59歳、思いつきで1人旅してみた(和歌山熊野古道編完結!)Part3
12.日本最古の湯「湯の峰温泉」へ
熊野古道「大日越」
山道歩けるかなぁと心配しつつも、無事、4時過ぎに目的地の湯の峰温泉に到着。
天気が崩れそうな感じだけど、山道で降り出さなくてよかったです。
古道抜けて湯の峰温泉に入る小道沿いに、今夜泊る「ジェイホッパーズ熊野湯峰ゲストハウス」を見つけたのですが、チェックインを後回しにして先を急いだのはなぜかというと
「つぼ湯」に入りたかったから!
「つぼ湯」とは日本最古の湯「湯の峰温泉」の中心にある公衆の岩風呂で、世界で唯一の世界遺産に登録された入れる温泉なのです。
湯の峰温泉の中心を流れる川の橋のたもとに小屋があり、中に一度に2人程しか入れない小さな岩風呂があります。
入浴は1組(または1人)30分までの交代制になっていて、朝6時~夜8時半までに一日最大29組しか入れず、予約が埋まってると諦めないといけないので、まずは予約に走ったのです。
もう5時前だし、今日はもう厳しいかなと思いつつ、受付の公衆浴場の窓口で聞いてみると
「2組待ちなので最大60分待ちです」とのこと。ラッキー!
800円で、つぼ湯30分と、公衆浴場の「薬湯」に入れるチケットを購入し、番号札をもらいます。
2組待ちなので、つぼ湯の待合小屋に行き、座って本を読んでると、奈良から来たご夫婦が来られ、少しおしゃべり。
実は、早い時間に予約に行ったら、6組待ちで諦めようと思ったそうですが、あらためて夕方来たら、団体が帰ったかなにかで1組待ちで予約できたそう。
時間帯で、予約とれたりとれなかったり、タイミングがあるみたいです。
自分の順番までまだ30分以上あったので、ひとまず宿泊先でチェックインを済ませます。
13.宿泊先の検討
本日のお宿「ジェイホッパーズ熊野湯峰ゲストハウス」というより「J-Hoppers Kumano Yunomine Guesthouse」。
外国人利用客が中心のゲストハウスで、泊ったときも9割外国の方でした。
今回、旅の行く先に湯の峰温泉を見つけたときは、「59歳おじさん一人旅」らしく、秘湯の鄙びた温泉宿でゆっくり温泉に浸かり、和室の部屋食で土地の食事とお酒を楽しみ、本を読みながら文豪気分に浸る、という完璧な計画を立てていたのですが、たまたま、旅行前に出会ったツーリングマップルライターのAさんから、J-Hoppersの話を聞き、軽く宿泊先の選択肢の一つに加えていたのです。
調べてみると、湯の峰温泉は、山間の川沿いに十数軒の旅館しかない小さな温泉街で、まさに理想的な秘湯なんですが、食事場所があまりなく、夕食難民になる危険性が心配でした。
それが、ちょうど旅行日の数日前に、湯の峰温泉に食事もできるおしゃれなバーがオープンの情報が!
温泉宿でゆっくりも捨てがたいけど、温泉街のバーで地元のビールと食事を楽しむのも悪くない。
となるとゲストハウスもおもしろそう。
なにより、1泊3,500円は魅力的!
そしてもう一つ魅力的だったのが、ゲストハウスとはいえ、J-Hoppersには専用の温泉が3つもあって入り放題だったのです。
ということで、今回の宿は「ジェイホッパーズ熊野湯峰ゲストハウス」に決まりました。
14.湯筒で温泉卵を作る
さて、話は戻って、
ゲストハウスのチェックインを済ませ、つぼ湯の待合小屋に戻ったのですが、まだ少し時間があったので、少しぶらぶら。
湯の峰温泉は、本当に小さな温泉で10分もあれば端から端まで歩けます。
街の真ん中を小さな川が流れていて、川に沿って宿やつぼ湯、源泉などが集まっています。
橋を下りたところに、温泉がゴポゴポ沸く「湯筒」があり、そこで玉子や野菜を浸けて、温泉卵を作ったりできるそうです。
待合小屋の前に「湯胸茶屋」という小さな休憩所があって、そこで玉子やお土産を買うことができます。
そこでうどんやおにぎりなど食事もできるようなのですが、家の軒先の休憩スペースのような感じで、店の人もおらず、外国人観光客が適当に休んでる感じでした。
玉子はネットに入っているので、湯筒の熱湯に自分で勝手に浸けて温泉卵を作ります。
できるまで10分ほどかかるので、自分が浸けた場所を覚えておかないといけません。
扉の奥が家なのか、「用のある方はお呼びください」と張り紙があって、営業時間少しオーバーしていましたが、声をかけるとおばちゃんが出てきて、無事に温泉卵用の玉子2個とお土産のフキの佃煮を無事にゲット。
そうこうしてるうちに、つぼ湯の予約時間が迫ってきたので、少し早かったけど、いわゆる半熟の温泉卵でもいいかと早めに上げて持ち帰りに。明日の朝ごはんに添えてみよう。
