“近くて遠い博物館”. 太古は浪漫ぐらいが丁度良い
“皆さん そうおっしゃられます”
“近くて遠い博物館って”
学芸員のおばさんは呟く
“ずーっと ずーっと気になっていた”
博物館に出かけた
いつも いつも 前を通る
気にはなっていたのだが
入って 驚いた
鎏金獣帯鏡(りゅうきんじゅうたいきょう)
金メッキを された銅鏡が置いてある。
(レプリカ)
出たんですか? これ?
日本では 三枚しか出土していないうちの一枚が 出まして…
他の二枚は福岡で....
漢字もしっかり 読めるくらい
左龍右虎
朱雀玄武
観ていて ゾクゾクする 本物が
目の前にある。
この地の歴史に 凝り
古代製鉄を切り口に調べていた事が
ある。
この地には 深掘りはしてはいけない
何かがあるのも 視えていた
ひとつひとつ 説明を受けながら
観て行く
発掘も されるんですか?
おばちゃんに尋ねた
はい 古墳とか 遺跡とか
おばさんは 言葉を詰まらせる。
この耳冠 〇〇古墳から出まして
それを 発掘している時
“身の毛がよだつ”思いをしました。
霊感は無いと話す
おばさんは 髪をかきあげ
その時の状況を再現してくれる。
入っては 行けないところに
入ってしまったと
おばさんに もしかして
ここ?って 地図を指さすと
おばさんは 驚いた。
“何故 知ってるの?”
ついでに ここと ここは
近寄っては
いけない場所で..
知らずに 自転車で走り回ったら
寝込んでしまったと
おばちゃんは 震える。
そう ピッタリ そこは 立ち入っては
いけない場所なんだと
地図を観ながら 初対面の二人は
顔を見合わせる。
今は 体力気力ないから
その山 自体にも近寄らないから
そうした方が良いですよ
おばちゃんと 色々と話す。
神社仏閣のある場所は やはり
場の良いところ
ただ その近くには
近寄ってはいけない場所もあると
太古から 人々は 敏感に
察知していたんだろうとなと
日本で 一番古い 国宝の仏画も
この地にある。
やっぱり 何かあるんですねー
ここ
“そう 太古の深掘りは
浪漫くらいに 留めておいた方が
いいですね”
初対面の二人の意見は ピッタリと
一致した。
きっと おばちゃんも
動物として 生きてるのかなって
平安な暮らしをする縄文人
浦島太郎な浮世雲
太古は浪漫ぐらいが 丁度良い