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新刊の「はじめに」を公開します
「SNSをもうちょっとちゃんとやらなくては……」
「なるべくたくさん投稿しなくては……」
そんなふうに思ったことはありませんか。
そんなことで息苦しくなっていませんか。
「SNSをちゃんとするってどういうこと……?」
「毎日、投稿しなければ落第?」
そもそも、すでに手の届かない影響力を持っている有名人やインフルエンサーの真似をして、どうなろうとしていたのだろう……。
仕事場でも「存在感」が重要になってきて、そろそろ、鍵垢も卒業しなくては……。
渋谷のホテルラウンジでカフェラテを飲みながら、
20代の若い編集者さんと雑談をしていて、そんな話題になりました。
「上司とか親に見られてもいいようなもの、今までやってこなかったんです。ずっと、鍵垢でしたし」
「仕事が詰まっていると、どうしてもまめに投稿できなくなってしまいますね、私は」
「キャリアアップとか自分のステージを上げるために活用できたらいいのですが」
「つまり、SNSでパーソナルブランディング を磨く(=ソ活)っていうことだよね?」
それが本書の企画の始まりでした。
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Log your Identity and Social Activities for the Future.
(未来のために、私の社会との関わりと本質を記録し続ける)
「L I S A F」とは、私がブランドのコンサルティングの現場などでお伝えしているSNS運用のデザインのメソッドをまとめたものです。特に、重要なポイントは、
・疲れない
・自分のペースで続けられる
ことで、「反応」におどらされることなく、「記録(ログ)」としての価値を重視し、自分軸(アイデンティティ)で発信を行うということ。いずれ、時間と共に価値が上がる記録媒体となることがゴールなので、瞬発的な評価(いいね!がついたとかフォロワーが増えた)に一喜一憂する必要がありません。
もちろん、そのような試みの中で、当然良い投稿には「いいね!」もつきますし、時を重ねることでフォロワーも着実に増えてはいきます。
SNSを本当はもっとしたいのだけれども、実務優先で、毎日の投稿が難しい方も数多くいます。そのような方も、たまの投稿を少しだけ戦略的に丁寧に行うことで、その人の存在感はグッと強いものに、そして印象的なものになります。
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「ついついやってしまうSNS」から
「未来に向けてデザインされたSNS」へ
デザイナーの私も太鼓判を押すくらいですが、SNSのデザイン(UX/UI)というものはとてもよくできています。反射的に、身体的に、「ついついやってしまう」「ついつい見てしまう」ようにあらかじめデザインされているのです。
ですから、過分な時間を取られず、できる限り自分のSNSを「最適化」するためには「有料サービス」なども視野に入れてストレスを最低限にした上で、プラットフォーム側のビジネスモデルや利益獲得の仕組みなども理解しておく必要があります。
また、企業のマーケティングなどに関わる方であれば、常々、実感されていることだとは思いますが、最終的にはコミュニティの質が「ウェブサービスの行方」を左右します。つまり、購買力と節度を兼ね備えた「善良な人々」が快適に過ごせる環境(=SNS)が保たれなくなった時、そこまで注ぎ込んだ自分たちの労力も、水の泡になる可能性があります。
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自分軸を固めてから、戦略と表現を磨く
本書は大まかに3つのパートに分かれていて、どれかを読み飛ばしていただいても大丈夫なように、それぞれの目的に合わせてお読みいただける構成になっています。
冒頭は「汝、己を知れ」という言葉通り、アイデンティとは何かにフィーチャーし、「自分ブランドの軸」となる大事な定義づけや目的を確認します(Bland Identity)。「ブランドのDNA」と表現する場合もあります。
中盤からは、ビジネスでデザインを使う上での基本となる「ブランドの人格」としてのデザインについて。企業ブランディングでいうところの「ブランドプリンシパル(Bland Principle)」、すなわち行動指針を固めていきましょう
。
後半からは、「伝わるための戦略と表現」。これは、同時に「ブランド価値を上げるためのデザイン(Design Strategy)」でもあります。「アクセシビリティー」や「インプレッション」などは、皆さんもよく耳にする言葉ではないでしょうか。SNSのプラットフォームでは、グローバル前提の設計ため、「画像の品質がターゲットリーチに大きく影響する」ことは、皆さんも薄々感じているはずです。
アイデンティティは、アルゴリズムに勝利できる?
