「アンダーコントロール」
しゃっくりとひきつけの先このせきをゆずっても、ひとりまっすぐなみち
「明日」へポチやタマと名前をつけてやる夕暮れ時の商店街にて
つくろうとしたものですが言い訳は金継も端切れもやわくほとびる
アイニージュ―だけで会いにゆく自由の片端ぶら下がりつつ
抜け殻につけた名前を忘れおり ぼくのかわりに蝉は死にゆき
金魚鉢海をかかえる心地してガラスより薄き手を眺めやる
むくつけき猫の顔したソーダ水、たんさん、でんちのすりきれし午後
サンダルがさんぽ進んで二歩さがる御池通の驟雨聞きぬる
去年今年つらぬく綱のうえ渡るきみが血を吐いているあいだに
地雷原エンドロールは突然に暗がりのなか石を呑み込む
退屈にはさみきれないゆううつのはみだしたぶん世界はちかく
半畳を入れなさんないらいなさんなものういしぐさ夏のおとがい
やくたいもないてんごじゅっこで夜の淵ねきにおいない耳をなめます
鴨川にトランペット尽く日夕まぐれおうちはどっちだったけな
しばられたままで吸う空気がおいしかったな両手をじょうずに掲げ
ここは愛の爆心地、不毛地帯、こんせんとれーしょん。そうめんを茹でる
金襴緞子貧すれば鈍す夢のあと寝汚き午後波はまにまに
回線が込み合っていますぐうの音も出ない九十九折りひとり綴れり
アル中のランボーこりゃもうあかんラカン吐いて退屈を履くハイデガー
いたもうと手にとる10%引きの生鮮は他人事の顔でとけゆく
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