【読書録】『UXリサーチの道具箱』を読みました
何が書いてあるか
調査→分析→整理までのUXリサーチプロセスが網羅的に描かれている。
ページ数は少ないが、「定性調査ってなに?」「バリュープロポジションって?」という初学者にはおすすめの本。
わかったこと
メルペイのみほぞのさん(@mihozono)はじめとして、
多くのUXリサーチャーの人たちが教科書的に最初に手にとっている本。
それだけに、今すぐ生かせる手法が沢山載っていた。
世にローンチされているサービスを練習がてらトレースなりデコンするのにも使えそうだし、私のような初学者にはとてもありがたい。
この前のセミナーで金子さんも仰っていたけど、UXの手法は行動してどんどん試すべき。ただ、どの段階でどの手法が適切かは、もういち段階掘り下げる必要がありそう。
以下まとめ
Chapter1ユーザー調査概論
・聞くべきはユーザーの声ではなく行動である。
・アンケートは量的調査である
・アイデア発想のための調査が生成的調査、いくつかあるアイデアからどれが一番優れているかを発見する調査が検証的調査
・グルインは体験把握には適していない。なぜならよく見せようと脚色したり、一人あたりの時間が短かったり、バイアスがかかりやすいから。
・ユーザーに弟子入りするコンテクスチュアルインタビューがおすすめ
・先入観を持たず現場に飛び込む人類学の手法「エスノグラフィ」はインテルのベル博士に代表されるように、ITとの関わりは1979年から長い。
・調査と評価は違う
Chapter2 ユーザーインタビュー
・弟子入りの基本フローは教えを請う→根掘り葉掘り→確認→フォーカスを移動
・良いインタビュワーは相手の話を聞いており、決して次の質問を考えていたりしない
・体験の有無→体験の頻度→直近の体験の順番が定番
・文脈をクリックするように、流れでインタビューするのが良い
・聞くべきは「何故」ではなく「どうやってHow」
・自身の思考を相手に当てはめるのがシンパシー。思考プロセスをたどるのがエンパシー。目指すのはエンパシー
Chapter3データ分析
・質的データの分析は、脱文脈化のこと。切ったり貼ったりする
・生まれた新たな疑問はまた調査する。疑問が飽和するまで行う
・パターンを探り出す
Chapter4ペルソナ
・ペルソナは架空の人物だが、実際の調査プロセスで発見されるもの
・ペルソナは①パターン化して②擬人化して③優先順位をつけたもの
・妨げにならないよう、写真や名前選びはニュートラルなものに
・架空のものであるという意識を忘れずに
・ペルソナはチーム全体でつくる
・Tipsペルソナスペクトラム
・ペルソナはUXのツールとしてだけではなく、様々な分野で活躍している。例として、スープストックの事業コンセプトの擬人化。「秋野つゆさんっぽくないよね」という意識の共有。ただしネガなペルソナには注意
Chapter5シナリオ
・As isの現状シナリオとTo beの理想シナリオがある
・Tips対話シナリオ。作業を実演してもらったときの記録にも便利
・「シナリオに基づく設計」では4種類のシナリオがある(課題、作業、情報、対話)現場では、サイトやシステムの振る舞いをシナリオ形式で表現するのは非効率であるため、画面遷移図などの絵を用いることが適している
・ペルソナシナリオ法では、3種類のシナリオがある。(コンテキスト、キーパス、バリデーション)コンテキスト・シナリオが中心で、これはニーズを持った人が読めば欲しくなるような理想的な内容を書く。あくまでも手法の一つではある。
・ストーリーボードは視覚的に共有できるので理解しやすい
Chapter6ジャーニーマップ
・サービスのスコープ内だけでなく、体験の最初から最後まで書く。
・優れた体験は部分最適化ではなく全体最適化から生まれる
・「マルチタッチポイント」の現代、ジャーニーは有効な手段
・外食プロセスがジャーニーマップ、食事体験がエクスペリエンスマップ、レストランの舞台裏がサービスブルースプリント
・ストーリーも共有する
・サービス使用前、後を比較するとわかりやすい
Chapter7ジョブ理論
・人は片付けたいジョブのために製品やサービスを雇う
EX)運転中の暇つぶしのためにシェイクを買う
・顧客が求めているのはジョブを片付けることで得られる結果
・顧客はジョブをPCのスペックを見るように比較する
・顧客が何かを雇うと、何かが解雇される。
EX)破壊的イノベーション
・押し、引きの推進力>惰性、不安の抵抗力になったとき商品は雇われる
「〇〇でおこまりでは?」「これを使えば解決できます!」「今ならトライアル無料!」「サンプルを差し上げます」
・ジョブインタビューは①購入時点の把握(いつどこで買いましたか?)②始点の把握(ほしいと思ったきっかけは?)③意思決定プロセスの把握(どんなことを調べましたか?)④利用体験の把握(マニュアルはどうでしたか?)
Chapter8キャンバス
・ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルと製品の開発を同時並行ですすめるためのツール
・バリュープロポジションキャンバスとは、ビジネスモデルキャンバスの価値提案と顧客セグメントのセクションをぬきだしたもの。顧客のジョブに対応しているか、どんなペインやゲインに対応しているかが議論できる
・ペイントゲインは逆ではない。
EX)QBハウスのペインは「髪を切るのに価格が高く、時間がかかること」ゲインは「髪を整えること」で安くて早くてもみっともない仕上がりではいけない。
・バリュープロポジション、製品の価値とは「①顧客がのぞんでいて②競合は提供できず③自社が提供できる」もの
EX)Airbnb「世界中の仲間のお家と体験を予約、暮らすように旅しよう」
・「減らすと増える」イノベーションの原則
EX)QBハウスは「洗う」を減らした
・実現可能か、顧客に届けられるか、持続可能かチェック
・キャンバスは絵に描いた餅である。顧客からのFBを得て検証、成長させる必要がある
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