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つながる。帰り道の花からセブンイレブンのこと。

日常でよく目にするものは、時々記憶とリンクして懐かしいことを思い出させてくれる。


キャッチにした写真の花、名前は知らないけどよく見かける。

この写真は今日帰り道に私が撮ったものだ。

一人で家まで帰ってるときにこの花を見ながら歩いていたら、とても懐かしい気持ちになった。

なんだろう?よく見る花な気がするけど、どこで見てたんだっけな…。

そう思いながら歩いてて、
そうだ、小学校の通学路に咲いてた花だったんだ。
と、思い出す。

小学校と自宅との行き来で、どこかの会社の社宅用の団地があるエリアを通ってたんだけど、そこの通り道にこの花が並んで咲いていたのだ。

この道は今の家に住んでから何度も通ってきてたけど、そのことを思い出したことは一度もなかった。

小学生の頃の自分が見ていた風景が、リアルに思い出されなんだかとても不思議な心地になる。

そして、その記憶に引き摺られ別の記憶が思い出される。

あれは私が一人で遠くの町にリゾートバイトしに行ったときのことだ。


その頃はいろいろな事情があって、なんかもうリセットしたい!知らない人だらけのところに行きたい!と思っていた。

お金がないから引っ越し費用もないしな…と考えてたときに思いついたのがリゾートバイトだった。

住み込みでご飯も出るし最高だ!
と、超ノリで登録し、トントン拍子に関西地方の温泉地に行くことが決まった。

行くときは、最高!ハッピー!だったが、行ってみたら地獄に落ちてしまったような絶望感になったことをすごく覚えている。

まず、その旅館は駅からバスで30分以上かかる場所にあった。
さらにそのバスも、30分に一本、下手したら1時間に一本しか来ないのだ。(なんなら電車もそのレベルで来ない)

私は千葉県のそこそこ都会とされるところで育ったので、あの町の過疎具合にはかなりのカルチャーショックを受けた。

これに加えて、関西弁で捲し立ててしゃべる女将さんやお姉さんたち、マイルドヤンキーな地元出身の先輩…。

解放感はほんの一瞬。
私は初日から重度のホームシックになってしまった。

朝5時に起きて支度をして仕事をし、お昼をもらい帰宅してはインターネット。昼寝をし、夕方から出勤して帰ってはインターネット。

寂しくてとにかくSNSを見たりYouTubeで音楽を聴きまくったりしていた。
でも、海際の旅館だったのでソフトバンクの電波が全然入らなくて、それがまた私を悲しくさせた。

少しだけ余裕が出てきたある日。
私は一番近所の「賑わってる場所」に行こうと決めた。

賑わってる場所と言うとゲーセンがあったりオシャレなお店があったりする所をイメージするかもしれないけど、そういう場所じゃない。

その町に住む人が生活用品を買うための店が集積されているエリアだ。
スーパーやドラッグストア、ちょっとした食べ物屋さんに、広い駐車場が設けられているようなエリアのことだ。

そこへ向かうには自転車でも10分。歩くと20分以上はかかる。
忘れたけど、寮にあった自転車を借りて行ったような気がする。

かなり寂しい道を走っていくと、だんだんと道が広くなり、車が増え、歩いてる人が増えていく。
この町にも普通に生活してる人がいるんだ、と当たり前のことを思い、安心する。

その中でもセブンイレブンがあったことが、一番私は嬉しかった。

セブンイレブンに入ると、そこは私の知ってるセブンイレブンだった。


同じ日本でも、離れてみると全然違う文化がある。
頭ではわかってたつもりでも、それは本当に本当につらいことだった。

話す言葉もちょっと違う。
同世代の子ともなんとなく話が合わない。
町並みも歩いてる人も全然馴染みがない。

そんな環境の中でも、セブンイレブンは確かにセブンイレブンだった。

そのことがその時の私にとってどれだけ心強かったことだろう。


そんな町に住んでいたのも、たった4か月と短い間だった。

ハードワークすぎてイヤになり、関西で別の仕事をすることにしてその町は引っ越すことになる。

私はやっぱり都会が好きだなと思い、次の住処はうんと都会にしようと決意したのも何年前のことだったか…。

流れ流れて今は東京に住んでるけど、時々住み込みしてたあの町を思い出す。

海外留学みたいなそんな険しいものではないけれど、あの経験は確かに私を強くしてくれた。

そして、どんな環境でも自分を勇気づけてくれるものはあることを私は知ることができた。

という忘れかけていたことを、帰り道にふと思い出した。


eri

#日記 #エッセイ #人生 #夏の思い出 #コンビニ

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