人材育成、経営改革の浸透、現場課題の収集に社外メンターを活用
経営者の悩みで多いのは、人材育成、売上利益などの増加、資金調達、製品サービス開発などである。これらを支援するコンサルティング会社は多いが、しかし結局のところいくらコンサルティング会社を雇っても魔法の杖などなく、日々地道に改善活動をしていく他はない。人材育成をしていくためには、くどいくらいしつこく知見などを伝え続けなければならない。売上利益の増加は、日々地道に、ただ着実に真面目に営業活動をするしかない。資金調達は、まずは先々の資金繰りの把握が必要だ。そして製品サービス開発は、地道に顧客意見をヒアリングして、プロトタイプを作成し、試行錯誤して改良していくしかない。世の中にコンサルティング会社はいくらでもいるが、結局のところこれらのことを自社自身で地道に行うことができるかどうかが重要である。当たり前のことを当たり前にできない人が多すぎるため、いかに当たり前のことを当たり前にやることを徹底することでしか苦境を乗り越えることはできない。
それでは社長一人でこれらのことをすべて対応することができるかというと不可能である。そのため、従業員一人一人が会社のことを想って日々真面目に地道に改善改良の活動をしてくれれば、会社全体として大きく飛躍することができる。
しかしながら、やはりそのような前向きで主体的な従業員も決して多くはない。いかに面倒な仕事を減らすか、改善すべきことに気づいても陰で悪口を言うだけで自ら改善しようとしない。なぜなら面倒だから。私も日々多くの人と働いているが、根本的に何に対してもめんどくさがる人があまりに多い。
ではどのように解決すべきか。一つの案としては社外メンターを活用してもいいかもしれない。「1on1」など上司と部下が定期的に一対一で面談し、上司が部下の悩みなどを聞いてあげるような仕組みがある。通常は社内の上司が部下と実施するが、社内ではなく、社外の人と部下、社外の人とその上司、社外の人と社長など、社外のメンターを採用し定期的に面談するような仕組みは有効かもしれない。
社外メンターは通常ある領域で専門分野を有していることが多い。またモチベーションも高い人が多い。そのため、社長自身が社外メンターを使う場合は、社外の知見を吸収することができる。従業員にとっては、キャリアやメンターの生き様などを聞いてモチベーションアップにつながるかもしれない。また転職など上司には言いづらいことも相談できる。月に一度30分程度でいいと思うので、社内の上司と部下だけではなく、社外のメンターと話せる機会を組み込むことがいいかもしれない。
あるいは、経営者と現場との意識にギャップがあることも多いので、たとえば社外メンターを通じて会社の理念、改革の背景・内容を浸透させてもらう、逆に現場の課題を吸い上げて経営者に伝えるなど、経営者と現場との懸け橋となるような使い方も有り得ると思う。そういった懸け橋は、基本的には中間管理職の役割ではあるが、残念ながらただの伝書鳩になっている中間管理職が多いのも事実である。こういったことを補完するツールとしても有効だろう。
一方でデメリットとまでは言えないが、社外メンターを活用するうえでは、予め従業員に社外秘の情報を漏らさないようにするなど、事前の告知は必要だろう。
総合的に考えるとメリットのほうが多いと思うので、ぜひ積極的に検討されてみてはどうかと思う。
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