15.世界遺産登録!日本最古の温泉に入る
17時を過ぎると辺りは暗くなってきて、情緒も増します。
橋の横から階段を下りて、つぼ湯小屋へ。
小屋の前に予約の札をかけて、靴を脱いで中に入って着替えます。
簡単な脱衣コーナーの横に岩風呂があって、脱いですぐ入れます。
熱めだけどいい加減のお湯で、岩に囲まれたお湯に浸るとじわーっと温まってきて、めちゃくちゃ効きそうです。
板囲いの外はすぐ川で、川の音を聞きながら、ゆっくりと世界遺産の温泉を貸切って入っていると思うと、豪華さとはまた別の贅沢気分を味わえます。
これで800円は安いです。(以前はもっと安かったので値上げを嘆く声もあるようですが)
しかも、つぼ湯を貸し切りで楽しんだ後は、公衆浴場の「一般湯」(こちらはシャンプーとボディーソープがあって体を洗える)か「くすり湯」(温泉成分が濃い?洗い場ありません)のどちらかにも入れます。
せっかくなので「くすり湯」をチョイス。
こちらはリニューアルして間もないとのことで、きれいな建物。
黒人が一人先客でいたのですが、修行僧のように温泉に浸っていたので話しかけられず。
私も静かにくすり湯に浸りました。
16. クラフトビール&温泉せいろ蒸し(湯垢離バー)
つぼ湯とくすり湯で今日一日の疲れもすっかり癒し、お腹もすいたころ、いい気分で新装オープンの「湯垢離バー」に向かいます。
といっても、公衆浴場から歩いて1分。街中にすべてのスポットがギュッと詰まってるのでめちゃ楽です。
ここも外国人旅行者で溢れていて、異国感満載。
言い方は悪いですが、こんな辺鄙な田舎の山奥に、世界中の人が集まって賑わってる様子は不思議な感覚です。
1階が一杯だったので、2階でクラフトビールとポークと野菜の温泉蒸しセットを注文。
電車バス旅&山歩き&湯上り後の冷え冷えビールおいしーーー!
野菜の温泉蒸しは別府の鉄輪でも頂いたのですが、美味しいんですよね。
一人で食べるのはちょっと寂しいのですが、本を片手にビールと美味しい料理でいい気分です。
みかんジュースと和歌山の柑橘じゃばらの湯垢離サワーでしめて3,000円。
ごちそうさまでした。
17.宿に戻ってまた温泉三昧
宿に戻ってまた温泉です。
露天風呂含めて3つの浴室があり、それぞれ入口の札が空きなら、使用中に札を裏返して貸し切りで使えます。
湯の峰温泉は、小栗判官の伝説の地で、毒で死んだ小栗判官が、たどり着いたつぼ湯で四十九日湯治したら甦ったという、死者も甦るほど霊験あらたかなお湯。
確かに浸かれば浸かるほど効きそうないいお湯でした。
ゲストハウスは、相部屋のドミトリーで二段のカプセルホテル風の部屋になります。
中は広くて周りも静かでぐっすり眠れました。
18.中国人の朝ごはんにビックリ!
今日は早起きしなくてもよかったのに、5時半に目覚めてしまい、朝露天風呂へ。
昨日はなんとか天気持ってくれたのですが、今日は朝から雨模様。
せっかくなので、白浜に行こうと考えているのですが、雨だと海を見てもなあと思案。
朝ごはんは昨日の茶屋に行ってもよかったのだけど、ゲストハウスで温泉で作ったおかゆと梅干しがサービスで頂けたので、昨日の温泉卵とフキの佃煮と温泉粥で済ませることに。
温泉卵もおかゆも美味しくて朝から満たされます。
コーヒーやお茶もあったので、ドリップコーヒーも入れ、広間の和室でゆったり朝ごはん。
他の宿泊客もそれぞれに朝食をとっているのだけど、国によって違いがあって面白い。
白人のお兄さんは、コーヒーと袋の食パンで簡単に済ませてるし、おかゆを食べてる人も。
なにより驚かされたのが中華系のグループ。
ゲストハウスはキッチンがあって、鍋や茶碗、皿なども自由に使えて簡単な自炊ができるようになっている。
そこで、中国人の家族らしき6人のお客さんが、本格的に朝ごはん作ってるのです。
なんかいい匂いするなあと思ってると、キッチンでお母さん?らしき人が卵料理作ってます。
出来上がった皿を息子さんが広間のテーブルに運んでるのですが、あっという間に、キュウリの炒めたのやら、本格的な麻婆豆腐やら、りんごのデザートやら、がっつりの朝ごはんが並ぶので、思わず見入ってしまいました。
いや、中国人の食にかけるパワー凄いです!
めちゃくちゃ食べたかったです。
19.外国人旅行者のマナー
あと気づいたのが、中華系の旅行者は、家族的で5人以上のグループが多く、西洋系の旅行者は男2人、女2人、あるいはカップルの2人組が多かったです。
これもお国柄があるのでしょうか?
