【読書】幸福人フー
弱みを人に見せられない・相談できない、社会的成功や他者から承認されなくても心穏やかに暮らしたい。そんな悩みがある就職氷河期世代が価値観を見直せる本です。
著者の坂口恭平さんは躁鬱の波と共に生きています。躁の時は社会を動かすほどのエネルギーがあり、鬱になると寝て過ごします。
それと真逆の奥様・フーさんは、大きな心の波や生活の変化はあまり無く、日々を丁寧に、マイペースに暮らしています。困った時は信頼できる人に相談することができます。お母さんとの関係性が良く相談もできる仲です。
私は困っても人に相談できません。母が面倒な事は見てみぬフリをする人だったので当てにできませんでした。父は仕事から帰ると酒を飲んでばかりで会話はほとんどありません。新しい事をしようとすると否定するので、相談せずに勝手にやって、結果が出たら事後報告。恭平さんも家族に否定される事が多かったようです。
社会的に承認される事が自分の価値だと思い込んで生きていましたが、歳と共にエネルギーが無くなってゆくのに加え、常に誰も頼れない緊張からのストレスもあります。そのストレスが無い人は結果を過剰に気にせず、無駄に力まないのでマイペースに努力を積み重ね、楽しみながら結果を出すのを職場で見てきました。
著者・恭平さんの「いのっちの電話」で救われる人がいるのも、相談できる・吐き出せる人がいる安心感なのだと思います。
「弱みを開示することで、人との情緒的な繋がりを作る」と世界一明るい視覚障がい者・成澤俊輔さんは言っていました。
相談しやすい関係性を作る行動をしていない問題もあります。人見知り、話すのがニガテ、と言い訳をして、傷つくのが嫌で人と深い関係を築いてきませんでした。そうして人と関わらないからますます人とのコミュニケーションが下手になります。
フーさんは、友達の数は多くないようですが、きっと友人や家族にも丁寧に接してきた結果、相談もできる関係性が築けているのだと思います。
今からでも身近な人を大事にすれば、老人になった頃にはフーさんのような幸福人になれるかもしれません。