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イギリスで列車に乗る 乗務員編
今回はイギリスの鉄道の運転士さん、車掌さんについての話です。これは乗客として鉄道に乗るために必要な知識ではないのですが、ご興味あるかたがいるかもしれませんので、ご紹介します。
運転士
鉄道の運転士とは英語で何というのでしょうか。Motorman? 現代ではこの言葉は使いませんね。もともとの意味は電気で走る地下鉄やトラム(路面電車)の運転士のことを指すものだと思いますが、20世紀の前半でこの言葉は消えてしまったようです。
現代のイギリスで鉄道の運転士の最も一般的な言い方はTrain Driverでしょうか。職業分類サイト(Natinal carriers service 日本でいう13歳のハローワーク的なもの?)でもTrain Driverという職種が紹介されています。
上記のサイトでは運転士さんのお仕事は以下のようにリストアップされています。
check controls and equipment before a journey
運行前の制御装置のチェックdrive the train between stations or freight depots
駅や貨物ターミナルの間の運転speak with control centres along the route about any issues
ルートにおける問題について指令室と通話するfollow track signalling, safety and speed instructions
信号を守り、安全規則や速度規則を守るleave platforms and pull into stations safely
プラットフォームからの出発、駅への入線を安全に行うmake passenger announcements
乗客へアナウンス(自動放送が大半なので例外的なケースでしょうが)control automatic doors
ドアの開閉(自動とあるのは、プラットフォームにいるドア係が手動で閉めるドアもあるので)position and hand over engines to drivers on the next shift
機関車を所定位置につけ次のシフトの運転士に引き継ぎrecord incidents like equipment problems, onboard issues or delays
装置の不具合、車内の問題や遅延の記録
実はドアの開け閉めを誰が扱うべきかで組合と鉄道会社、政府で大論争をしている国ですが、この説明では自動のドアの場合は運転士の仕事としていますね。
待遇面も運転士はいいようです。ストライキばかりしてと評判がよくない点もありますが、乗客の命を預かっているので多少はよくないと続かないでしょう。このTelegraphの記事によるとかなり人気の仕事のようですね。
ちなみにイギリスの鉄道会社では最近女性運転士を積極的に増やしているそうですが、それでも運転士の男女比率は 91.5% are men, 8.5% are women(2024年)とのこと。やはりイギリスの鉄道業界はまだ男社会ということでしょうか。
車掌
運転士とは英語で何というのでしょうか。車掌にあたる単語はguard と conductorという英語があります。世間ではどちらでも通じると思いますがguardはちょっと古い印象であまり使いませんね。保存鉄道の車掌みたいなイメージがあります。
本来は、Conductorというのは、鉄道会社の職種としてあり、Guardというのはイギリスの鉄道法規上の役割の呼び方のようです。事故を防ぐように安全確認をしたり、事故があったとき乗客や列車を防護するのがGuardの役目です。通常は鉄道会社が任命した列車に乗車しているConductorが法令上のGuardの役割を担っています。Conductorの担当する仕事はこれ以外にもいろいろあり、切符を拝見したりするのはConductorとして会社が定めた仕事となります。British Railways時代はGuardという職種で乗車していたようですが、民営化された現代の鉄道会社では使っていないようです。今でも組合とかはGuardを使っていますね。
上記リンクから車掌のお仕事内容は以下のようにリストアップされています。
check the carriages are clean before the start of a journey
運行前に車両が清潔なことを確認するmake sure equipment, doors and controls are working properly
機器やドア、制御装置が正常動作することを確認するgreet customers and create a welcoming atmosphere
乗客に挨拶してウェルカムな雰囲気を作るwalk through carriages during the journey to check tickets and travel documents
走行中に車両を移動して切符やトラベルドキュメントの確認をするanswer passengers' questions about routes, arrival times and connections
乗客のルートや到着時刻、乗り継ぎの質問に答える。make announcements over the public address system
車内放送のシステムで案内をする。make sure passengers get on and off the train safely
乗客が安全に乗り降りするのを確認する。deal with unexpected delays or emergencies, for example a passenger falling ill
予想外の遅延や緊急事態に対処する。(乗客に急病人が出たケース)
以上がConductorのお勤めですが、ところが、最近の鉄道会社はConductorとも呼ばなくなってきてon board ManagerとかTrain Managerとか呼んでいます。on board Managerはconductorと乗客への仕事はほとんど同じですが、guardに相当する役目を持っていないようです。
ドアは誰が閉めるべきかという話もあり、運転士がドアを開けるが、閉めるのは車掌が担当という会社もあるとのこと。たしかに発車時はドアの安全確認をする必要がありますからね。
Many. “Driver opens, conductor closes” (DOCC) is standard on all Great Western Railway high-speed services linking London Paddington with South Wales and the West of England; shorter distances to and from the capital are driver-only.
車内検札
車掌さんのお仕事として車内検札があります。シンプルにTicket Pleaseというだけです。もともとはCan I see your ticket, please?の略なのでしょうが。
Ticket以外にTravel Documentというものもあります。これは本来はパスポートのような身分証明書のようですが、イギリスの鉄道でパスポートを見せろといわれることはありません。定期券やRailCardの割引切符を使っている場合はPhotocardという免許証みたいな鉄道会社が発行した顔写真入りのカードを見せて本人確認します。スマホ版のPhotocardもあるようですが。
ちなみに普段車掌の乗っていないロンドンの地下鉄などでは、特別検札チームが乗車券をチェックしに乗車してくることがあるようです。
アナウンス
車掌さんといえばやはり車内アナウンスでしょう。ルーチンの案内は自動放送が使われているとはいえアナウンスが入ると車掌さんの存在感があります。たまに変わった車掌さんもいて、First Great Westernを使って通勤していたころ私はこの人がアナウンスする列車に乗ったことがあります。本当によく話すのです。
ここまで変わったアナウンスはめったになのですが、意外と車掌さん個人的なコメントがあったりすることがあり面白いです。