参加型の組織、みんなが自ら参加する場の作り方とやつながりの生み出し方について

「すべては一人から始まる」トム・ニクソンから抜粋に加筆

世界はいま、行動を起こす人々を必要としています。私たち一人ひとりが自身の直感とアイデアを受け取り、それを実現するためにクリエイティブになり、周囲にエネルギーを広げていくことが必要です。

あなたがすごく引きつけられる会社が作っているものや、プロジェクトで作っているものがあったとしても、それをより細かく丁寧に見ていくと、そこには必ずある1人の「創造の源(ソース)」特別な存在がいて、その人がアーティストとして何かを作り出しているっていうことが、本当にそういう人が組織やプロジェクトの中を見ていくと必ず存在するということに気が付くと思います。

「ソース」と呼ばれる創造的な活動の中で特別な役割を果たす1人が存在している

その1人というのは、何か具現化に向けて進めようと最初の一歩をリスクを取って踏み出した瞬間に自然とその役割が立ち上がります。その一歩目を踏み出した「ソース」は、そこから花開いていく具現化していく創造的な活動に対して、特別な繋がりを持つたった1人の存在として、特別な繋がりを持つことができるようになります。

ソースとは人の中にある何か、人の奥にあるもの、何か超越したフォース(力)に突き動かされていたり、イニシエーション(通過儀礼)的な出来事があったり、さまざまなきっかけから自分の内面に向き合う時間を経て、その人の心の奥底にあるものが”何かと繋がっている”という感覚が湧き起こることで、社会の中で自らがソースとして生き始めます。

ソースになるということは、社長になるとか、お金を稼ぐとかそういうこととは全く関係なく、自分自身の創造的な活動、創造的に生きるということです。それをより表現できるようになっていく、という言い方として、ソースとして振る舞って行く、生きていくという表現をしています。

組織の集合知やメンバーたちの個人ビジョンを統合した「共有ビジョン」というコンセプトは、強力かつ魅力的です。しかしすべての答えを知っているかのような独裁者や英雄的な人物がビジョンの唯一の所有者であるという昔ながらの考えは、アップグレードする必要があります。ソースはビジョンを明確にして実現していくにあたって、多くの人たちの助けが必要であり、ときには自分より優秀な人を巻き込む必要もあるのです。

ソースというのは、決して全知全能の神のように全てを、あらかじめ知っているというような存在では全くなく、あくまでソースが大事にすることは、深く深く耳を傾けること。

その自分の内側にあるソースというものがどこかと繋がっているときに、その繋がっているところからきちんと静かに静かに耳を傾けて情報を受け取りながら、それが次にどっちに行くのかってことを感じ取っていくということがソースの大事な役割の1つになります。

クリエイティブフィールドについて

ソース原理(Source Principle)というものがあります。そこでは「組織」という概念を使わず、あくまで一人ひとりが創造する活動に焦点を当てています。

「組織」という概念の代わりに、クリエイティブ・フィールドという、その”活動の場所”に対してフォーカスを当てます。ソースが活動を始めることを、”イニシアチブを引き受ける”というような表現をしますが、それを始めるときに自然と立ち上がるのがクリエイティブ・フィールドというものです。

クリエイティブ・フィールドとは、一つ目は、人であったり、お金であったりと、アイディアを具現化していくプロセスで必要なリソースを引きつける重力があったり、引力があったりするのを引きつける”場”というようなものとして捉えています。

クリエイティブ・フィールドの二つ目の捉え方は、実際にその活動に加わりたい人が一歩踏み入れられる”場所”のようなものと捉えることができます。

これは必ずしもこのスタジオのような物理的な空間である必要はなく、あくまでコンセプトとして、参加したいと思った人が一歩踏み入れて何か一緒にやる、ということができるような場所として捉えることができます。

1つ目は、この境界を守る、クリエイティブ・フィールドというものの境界を守るというのが1つ目の大事な責任、役割になります。どんなアイディアを実現しようとしても、全てのものがそのフィールドに入るということは決してありません。何が自分の作りたい、創造したいものの中の入って、何が外にあるのかということを見極める、そのフィールドの境界線を守るということがソースの大事な役割の一つになります。

2つ目に大事なのは、この「イニシアチブ」創造的なものが実現する”過程”の次の一歩はどっちに向かうのかということを感じ取ることが二つ目の大事な役割になります。それはこっちに行くのか、こっちに行くのかという、大きな次の一歩を感じ取ることが大事です。

クリエイティブフィールドでの役割

ソース原理においては、ソース(Source)が活動を始めると、サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)という役割を担う人が現れます。

サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)とは、あるソースのビジョンや価値観に共鳴し、あるソース(source)の活動の特定の部分において、ソースへの深いリスペクトをしつつ、創造的に取り組むようになったパートナーと言える存在です。

サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)は、グローバルソースによる指名、もしくは立候補のどちらでも生まれうるものであり、その質感は伝播(Transmitting)するものだと言います。

