何があなたを駆動するのか - マズロー、ハーズバーグ
2016年に独立した当初「どうしてGoogle(のような良い会社)を辞めたのか?」ということをよく聞かれました。まあ一言で言うと私の場合、出産とかいろいろ経験して価値観の地殻変動があったからなんだけど、先日「辞めたけどいい会社ランキング2018」というのでGoogleが1位だったという記事がでました。それによると、要するに「条件的に恵まれている」だけでは仕事って続けられないということで、そう、そのとおりなんです。条件じゃないんです。
その調査、私も一票を投じていたことでしょう。Googleは本当にいい会社でした。記事にある通り、人事制度も、社員が自分のチャレンジに誠実に意思決定をするようにデザインされていました。
ついでに、そのGoogleが具体的な取り組みについて、こんな日本語版ツールを公開しているのも紹介します:「re:Work - 働くをもっとよいものに」
「いい会社」という時、その定義は人によって異なります。「”会社に頼らない、自身のキャリアにおける自律意識の高さ”(:上記ランキングの記事より)を求められるなんて、なんて恐い!そんな社会は嫌!」と感じる人だって、少なくないと思います。
どんな理論にも限界があるように、Googleも完ぺきではありません。でも、目下総体的にうまくいっている会社の取り組みを知っておくのは悪くはない。物事のフレームワーク(型)を知っておくと、今自分が置かれている現実ってどうかなっていう視点で、思考が進みますから。
というわけで、今回キャリコン学者シリーズで紹介したいのは、仕事のモチベーション理論として代表的な「二要因論(Motivator-Hygiene theory)」のハーズバーグ!(と、マズロー)
二要因論は、仕事に関する人間の欲求要素を、満足を左右する「動機づけ要因」と、不満足を左右する「衛生要因」とに分ける。以下はこちらのサイトからの引用にて;
◆動機付け要因(Motivator):仕事の満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」など。これらが満たされると満足感を覚えるが、欠けても職務不満足を引き起こすわけではない。マズローの欲求段階説でいうと「自己実現欲求」「自尊欲求」さらに「社会的欲求」の一部に該当する欲求を満たすものとなっている。
◆衛生要因(Higiene):仕事の不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」など。これらが不足すると職務不満足を引き起こすが、満たしたからといっても満足感につながるわけではない。単に不満足を予防する意味しか持たない。
そんなハーズバーグの理論のベースには、マズローの「欲求階層説(Maslow's hierarchy of needs)」があります。
対比してみるとこんなかんじ;
マズローの欲求段階説は、今更説明不要というくらい有名ですが、人間の欲求は、下位の概念が満たされてはじめて次の段階に進む、というものです。
先日紹介したフランクルの体験などを鑑みると、必ずしもそうとは言えないところもあるけどね。
そして、ハーズバーグの二要因の分水嶺は、「社会的欲求」の段の真ん中あたりにあります。マズロー軸の成長(自己実現欲求のみを示す)・欠乏(生理的欲求~承認欲求)の区分とはまた違います。
例えば、給与そのものは実は「衛生要因」(Byハーズバーグ)に属するので、一定水準(その基準は人によって異なる)より低ければ不満足が募るけど、高いからといってやる気が出るものでもないのです。
一方で、Googleが自己実現欲求(byマズロー)にフォーカスした人事制度をつくっているかどうかとかは関係なく、周囲が憧れるブランド企業に所属していて給与が高いというだけで十分モチベートされる人もいます。ていうか、結構多いです。
まあ、現実に個人がどの辺に分水嶺を持っているかというのは「人による」よね、って話ではあるのですが。
キャリコン試験対策的には、マズローとハーズバーグのスキームをセットで覚えると効率がいいと思うのです。だってほら、並べてみてもさ、
なんか覚えやすくない?
ファンの方からは「えっ、人間性心理学の父を前座扱いですか?!」と言われそうだけど、あまりに有名で多方面に影響を与えているマズロー先生なので、また、他のコラムで友情出演してもらうかもしれません。
どなたさまも、ハッピーなライフ・キャリアを。