編集部員の備忘録(ダートグレード競走の大転換について)
お世話になっております。UMAJIN編集部員の平石です。
毎週水曜日は「データたちへの鎮魂歌」として、データ紹介をしているところだったのですが、個人的にそれよりビッグなニュースが月曜日に地全協方面から飛び込んできたので、今日はこれについて備忘録代わりにまとめてみたいと思います。
↑突然の大ニュースに慌てる平石の図
開放元年以来のビッグニュースであろう今回の一件。ダートグレード大好きな方もそうでない方も、ご一読いただけますと幸いです。なお、あくまで個人の見解なので悪しからずご了承ください。
なお、今回の記事は地方競馬全国協会からのリリースを基に作成しております。一次ソースへのリンクも以下に置いておきますので、そちらもご覧ください。https://www.keiba.go.jp/topics/2022/11/2808303227033.html
<体系整備の概要>
(1)3歳ダート三冠競走を中心とした体系整備
既報にあったように、羽田盃と東京ダービーがダートグレード競走として実施されるのに加え、ジャパンダートダービーがジャパンダートクラシックとしてこれまでの7月開催から10月上旬への開催となります。
これまで南関東の三冠競走はアメリカ式で上半期にギュッと詰め込まれる形だったのですが、イギリス式(JRA式か)の4月~10月のスパンで開催されることになります。ダート三冠で「夏の上がり馬」の概念は今までなかったと思うのですが、そんな馬が現れるようになるかもしれませんね。
それに合わせて前哨戦も整備されることに。
【羽田盃】
→ブルーバードC(JpnIII、1月船橋)、雲取賞(JpnII、2月大井)、京浜盃(JpnII、3月大井)
【東京ダービー】
→ユニコーンS(GIII、施行時期は未定)
【ジャパンダートクラシック】
→不来方賞(JpnII、9月盛岡)
ユニコーンSの時期が動くのは既報の通りですが、まさか不来方賞がダートグレード競走になるとは。しかしこれで気になるのはダービーグランプリについて。今後はどんな取り扱いになるんですかね?
誰がどう見ても新しい不来方賞と条件がドン被りしているわけで、普通に考えれば「ダービーグランプリを前身として不来方賞に名前を変えてダートグレード化しました」的な感じになりそうな気がするのですが。ダービーグランプリの取り扱いについてはまだ岩手競馬からアナウンスのない状況なので、これは個人的な考えです。続報を待ちましょう。
個人的にはダービーグランプリの再ダートグレード化でも大して話は変わらない気がしたのですが、このあたりは色々あったのでしょう。何があったのかはさすがに自分も分かりません……。というか、ジャパンダートクラシックがダービーグランプリでも良かったのではという気がしないでもない。たただダートグレードの返上とか色々あったからなぁ……。
個人的にはダービーグランプリの名前が残ってくれると嬉しいなぁと考える次第ではあります。ダービーグランプリって聞くと、秋の3歳ダート王決定戦って感じがするんですよね。
(2)2・3歳ダート短距離路線の整備
6月の発表とあわせてザックリまとめるとこんな感じに。
・兵庫CSは1870m→1400mに
・エーデルワイス賞(JpnIII、2歳牝馬限定)が10月中旬から11月上旬へ
・6月の3歳以上混合戦だった北海道SCが3歳限定になって8月中旬へ
・重賞級認定競走(ネクストスター)の新設
兵庫CSの距離短縮は既報の通りですが、エーデルワイス賞の施行時期変更と北海道SCが3歳限定戦になるとのこと。エーデルワイス賞の施行時期移動の理由として「出走馬の質の向上を図る観点」としているので、2週間でも遅くすることで、レベルの高いJRAの中央場所を勝った馬に出てきてほしいということなのかもしれません。10月東京開幕週のダートの新馬を勝った馬とかに出てきてほしいのかな~というイメージです。
北海道SCの移動もなかなかのニュース。もうオースミダイナーの記録が破られることはなさそうですし、メイショウアイアンみたいなベテランを買うこともできなくなりそうです。ちょっと残念かもしれません。