秀逸に設計され、世界中のユーザーから多くの情報を吸収・発信し、政治や経済の分野にももはや必須のツールとなったSNS。
この、一見、抗えないと思われるアルゴリズムに「人間としての価値」、すなわちあなたのアイデンティティで勝負を挑む。
疲弊したりストレスを感じたりすることなく、「自分の望む未来をデザインで引き寄せる」。
これがまさに本書の「命題」といえます。
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今回、Meta社の秀逸なアルゴリズムについては、以前、原宿に事務所があった時代に案件でもお世話になったジャンルの一人者、ダッシュボード株式会社 代表取締役の古明地氏にインタビューをしています。
Meta社のMeta Business Partnerである古明地氏からは、現状のアルゴリズム傾向も含めて、開示できる限りの情報提供と、私たちの素朴な疑問に丁寧にお答えいただきました。本文中のページに、Q&A形式で紹介していますので、あわせてお楽しみください。
なお、古明地氏のインタビューは、On lineでも配信予定です。以前よりお伝えしておりました、本書の出版記念トークイベントの第1弾はこちらの古明地氏をお招きして、まずは、ソーシャルメディアの動向、アルゴリズムの実態などをお伺いします。
https://app.box.com/s/y0684vd4v1xcbz2ouw58g9j3g3mcpkyp
(ダッシュボード株式会社 代表取締役 古明地 直樹氏プロフィール)
*世界で1人だけしかいないFacebookプロフェッショナル認定を10個保持!
なお、本イベントのご参加には、新刊の購入証明が必要になります。イベントページとお申し込みフォームは間も無く公開予定です。お楽しみに!
( Brand Identity )
01 アイデンティティーの法則
02 アイコンの法則
03 プロフィールの法則
( Brand Principle )
04 主体性の法則
05 一貫性の法則
06 最優先の法則
07 Win-Winの法則
08 理解の法則
09 シナジーの法則
10 得意の法則
( Brand Design Strategy )
11 アクセシビリティーの法則
12 インプレッションの法則
13 信頼の法則
14 独自性の法則
15 シェアの法則
16 構図の法則
17 アングルの法則
18 光と影の法則
19 補正の法則
20 ノンフィルターの法則
(21と22は本文中のどこかに隠れています)
この記事を書いた人
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ウジ トモコ( 宇治智子 / Tomoko UJI )
戦略デザインコンサルタント
アートディレクター
Adobe Community Expert
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。広告代理店および制作会社にて三菱電機、服部セイコー、日清製粉など大手企業のクリエイティブを担当。ウェブ黎明期にフリーランスとして独立し、当時は希少だったWebサーバ「Cobalt Qube」を自宅に導入。先端技術を活かした新しい働き方をいち早く実践する。
デザインの戦略性に着目した「使えるデザインセミナー」ブログがきっかけとなり、2008年、初の著作となる『視覚マーケティングのススメ』を出版。 その後『売れるデザインのしくみ』『デザインセンスを身につける』など、ブランドデザインの実業を軸にしながら心理学やマーケティングなど異分野が交わる分野に可能性を見出し執筆活動を行う。
『生まれ変わるデザイン-持続と継続のブランド戦略-』発刊後、25周年を迎えたインテリア雑貨大手Francfrancにおいて、Scalable Identity System® を導入したブランドデザインガイドラインを策定。現在もオンライン上 francfranc.io に一般公開されている。
デザインセミナーやイベントにも登壇多数。「かごしまデザインアワード」審査員。山口ハイスクールブランドプロジェクトチーフディレクター。老舗や日本の良いものを世界に打ち出すブランディング案件にも積極的に取り組んでいる。
一般社団法人 社会技術情報デザイン研究所(JUSTIDA)の立ち上げに理事として参画。研究論文の発表、デザイン教材の作成、デザイン定量化事業、デジタル領域のデザイン書籍執筆などを中心に活動中。
ベストセラーとなった『デザイン力の基本』をはじめ、近著『人を動かすデザイン22の法則』など、著作はすべて海外翻訳されている。
ウジパブリシティー代表取締役
社会技術情報デザイン研究所理事
日本デザイン学会会員
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