遺伝子の記憶 浮世雲
朝目覚めれて
三年寝太郎は仕事に出かけた
何も変わらぬ景色に驚き‼️
玉手箱は開けないけど
私物箱の整理で草臥れた
仕事終わり
ふらふらになりながら 辿り着いた
いつもの公園
ピカピカに磨かれたSLが居る
初めてこの地 この公園に来て
観た時に ゾクゾクとした。
ルーツを知って武者震いがした。
幼少期に動いているのを観た
祖父が運転していたであろうD51
そのものが目の前にあるのだから
ゲートが開き人が居る
“お久しぶりです”
三年三か月振りに話す
維持管理をしてる人
色々な話をする。
“実は 家内の病院の付き添いで来た時に
この前を通り....“
いつしか 魅せられ この地に拠点を
構える迄に なったのだと....
いつも話していたが 初めて聞かせてくれた。
“乗っていいですか?”
“どうぞどうぞ”
いつもの様に 運転席に乗り込み
辺りを見回す
不思議な感覚に包まれる
何故か動かしてみたくなり手を伸ばし...
加減弁テコハンドル(アクセル)を
“重たくも軽く 心地よく動く”
”この場に戻って来るために
スパルタリハビリを重ねて来ました“と
言ってはいるが.....
”全く動かなかった手が喜んでいる“
また この景色を眺めながら
お弁当を食べる日々が始まる
”たまには 運転席に 座ってみよう“
遺伝子が喜ぶから...
玉手箱を開けない浦島太郎
三年寝太郎
浮世雲拝