重賞認定級競走(ネクストスター)新設も目玉の取り組み。
シレッと書いてあるのですが「同競走については、ダート適性馬の地方競馬への早期入厩を促進する観点から、地方デビュー馬のみ出走可能といたします。」とのことなので、地方競馬の馬資源の確保という考え方が強く出ているような気もします。1000万って相当賞金高いですよね。一口の地方ファンドが捗りそうです。
(3)既存ダートグレード競走の総括的な見直し。
こちらも変更が入った点をざっくりと。
・さきたま杯が6月中旬に移動。あわせて3歳以上のJpnIに。
・かきつばた記念が3月上旬に移動。
・ダイオライト記念がグレード別定に。
・川崎記念が1月下旬から4月上旬に。
・名古屋グランプリが4歳以上のレースに。合わせて5月上旬に移動。
・名古屋大賞典が3歳以上のレースに。合わせて12月下旬に移動。
・エンプレス杯が5月上旬の定量戦に。
・クイーン賞は12月上旬の3歳以上戦から2月上旬の4歳以上戦に。
・TCK女王盃が兵庫女王杯になって園田開催に。合わせて4月上旬に移動。
・ブリーダーズGCが9月上旬に移動。
・マリーンCが4月上旬の3歳以上戦から9月下旬の3歳限定戦に。
変更点が多すぎる……。目がチカチカしてきました。
まずはさきたま杯のJpnI格上げ。開催時期的には安田記念チックなイメージですかね。川崎記念が4月というものなんだか不思議な感じです。フェブラリーSを使った馬が適性に応じて川崎記念orかしわ記念を選ぶような感じになるのでしょうか。
ゴールデンウィークのかきつばた記念が動く関係で、名古屋グランプリがそこに入るイメージですかね。GWの書き入れ時に重賞がないのは売上的に痛いはずですし。
あと一番驚いたのがTCK女王盃が兵庫女王盃になること。名前どころか全部が変わっとるやんけ感がすごいです。エンプレス杯の前哨戦としての位置づけという移設理由のようなので、ゆくゆくはエンプレス杯も格上げを考えているのかもしれません。
<その他>
(1)ダートグレード競走の魅力向上に向けた取り組み
・本賞金の増額
・地区重賞の競走体系整備や負担重量の見直し
・ダートグレード競走への出走奨励策
・ダートグレード競走地方最先着馬に対する褒賞金
もっと地方に馬を入れてくれる馬主さんを増やそう! ということですね。
(2)国際化に向けた取り組み
個人的に一番びっくりしたのがここの項目。シレッと書いてあるのですが「地方競馬では2028年から段階的に「Jpn」表記の使用を取り止め、全てのダートグレード競走を国際競走とすることを目指します。」ってこれは大改革な気が。
海外馬の受け入れ準備(検疫等もろもろ)やレースレーティングの達成など超えるべき壁は多いですが、実現できるか見守ろうと思います。今考えると、競馬法の改正もこれを目がけたものだったんでしょうね。
<平石の感想>
エライことになったもんやでぇというのがファーストインプレッションにして最終版の結論な気が。6月の発表の時点で割とビックリしていたのですが、さらにドラスティックに変わり過ぎて、いやぁ驚いた驚いた。
6月の時点で一口馬主界隈ではダート血統の需要が高くなりそうだなぁと思っていたのですが、それに輪をかけてダート馬が人気しそうだなぁと思ったり。地方ファンドのニーズも高くなるのかもしれませんね。
その一方でネクストスターなど高額賞金レースをさらうだけさらっておいて、時期が来たら中央に転入しますね~という馬主さんが現れそうなのも事実。果実だけ取っていって、後は野となれ山となれという行動を取られないような対応策を考えていく必要がありそうです。
地方に所属し続けることのメリットをしっかり見せていく必要があるんじゃなかろうかと思う次第。それがお金なのか、名誉なのか、はたまたシステムでカバーするのかという点は諸説あると思いますが。
今後も色々と続報が出てくると思いますので、引き続き注視していきたいと思います。
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