「クリエイティブフィールド」にいる全員がパワーを発揮できていることを確実にすることがソースの仕事であり、それぞれの人が個々のビジョンを具現化している状態を実現していきます。

このクリエイティブ・フィールドの中に踏み込んできてくれた人が、そのソースが思ってもみなかった方向にその活動を豊かにしてくれたり、更に境界を広げてくれたりするということも起こり得ます。これは、その創造的な活動がより豊かに、新しい方向へと、もう誰も思ってもみなかった方にどんどん発展していくような良い成長の仕方、発達の仕方になります。

ただし広がっていくときにメンバー全員の満足を目指すと、すべてが薄まってしまい、イニシアチブからエネルギーが失われる可能性もあります。 このパラダイムには、全員が組織のパーパスへと深く共感しすぎることで、逆に1人ひとりが自分自身の人生における天職を見失ってしまうというリスクがあります。

クリエイティブフィールドの広げ方

本当にソースが明確にできているときというのは、そこからさらにソースが力を発揮するというか、よりたくさん関わっていくということはあまり必要がないことが多くて、それが明確であればあるほど、その中での活動は自然とコラボレーションが起こったり、自然と立ち上がってきたりするということがフィールドの中で起こっていくようになります。

ソースがそうやって輪郭、境界線を明確にできていると、例えばそこにまだ入ってない人で、すごく合うなと思った人をソースが自ら招き入れてきて、ここの部分を担ってほしいと明確に伝えることもできますし、逆に外から、そこは自分がやりたいって言ってすごくいい人が入ってきて手伝ってくれるようになるってことも、どちらも起こりやすくなっていきます。

ソースとして人生で振る舞っている人がフィールドに足を踏み入れてきたときは、なぜ踏み入ってくるかというと、自分が創造したいものを創造する場所としてすごくふさわしそうだと感じるから足を踏み入れてくることが多いです。

一方で、従業員的なマインドセットの人は、何か違ったニーズを満たせる可能性を感じて踏み入れてきてるのかもしれません。例えば、それは生活を安定させられる報酬とか、より報酬を欲しいということかもしれないですし、よい仲間がいるとか、心地よい環境で働きたいという思いと、いろんな異なるニーズあるかもしれませんが、創造的な活動をしたいから踏み入れてくるというわけではないという違いがそこにあると思います。

しかしソースの役割は、リーダーシップであるとは限りません。リーダーシップは何かを実現する過程にどうやって他の人に一緒に入ってもらうかという、人を引きつける、率いるというところについて語っているものというふうに捉えられます。リーダーというのは、そうやって人を引き付けていくという、例えば振る舞い方や振る舞いにより重心があるような表現かと思いますが、一方でソースであるということは、もっとアーティストで、クリエイティブな活動そのものを指しているのがソースというものになります。

ソースが何かを具現化していくときに、自分のクリエイティブ・フィールドの中でリーダーとして人を率いてくれるようなサポートをしてくれる人が、そのフィールドの中に入ってくれるということが大事なことはとても多いです。なぜかというと、ソースとして自分のフィールドの境界を守りながら、何を次にしていくのかということを感じ取るだけでもすごく時間と意識を向ける必要があることなので、そういったリーダーという役割を他の人に担ってもらうということはとても多くありうることです。

大事なことは「ほかの人が創作をしていることやその創作物への深い尊敬(Deep respect for creative potential and what is created)」

何よりも「お互いがソースとして創作していることへの深い尊敬」を持っておくことが必要です。言い換えるならば、「誰もが人生のソースであり、愛してやまないことを創作できる素質がある」という土台への深い理解がとても大切です。

”繋がった何か”から得たいろんなインスピレーションとかアイディアをどう具現化していくのか、どうリアライズ、つまり先ほどアウターゲームと言っていたところに繋げていくか

クリエイティブ・フィールドに踏み込んで、その一部のサブソースを引き受けるということは、決して一番大きなクリエイティブ・フィールドのソースの人に付き従うとか、その人の言う通りにするということではありません。そのフィールドに入ってサブソースを引き受けることが、その人の人生にとって自分を表現することに最も繋がるから引き受けるのです。

ソースとして振る舞う人が増えることによって、より創造的なものが社会の中で作られていくということです。また、そのソースとして振る舞うことの中に愛を持って活動するということも大事な原則の一つに含まれていますが、そういうこともまた社会をより良くしていくことに繋がっていきます。

アウターゲームとは外の世界で、具体的に創造的な活動で作り上げていくということ、外に具現化していくということを表す側のことです。これを進めていくためには、同時にインナーゲーム、自分の内側で何が起こっているのか、自分自身はどんな人なのかということに、とても丁寧に目を向けることが必要になります。これは外の世界の作っている活動が実現するかどうかということに対して影響があるということもありますし、それだけではなく、その活動を通じて世界に本当に必要なものを愛をもって作り出すことができるかというところにもすごく繋がっていることです。


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