文喫-Amazonでは出来ない本棚という体験-
12月11日にオープンした入場料のある本屋『文喫』が話題になってます。CINRAさんでさっそくレポが出ていました。
ニュースを聞いた時から気になっていたのですが、このレポを読んでますます行ってみたい!と思いました。
みなさんは最近本屋さんに行ってますか?
私は学生時代に本屋や某古本買い取り屋でバイトしていたくらい本も、本屋という場所も好きです。
私が本が好きな理由は小さい頃の思い出にあります。
自営であまり休みがなかった父との唯一のコミュニケーションが『読書』でした。
わりとファザコン気質だったこともあり、父が好きな本を読んでそれについて仕事から帰ってきた父と話すということが日常の楽しみだったのです。
中学生なのに、池波正太郎や藤沢周平などの渋い時代小説や、松本清張などの推理小説などを真剣に読んでいました。
本屋についての話だと、父が休みの日は大型書店に行って本を買ってもらうということも多かったです。
裕福な家庭ではなかったので、好きなものを好きなだけ買い与えてもらえる環境ではなかったのですが、本だけは父がわりと文句を言わずに買ってくれていたことを覚えています。たまにワガママ言ってマンガも買ってもらってましたが(笑)
なので、本屋さんという場所に非常に愛着があるのです。
文喫の入場料を取る体制に賛否はあると思うけど、豊富な本の中からじっくりいまの自分に必要な本と出会える場所になるんじゃないかなと思います。
また私のように本屋という場所が好きな人にとったら、ゆっくり本棚を眺められるというだけでも価値のあるお店なんじゃないでしょうか。
(これが図書館だと、本を読む目的とは違う人も多かったりして気を使ったりしてしまうんですよね…。)
いまはAmazonで欲しい本がすぐ家に届く時代です。
先ほど本屋が好きと言いましたが、私もこれ!って決め打ちしてる本だったり分厚い本なんかはAmazonで注文することも多いです。
悲しいことに、品揃えの面でも既存の本屋よりAmazonのほうが圧倒的に優勢ですしね…。
持ち帰るという作業がなくなってラクである反面、『本棚』というグラデーションの中から本を選ぶということはAmazonでは出来ないというのもまた事実です。
検索ワードに漏れるような本ってやっぱりありますよね。
ネットで探してた時は目につかなかったけど、立ち読みしてみたらいいなって思う本もあったりします。
インターネット-もっと言うとSNS-が普及して以降、白黒をハッキリしないといけない、させなくちゃいけないという風潮が強くなったと感じてる人も多いのではないでしょうか。
もっとグラデーションがあってもいいんじゃないかなと思うんです。
たとえば、不倫にしたっていろんなケースがあるわけですし、そもそも外野がなんで意見する権利があるんだって話でもありますし。
音楽にしてもファッションにしても『カテゴライズされることの疲れ』みたいなものもあるんじゃないかなと思います。
『多様性』という言葉が使われますが、そのものの本質を理解することって一言で言いきれるほど簡単なものではないと思うのです。
そのほうがわかりやすくて、キャッチーであるのは間違いないんだけど、そういうことをすることで取りこぼしていく大事なものっていうのは確かに存在してるのです。
なんだか遠回りになりましたが、文喫という場所のことを考えてたら、本屋や本棚って、『リアルな体験』って感じなんだなって思ったのです。
本棚を眺めると、一つのジャンルでも違う意見や違って視点で書いてるものや、同じ作家さんでも毛色の違う小説を書いてたり、そういう小さな発見が絶対にあるんですよね。
タモリさんが坂道について書いた本を出してたり、最近売れてるアイドルがいっぱいファッション誌の表紙を飾ってたり。自分には関係ないと思ってた分野も、意外とそんなことがなかったり…。
そして、そうやって実際歩き回って見つけた発見って、どんなに小さなことでも記憶にも残りやすいもんですよね。
そして、自分が考えてた正解以外の正解が当たり前に存在するということが目でわかるのが本棚なのかなと私は感じています。
私は悩みごとがあるとよく本屋に行っていろんな本棚を眺めます。
いままでなんでそんなことしてんだろうって思ってたんだけど、そういうことなのかなと今回気づきました。
いろんなグラデーションを見てると、自分の悩みや迷いも晴れていくような気がするんですよね。
いまはオープンしたばかりで混み合ってそうだけど、文喫早めに行ってみようと思ってます。
どんな出会いが待ってるかいまから楽しみです。
eri
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