殺戮にいたる病　ネタバレなし感想

著者は我孫子武丸さん。
「かまいたちの夜」のライターさんとしても有名な方です。

背表紙のあらすじはこんな感じ。

永遠の愛を掴みたいと男は願った。
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねる
サイコ・キラーが出現した。
犯人の名は、蒲生稔。
繰り返される陵辱の果ての惨殺。
冒頭から身も凍るラストシーンまで
恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、
捉えようのない時代の悪夢と闇を
鮮烈無比に抉る衝撃のホラー！

ホラーとは言ってるけど、しっかり叙述トリックを効かせたミステリーものでした。

あらすじからわかるように、
読者には最初から犯人がわかった状態で物語が始まり、主に3人の視点で進んでいきます。

まずは主人公でもあり犯人の蒲生稔。
大学に通っている、見た目は普通の男。
いわゆる異常性欲の持ち主で、自分が殺した女性しか愛せない。
殺害の仕方や陵辱の仕方が結構残酷なので、グロいの苦手な人はちょっとツラいかも。

次に探偵役の樋口武雄。
警察を引退した身だが、近しい仲だった女性を稔に殺害され、犯人を突き止めるために独自で動いていく。

最後に蒲生雅子。
蒲生家の母であり、息子を溺愛しすぎて過干渉になりすぎている、いわゆる「毒親」一歩手前の女性。
犯人の近しい存在として、第三者視点で物語を紐づけていく。

この3人の視点は上手く混ざり合いながらストーリーが進んでいって、構成としてもかなり読みやすかったです。

読者としては犯人もわかっているし、
犯人の視点も細かに描写されている。
ミステリー(謎解き)要素は一切ないです。

でも読み切ったあとには、
「ああ、こりゃ良いミステリー小説だ」
と思ってしまう何かがありました。

これ以上はネタバレになってしまいそうですので、気になる方はぜひぜひ読んでみてください！

トリックじたいは他の小説でも読んだことあったのに、全然気が付かなかった！
悔しい〜！

こういう読書体験があるから楽しいね。

とても素敵な本でした！