ZERO零から 1へ 鮎漁師の呟き
1
匹
御用が終わり 夕餉の肴を獲りに漁場へ
前回は 零ZEROだった
打てども 打てども 鮎は居ない
他の魚の気配すら無い
深場に 鮎達が隠れる
土用隠れには まだ早い
昨日の雨で なのか
水は冷たい
足掬われると 流される
荒瀬に立ち 打ってみるが...
白鷺も 途方に暮れている
先日の高水で 流れついた
一本の長い長い丸木
跨って 途方に暮れて
太古の記憶に浸っていた
“獲れた?”
って問われて
一匹だけ.....
って 応える
なんとも 言えない気持ちは
なんら 縄文人と変わらないなって...
大鉢いっぱいの 甘露煮を摘みながら
今宵も 想う
鮎漁師 浮世雲拝