A#7 アメリカでビザなし就活し、オファーに近いニアミス案件と、傾向と対策【前半】
前のエピソードはこちら
日本の賃金もそこまで上がらず、諸外国と対比しどんどん貧乏になっていくなか、海外で出稼ぎや育児を考えている方は多いのではないでしょうか?これからはそう考える方の背中を押し、具体的な方法について記事を増やしていく予定ですので、「日本を飛び出したい!」という方はご興味があればフォローしてください。
すでに下記の記事ですでにお伝えしている通り、私はビザスポンサーありの仕事をビザ有効期間内に探すのに失敗し、日本に帰国することになりました。次の一手は今仕込み中ですが、この一連の就活の中で、オファーに繋がった、もしくはオファーに繋がりそうだった具体的なケーススタディを共有し、どういったケースでアメリカにある企業が私のような元日本在住のサラリーマンを求めるのか考察してみます。
有料記事にするか迷いましたが、どちらかというと今後海外(特に日本人のまだまだ少ないアメリカ)で活躍する日本人を応援したい気持ちが勝ったため無料にします。その代わりこの記事に「スキ❤️」をいただけますと大変嬉しいです。
ケース1: 関西に本社がある電子部品メーカーの事業開発マネージャー職
ソース:エージェント
(なお、エージェントについてはこちらの有料記事にビザスポンサー案件に強い会社をリストアップしてます)
この会社からは比較的早い段階で実際オファーをもらい、面接につながったことは勿論、グループのトップの会長も含めた最終面接で良い印象を残すことができ、ビザもE-1ビザのスポンサー付きというビザスポンサー付き求人という観点から「ほぼ」満額回答でした。
なぜこのオファーを辞退せざるを得なかったかというと、主な理由はオファーの金額でした。オファーされた年収はここでは書くことは控えますが、日本円では軽く1,000万円を超えるオファーで、日本であれば問題なくシングルインカム(つまり配偶者の方が専業主婦・主夫)でも問題なく生活できるレベルです。
問題は、勤務地がニューヨークのど真ん中であるという点でした。日本では小室圭さんがアメリカに引っ越されてからニューヨークの生活コストを知った方も多いかと思いますが、年収が「軽く1,000万円を超える程度」であれば税金と家賃を払ってお釣りが残ったり残らなかったり、というレベルです。配偶者が働いていなければ間違いなく貯金を削りながらの生活となり、子持ち世帯であれば生活の維持ができません。
元々住んでいた中西部(シカゴの近く)の比較的生活費が安い地域であればこのオファーでも十分やっていけたと思いますが、ニューヨークに代表される東海岸部、サンフランシスコやロサンゼルスに代表される西海岸部では、日本の物価の物価の2−3倍は見積もっておく必要があり、安易に生活レベルが維持できると思わない方が良いです。事実、カルフォルニアでは現地人でも生活費が上がりすぎ、テキサス州への引っ越しを余儀なくされるなどのケースはよく聞きます。
また、これは日系企業の特徴とも言えますが、なんとアメリカでは「日本語を使って仕事」というのはいくら英語が流暢でも年収が「英語のみ」の普通の仕事と比べ割安です。日本企業は文化的に高給を支払うことを毛嫌いし、採用も金額を上げて早く採用するというアメリカ的な考えを持ったところは少なく、安い賃金を守ろうとします。
傾向:日系企業は賃金が地元企業と比べやすい
対策:求人と住むロケーションをセットで考え、生活コストをよく知った上でオファーレンジを検討し応募すべきかどうか、またオファーを受託すべきか考える。また、賃金が安いのでオファーを断らざるを得ないことは悪いことではない。日本から米国に移住するだけでも心理的ハードルは高いため、無理をしない。もしくは、一度トライしてみよう、と思える場合も日本への退路を確保しておく。
ケース2: グローバルメーカーの自動車部品部門営業職
ソース:知り合い
このメーカーは世界誰でも知っている大企業で、自動車の電子部品を自動車メーカーに開発・販売している会社でした。知り合いがその会社で勤めており、人つてでご紹介(リファーラル)いただきました。
私は今まで医薬品業界のキャリアを積んでいましたのであまり製造業には詳しくありませんでした。アメリカに来て感じたのは、日本のプレゼンスは20年ほど前と比べ下落しているけれども、まだまだ製造業で強いところが残っている、という印象です。特に、北米に自動車工場をもつトヨタ、ホンダ、日産、スバルなどのメーカーは、その関連企業や子会社も併せて北米に工場や営業拠点を設けるため、それらの企業は多くのケースは現地人を採用しますが、日本の本社との意思疎通が求められる職種の場合、日本語ができる人材をリクルートするケースもあります。
こちらも2度面接を行なっていただき、日本語と英語の架け橋をするのは得意だったため、日本人とアメリカ人の面接官が同席していた際に面接官同士会話がうまく噛み合ってなかった場合話をまとめてあげるなどしてプレゼンスを発揮でき、こちらが大きくポジティブに働きました。該当部署のメンバーは私にオファーを出す意思はあったものの、人事・法務の方でビザを出すことに難色を出されることになりお見送りとなりました。
傾向:北米には日本の製造業が多く、常に多くの日系製造業が人材を募集している。その中で日英バイリンガルで、かつ営業職やエンジニア職を担える人材は重宝される。ただし、オペレーションがほぼ現地化されており権限移譲も進んでいる場合米国企業と同じ水準でビザの発行を厳しくみることがあり、そう簡単にEビザを出してもらえない。
また、昨今のナショナリズムが進む中でまず自国民の採用の検討を促しており、企業側も今後のEビザ発行のリスクを負いたくないため、そこまでビザ発行に積極的ではない場合が多い。
なお、アメリカでは知人の紹介、いわゆる「リファーラル」の影響は大きい。ビザなし採用に限らず、アメリカでは知り合いからリファーラルしてもらえると面接まで漕ぎ着けられる可能性がかなり上がるため、自分のスキルマッチが高いと思われる職種の場合、まず知っている人がその会社で働いていないか探してみるべき。見つかれば、その人にリファーラルURLを送ってもらったり、採用担当者に掛け合ってもらえないか聞いてみる。
対策:もし自分の腕に自信があり、ビザの発行に関してクリアなノーが出ていない場合はトライする価値はあり。採用側が欲しい能力を持っていれば社内でビザ発行を検討してもらえる場合もあるが、ここばかりは運に頼るしかない。ケース1のような、より中小企業の方が融通は聞くことがある。
残りの2ケースは後半をご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?