや、インターネットで調べること、調べたことをまとめること、班で司会などの役割分担をして発表することを、もっと細かいステップに分けて練習して、経験を積み重ねることなど、そこの段階をすっ飛ばしてしまったこと。時間がなくて、いろいろな段階を踏むことをショートカットしたことで、混乱させてしまったり、失敗させてしまったり、いい経験にならなかった生徒もいる。「いついつまでに授業を終わらせなきゃ」「あんなことも、こんなことも授業でやりたいぞ」と、主語が「教師」主体になっているときには、だいたい僕は失敗する。
うまくいかなかったことも、うまくいっていることもある。
これなら、できるかな?楽しめるかな?と思ってつくった授業をしているときに、「こんなのできんわーーーー」「こんなのたのしくなーーーい」を、すぐに声に出したり、態度に表してくれる生徒たち。そんな生徒たちの様子をみて、力不足ごめん、っていう気持ちと、ありがとう!という気持ちが同時にわいてくる。自分が(特に)20代の頃、授業をしているときに、そういう声があまりあがらず、生徒の表面的な様子ばかりをみて、「よしよし、ちゃんとやってるなぁ」って、見過ごしていた部分は結構あった。「こんなのできんわーーーー」って、「そっかぁ、じゃあこんなのはどう?」と、授業づくりが一歩前進する。社会の授業は、うまくいかなかったけれど、他の授業や日々の生活での生徒とのやりとりでは、ちょっとずつうまくいってることが、今年は増えている気がする。うまくいっているときこそ、声をあげずにいる生徒の声にも耳をすませられるようにしたい。声をきくこと。そこはかえないで、2学期も楽しく過ごしたい。
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