ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでYoshikiの公演を観ました。
X Japan(エックス・ジャパン)は私が高校生くらいの時に大人気だったヘビメタバンドです。当時私はテレビは見てなくて、聴くのはQueenとかStingとかだったのだけど、パフォーマンスが派手なお化粧バンドという認識でした。ものすごく失礼なことをカミングアウトすると、多分、当時は「聖飢魔Ⅱ」と混同していたと思います。
そのリーダーであった、いまはアラ還のYoshikiの単独公演…クラシカル・ワールドツアーってことは、ピアノをひくのかな?
ロイヤル・アルバート・ホールであるからには一流のオーケストラついててきっと楽しめるだろう!と思い、楽曲も「Silent Rain」しか知らないくらいで行ったのですが・・・
そしたら、想像以上にすごく楽しめました。才能あふれる人なんですね。
コンポーザーというだけあって、全体の編成もすごく良かったです。
大物ゲストも。St. Vincent と Elie Golding が一曲づつ歌ってくれました。
まあ、子供にはこれを生で聴けるありがたさはわからぬか・・・
それからトークがよかったです。昨日のことは忘れている代謝の良さからくる笑い、拙ない英語でもちゃんと伝わってくる優しい心と思いやりが、素敵でした。
だけどなんといっても、ご本人の正体を見たと感じたのは、第二部の最初の方でドラムをやってくれた一幕。鬼気迫るものがあって、そのひとときは全部忘れて魅入りました。
激しいパフォーマンスで頚椎を痛めドクターストップがかかっているということだったのでドラムが見られるとは期待していなかったんだけど、巨大な会場もウオー!と大盛り上がり。コルセットしながらこの年齢でこのパフォーマンスって、若い時はどんだけ激しかったんだろう。今回、生でそのエネルギーを浴びることができて本当に良かったです。感動した。
そして、公演のテーマは「レクイエム(葬送)」だったけど、その中心にいるのが去年亡くなったお母さんだったんですね。特に後半のトークではママのエピソードがてんこ盛りでした。
終わってから、ぎゅうちゃんに全体の感想を聞かれて、つい、その時に考えてた「子供が還暦近くなってもあれだけ好きって思ってもらえる母親になるにはどうしたらいいのだろう」と言ったら「えっ、そこ?!」と呆れられたけど、母ちゃんとしてはやっぱりそこはめちゃくちゃ気になりました。
失礼ながらよく知らないまま予習も何もなしに行ったので、後追いでいろいろ調べて、彼がお父さんを小さい時に自殺でなくしていること、バンド仲間が宗教にハマったり変死を遂げたりしたことを知りました。
生身の人間として壊れないでいるのが信じがたいほどのエネルギー。この手の天才って最後は壊れるイメージがあるんだけど、この人は壊れていない。今もなおエネルギーが溢れ続けていて、映画作ったりシャンパン作ったり服のブランドを立ち上げたり、好きなこと全部やってる。とにかく人間離れしている。興味深い。
それはあるいは、どんな大成功の報告をしても、一言目には「ご飯ちゃんと食べてる?」「ちゃんと寝ているの?」というお母さんのおかげだったのかもしれない。それを本人は「ママはなかなか褒めてくれなくて」という笑えるエピソードとして話してくいたけど、案外それよかったんじゃないか。
あるいは、天使や薔薇の耽美的な趣味は私のものではないけれど、好きなものを好き、美しいものを美しいと言える強烈な素直さも彼のエネルギーの特徴だなと思いました。もしかしたらその素直さがカギかも?だから大量のエネルギーにも目詰まりを起こさずバランスを保っているのか。
熱狂的なファンが多い理由がすごくよく分かりました。映画、見ようかな。
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