見出し画像

とむさんがオランダに放置にされる動画をみた【QuizKnock】


2024年の年末。
YouTubeに投稿されたとある動画が私の中で話題になった。

QuizKnockの『【検証】東大生なら急に海外に放置されても大丈夫説【そんなわけあるか】』である。

未視聴の方がこの記事を読んでいたら、ぜひ先に見てきてほしい。

さくっと概要を説明すると、QuizKnockメンバーのとむさんがオランダに放置される動画だ。
そこでオランダ語にまつわる3つのミッションが与えられるのだが、とむさんはオランダ語は一切わからない。
そう、彼はまったく知らない言葉が飛び交う国に、何も知らされずに放置されるのである。

QuizKnockといえば、伊沢拓司さん率いるかの天才知識集団である。
去年の6月ごろに彼らの“楽しいから始まる学び”の世界に誘われて約半年。
動画をみていて思ったのは、動画に出ているいないにかかわらず、QuizKnockの人たちはみんな知的好奇心旺盛で、学ぶことを楽しむ才能に溢れた人たちだということだった。

今回の動画の主人公であるとむさんもそのひとり。
日本語・英語・ドイツ語の3カ国語を自在に操り、その他の言語にも明るい彼は、未知の言語を解読する動画や言語アキネイターでも大活躍している。
趣味で言語を作っていたこともあるとか。
(ところで趣味で言語作るってなに??『ウエズレーの国』か??)


ここまでの条件が揃っているという前提の上でも、さすがに言葉が通じない国に放置するのは意味がわからない。
そこをやってのけるのがQuizKnockというか……いや、なんかこういう動画を見ていると賢いってすごいなというか、知識があるって楽しそうだなと心の底から思う。
知識が増えるってたぶん、この世の中で楽しめることが増えるってことだ。

実際とむさんは最初こそ置かれた状況に困惑した様子を見せたものの、すぐに行動を開始した。

街の看板を読み、
知っている言語からの憶測を立て、
街ゆく人々に声をかけ……。

見知らぬ場所にいる不安よりも、これからどんな出会いが待っているんだろうかと心躍らせているかのような表情だった。
とむさん、いつもにこにこしていてかわいらしい印象だけれど、普段の比じゃないくらい生き生きとしている。

オランダ語を一切知らなかったはずのとむさんは、街並みや人々との会話にヒントを得て着々とオランダ語を使いこなせるようになっていった。

オランダの人たちもやさしい。
「がんばって!」に相当するのが「Succes!」なの、よい。

というか1日もしないうちにオランダの人たちとオランダ語で会話できているのは、尊敬の意味で理解が追いつかない。どういうことなの。

とむさんは「知っている英語やドイツ語からひたすら推測して脳内で検索をかけている」とさも当然のように言っていたけれど、たぶん私がやろうとしても無理だ。

30分弱の動画を見終えた私はこれ以上ない満足感と「とむさんすごい」の気持ちでいっぱいだった。

衝撃的すぎてもう一回落ち着いて動画を再生し、妹と母にも勧め、結局今日までの間に10回くらい再生している。


外国語が話せる、とか、海外の文化や歴史に明るい、ということについて、私には漠然とした憧れがある。

たぶん、自分が生きている日常とは少し違った世界観に惹かれる質がここでも影響しているのだと思う。
日本史より世界史が好きなのもあって、「ピラミッドに行ってみたい」とか「アンネの足跡を辿る旅がしたい」とか、ぼんやりとした夢をたくさん抱いて育ってきた。
高校生時代には英語のスピーチコンテストに出たり、アメリカに短期留学したり、Young Americansのワークショップに出たりと、広い世界に目を向ける機会も多かった。

ただ、語学という分野に関するならば。
ここまでの私の英語やら第二外国語やらの学習を振り返ってみると、どうも私は語学が苦手らしいのだ。

国際教育に力を入れていた高校での英語の成績はおそらく下から数えた方が早かったし、第二外国語として選んだドイツ語なんて何年頑張っても単位が取れなかった。(取れなさすぎてドイツ語検定2級で単位を換えてもらった。)

だから「外国語が話せるってかっこいい」という気持ちはあれど、語学というものに対して後ろ向きになってしまっている自分がいる。
話せないのだから旅に出るのも当然怖くて、実行できたことなんて一度もない。

けれどとむさんの動画をみて、もしもこんなふうに世界の人たちと話ができたらさぞ楽しいだろうと思った。
未知の世界に自分から(まぁ連れてこられて置き去りにされたとむさんを"自分から"と言っていいかは怪しいが)飛び込んでいくことが、新たな世界を切り拓いていくのをみた。

もちろんとむさんがトリリンガルであること、無茶振りをされたのが元々操れる言語と親和性の高いオランダ語であったこと、とむさんの類稀なる知性と言語への知識など、とむさんだったからできた企画であるのは間違いない。

たとえ私が「えいっ」とオランダに行ったってこうはいかないのは目に見えている。
たぶん遭難して終わると思う。

それでも、見知らぬ国の見知らぬ人々、景色、言葉との出会いにきらきらと目を輝かせ、乾いたスポンジのように知識を吸い込んでいくとむさんを見て、その「えいっ」が出来るようになりたいなと思った。
語学でも語学じゃなくても、自分の興味に導かれて扉を叩ける人になりたい。

ミッションを終え、「2年前くらいのインタビュー記事で話した(言葉の通じない国に置き去りにされる)夢が叶いました」と朗らかに語るとむさん

とむさんの世界の言葉へのあくなき好奇心と、会う人に敵意を抱かせない穏やかな人柄があったからこそできた素敵な企画だった。

……久々に英語やろっかなぁ。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集