9言語ラジオ学習日記 (第6週): 会話のモッヂボール(誤)
"This is a pen." という文を習って、こんな文どういうシチュエーションで使うんじゃいとツッコミを入れる。
もはやこれは語学をやるうえでの通過儀礼みたいなものである。
誰もがそう思うんだ。どうして最初に習う文が実用性のカケラもないやつなのかって。でも今はとりあえずスルーしておくんだ。みんなそうやって大人になってきたんだ。
……というわけで、初心者向けの例文というのは教える側にとっての頭痛の種である。
ある程度学習が進んでいけば新聞記事や児童文学なんかを教材にできるが、初級の教材はそうもいかない。
その単元で教えたい文法表現や単語を盛り込みつつ、きちんと成立する文章に仕上げる。この両立が難しいのだ。
しかしながら、ストーリーを重視しすぎて学習に使えない文章になったら本末転倒なわけで、どうしても学習内容が優先されることになる。
そういう事情で、語学のテキスト上では時折「そうはならんやろ」という展開の会話が繰り広げられる。
質問を投げかけておきながらその話題を 1ミリも広げずに次の話に移るソフィー。
ケンも律儀に答えていて、なんというか、生真面目な人柄がにじんでいる。
翌日の対話文でも質問を続けるソフィーは、ハチャメチャっぷりがエスカレートしていた。
スポーツの話から肉の話に飛ぶアクロバティックさ。すごいぞソフィー。
"会話文" と呼んでいいのかすら躊躇するほど破綻した会話だったが、こうした例文のおかげで「〜するのが好き」という表現や、非定文での「あまり〜ない」という表現、「〜の方が好き」という表現を学ぶことができた。語学の教材としてはこれでいいのである。
ともあれ、例文を担当された方には本当にご苦労さまでしたと言わざるを得ない。
不思議な会話は、今週のポルトガル語にもあった。
13日の金曜日が誕生日の人がいたときに使える便利なフレーズ。ぜひ丸暗記して、とっさのときに言えるようにしておきたい。
第6週のポイント!
表現あれこれ
初対面のときの「あなたと知り合えてうれしいです」という中国語の定型句に「认识你, 我很高兴。」 というものがある (第25課)。认识 は「認識」の簡体字。こういうふうな表現をするんだなあ。
単語あれこれ
イタリア語で nonno は「祖父」 という意味になる。女性向けファッション誌のイメージからは対極すぎてウケる。
なお、"あの" 雑誌の名前の由来はアイヌ語だったりする。
音写あれこれ
固有名詞を外国語で書くのは案外難しい。
アラビア語の榮谷先生いわく「小野さんも大野さんも宇野さんも(中略) おんなじ綴りになってしまいます」ということで、どれも أونو と書くんだそうだ。
フィッシュ竹中さんがアラビア語をしゃべったら「宇野イナフ」的な発音になるんだろうか (意味がわからない人は『ギャグ漫画日和』をチェックだ)。
第6週の聞きどころ!
中国語: フーテンのプリンス
どこでそんなフレーズ覚えてくるんだ……(笑)。
冒頭でポルトガル語の例文を挙げたが、その際の講座では曜日の表現を習った。これがなかなかおもしろかった。
土曜日・日曜日以外は (あえて直訳すると)「第2曜日」「第3曜日」……という言い方をするらしいのだ。
英語で曜日をどう言うかを思い出してみると、Sunday や Monday のような「太陽」「月」の語に由来するものや、 Tuesday・Wednesday のような神話の神様の名前に関連したものになっている。
他のヨーロッパの言語でも、曜日を表す単語はこれと同じような成り立ちになっているものが多い。ポルトガル語はきわめて例外なのだ。
ポルトガル語にあるような曜日を番号で呼ぶ発想は、なんと中国語と共通している。中国語でも曜日を言うときに数字を使うことは、第3週めに習った (第14課)。
まぁこれは偶然の一致というだけで、別に関連性はない。
そんなわけで、番号の振り方が微妙にズレてる。
ちなみにポルトガル語の segunda や terça は序数詞に由来する単語、つまり英語で言うところの second や third だ。
ちなみに、テキストにはこんな説明があった:
この feira という単語の元になったのはラテン語の feria (「祝日」「祭日」) という言葉で、英語経由で "フェア" というカタカナ語にもなっている。
"フェアプレー" のフェアじゃなくて、"バーゲンフェア" の方のフェアね。
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