香港で、甲子園を見ていた話
2015年、香港出向が決まったとき、妻は泣いていたんだよ。
どこにあるかもわからないし、どんな野蛮な人間がいるかもわからないところに行きたくはないと。
まあ、当たり前だよね。
そもそも保守的で内向的な性格だったし、
そうじゃない人でも、大抵の人は怪訝な顔をするだろうね。
いきなり香港行けとか言われても。
しかし、それ以上に問題だったことがあるんだ。
僕もうすうす気づいていたけど、やっぱり指摘されたんだよ。
「日本のテレビが見られないくらいなら死んだ方がマシだ」と。
そうだよ、ウチの嫁は類まれなるTVっ子なんだよ。
そして、香港行きに対する我が家の最大の問題は、
香港でどうやって日本のテレビを見るか? になったんだ。
そこをクリアしないと、香港に単身赴任ってことにもなりかねないってね。
ところがね、
いとも簡単にその問題は解決するんだよ。
日本のテレビなんて、見ようと思えばいくらでも見られるわけだよ。
日本から海外に出向、赴任している家族も多いのだろうね。
いろんな人からいろんなサービスを紹介してもらって、最終的には「JitakuTV」というサービスを契約したんだ。
月々480香港ドル。
約7000円で、NHK、民法はもちろん、BS、Wowow、J SPORTS、アニマックスなどまで見ることができる。
業者の人がチューナーを取り付ければ、はい日本のテレビが見れますよってなったよ。
そして、それにも増して素晴らしいのが、
過去1週間分の番組は勝手にアーカイブされており、いつでも見放題なんだよ。
だから、今週、いつどんな番組があるか?
なんて先のことを気にする必要はなく、
適当に過去の番組表をザッピングする感じで、「あれ? おとといこんな映画やってたんだ」っていきあたりばったりで、いろんな番組を見ることができたんだよ。
細かいオトナの事情的なやつに関しては特に調べていないけど、どうなんだろうね?
ともかく香港にいた3年半は、家ではずっと日本のテレビを見ていたんだ。
というか日本にいるとき以上に、日本のテレビ番組を満喫してたね。
唯一の欠点は、不定期で半年に一回くらい、台風とか豪雨の影響でどのチャンネルも半日から2日くらい映らなくなることがあったけど、それでもお釣りが来るくらい満喫できた。
2017年の3月に親戚一同が香港に遊びに来たことがあったんだよ。
僕の部屋にも来てもらい、「ドア開けたらいきなり部屋かよ(香港には、いわゆる玄関がない)」とか「狭いな」とか「25階とか、どんだけ高層階かよ」とか言いつつ、テレビを付けたら春のセンバツ甲子園がやってて、「ここはホントに香港かよ」とかいう話を、球児を見ながらしたことを覚えてるね。
とにかくテレビに関しては、不自由がなかったのだが、どうせなら香港のローカル番組ももっと見ておけばよかったなという見逃した感はあるかな。
香港の生活や文化を堪能して、
いろんな観光地にも行ったし、美味しいものも食べたけど、
テレビに関してはまったく見ることがなかった。
言葉はわかんなくても、一日中ぼんやり海外のテレビを見てるってのも悪くなかったようにも思うんだよね。
「ああ、ここは海外だなぁ」って実感できたはず。
香港のテレビ番組ってどんな雰囲気だったのだろうか?
それだけは、わからず仕舞いなんだよね。