七光りの犠牲者
詳しいどころか「好き」というのもはばかれるくらいファッションにはエフォートレスな、つかさまきです。(すなおに言えばズボラです。)
しかし先日久々に、六本木で旧友に会う機会があり、ついでに「ファッション・イン・ジャパン」に立ち寄ってきました。
戦前戦後の物資のない中の創意工夫から、デザイナーが国の個性を背負って世界に打って出た時代。皆が明日への希望に満ちていた時代のエネルギー。そして素材が高機能化してデザインの自由度が高くなってきた傍らで、「サステナビリティ」が新たな挑戦になりつつある近年に至るまでの、ファッションの日本史。
10年刻みの部屋をゆっくりと歩きながら、「このデザイン・・・母親の昔の写真って確かにこんな感じの服だったな」とか「あったあった、このブランドの服が欲しくてたまらない時期が」とか、「ガングロギャルいたよ。渋谷に住みながら別の生き物みたいだと思ってたけど、確かに自分もあの時代の一部だったんだな」とか、
はからずも自分の半生を振り返るひと時になりましたが、同時に何か、過ぎ去りし時代のなりふり構わぬ熱量を垣間見て、一抹の物寂しさも感じました。
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さて、そういう下敷きがあったうえで今日の気になったニュース、
木村拓哉氏と工藤静香氏の娘のKokiちゃん、度重なる炎上で私もその名を覚えてしまいましたが、
まだ18歳の女の子なんですね。足が長く、髪も長くてさらさらで、顔立ちは両親譲りの個性もいいかんじに入っていて、かわいらしいなと思います。
でもメディアの報道をみたら、ハイブランドの演出が国辱だとか(彼女のせいではないでしょう)、大型映画の主演はまだ早いとか(そんなのやってみないとわからないじゃない)、みんな嫌いなのかなって感じ。
今回またインスタ炎上というのでどんな写真かと気になってちらっと見たら、個人的には、え、これでみんなが怒ってるの?って思うのでした。
そもそもあのインスタ、全然個人のじゃなくって、プロの手が入りまくってるよね。わざわざシーンを設計して飾り付けて、さりげなさを演出してポーズとってる写真ばかり。
そこまで感じたところで、ああ、そうか、こういうのがもう時代にあっていないのかもしれないなって思いました。
70年代80年代は、プロが力を合わせてとびっきりかわいいアイドルを作り上げていた。でも、令和はそういう時代ではない。
90年代くらいまでは、若い女の子たちがハイブランドのバックを持っているのが素敵だった。でも、令和はそういう時代ではない。
プロが手掛けた写真は美しく、ハイブランドのバックは美しい
でも今は、いかにもスタイリッシュでお金をかけたそのアウトプットが、かえって時代を読めていない感じで反感を買うのかもしれない。
これは、昭和に一世を風靡したお笑い芸人が潮目を読みそこなった不適切な一言(昔はそこでみんな笑ってくれてたのに!)で、ある日突然、表舞台から突き落とされるのと同じノリかもしれない。
Kokiちゃんのご両親はまさに時代の人たちだったのだれども、それゆえに、素材としては申し分ない娘をだめにしかけているのかもと思いました。
七光りの犠牲者。
本人が悪いわけじゃないと思うから、できれば自分でその保護を払いのけ、逆境をのりきる才能と根性を発揮して、すごい女優さんになってほしいな。
まあ・・・それとはちょっとかなり程遠いとこにいるけども、私も「自分の時はこれが良かったから」という価値観で子育てしないようにしようと思います。かわいい子には旅をさせよ。自分の目で見た世界を、自分の言葉で語れるように。