以前、京都市内の観光地の食堂で、外国人旅行者、特に中国人旅行者のマナーが悪いという話を店主から聞いたことがあり、なんとなくそうなのかなーと思っていたのですが、今回、熊野の旅では基本、外国人ばかりでしたが、皆さんめちゃくちゃマナーよかったです。
熊野古道という、ある意味、簡単ではないマニアックな旅をチョイスする外国人は、それなりに自助能力に長けた旅の上級者なのかもしれませんが、バスの中でも礼儀正しかったし、古道歩きの人らもみなフレンドリーで協力的だったし、ゲストハウスのお風呂場も、使った後の桶とかきちんと揃えられてたり、夜も騒がず静かだったり、外国人旅行者のマナーのよさを強く感じた旅でした。
先程の中国人の家族も、キッチンを使った後、てきぱきと洗い物や片付けもきれいにされていて、手際の良さにも感心しました。
外国人旅行者、なんて一括りでは語れないし、たまたま今回の旅で出会った旅行者がみんな感じがよかっただけかもしれないのだけど、それでも自身の経験として、今回の旅で一番印象に残ったことなので、書き記してみました。
20.外国人旅行者こんなにいたの?
朝食も済ませ、寝床も整えて、宿を後にします。
湯の峰温泉発~紀伊田辺駅行きのバスに乗るため、バス停に。
いよいよ雨がしっかり降ってきて、バス停にはカッパを来た外国人観光客で一杯。朝からごった返してます。
こんなに外国人旅行者いたの?というぐらい、外国人しかいません。
たぶん、温泉旅館に泊っていても外国人で一杯だったのでしょう。
雨の中、バスを待ってる間も色んな国の言葉が飛び交います。
8:29 湯の峰温泉を後にし、龍神バスで山道2時間、いよいよ旅も終盤へ。
10:15 5分遅れで紀伊田辺駅に到着。
駅前で、明光バスに乗り換えて、白浜方面に向かいます。
白浜は来たことがないので、せっかくだし、海を見て帰ろうと思っていたのですが、結構な雨で海の景色は楽しめそうもなく、海岸沿いの名勝に行くのはやめて、海鮮を食べて帰ることにしました。
21.とれとれ市場南紀白浜
ということで、「とれとれ市場」バス停で下車。紀伊田辺から520円。
平日ですが、大きな駐車場は結構、車で一杯。
舞鶴のとれとれセンターみたいな感じかなと思っていましたが、こちらの方が大規模でした。
中に入ると、右手に鮮魚などの販売コーナー、左手にお土産物やフードコートがあります。
食事コーナーは、お寿司、海鮮丼、惣菜といろいろあって迷います。
迷った末、海鮮おつくりコーナーで、サーモン、まぐろ切り落とし、ごはん、あら汁をチョイス。1,520円也。
セルフ海鮮丼にしましたが、お魚乗り切らず、お刺身もあら汁も美味しくて、我ながらなかなかGoodチョイスでした。
周りを見渡してみると、昨日と打って変わり、こちらは100%日本人しかいません。
2日間の旅程で、どちらも回れるコースなのですが、こうも旅行者の層が違うのかと、地域の観光施策についても想いを馳せてしまいました。
さて、豪華な昼食で、お腹も満たされ、お土産コーナーなんかをぶらぶら眺め、息子に和歌山みかんのお土産を購入。
(10種類以上のみかん試食できて、食べ比べると味が結構違うので、試食有難かったです)
こういう巨大観光客向け施設は、所詮、観光客向けなので、あまり期待しないのですが、お店の人の感じよかったし、ご飯も美味しかったのでけっこうおススメです。
それでも2時間もいれば十分なので、少し早いけどバスで白浜駅へ。
22.長い旅の帰路
帰りは、14:20白浜発くろしお24号、もしかして1本早い特急に振り返られるかなと淡い期待を持って駅に着いたのですが、「サイコロきっぷ」は予約変更不可で待合い室で本を読みながら時間を待ちます。
14:20定刻、特急くろしおで一路大阪へ。
昨日出たとは思えないほど、長く濃い旅でした。と振り返るにはまだ早い、家に着くまでまだ4時間半以上の遠い家路…。
17:11大阪駅着。ルクアの地下でパンと飲み物を買ってから、再びJRで福知山を目指します。
18:11 大阪発~18:54 ようやく福知山まで帰ってきました。
あたりはもう真っ暗。
駐車場に停めた(といっても昨日の朝!)車に乗り込み、家まで約1時間。
と、その前に、京丹後大宮駅で修学旅行から帰ってきた息子を迎えて帰宅。それぞれの長旅を終えました。
お互い話したいこと、聞きたいこと山ほどあるけど、ひとまずここでおしまい。
長い旅のお話にお付き合いいただきありがとうございました。
次回はおそらく久しぶりの海外編かも?斯うご期待!