目の奥の、前向きな意志の煌めき
こんばんは。
ゆです。
以前一度読んだことがあったけど、何度も読み返したかった村上春樹が書いた『騎士団長殺し』をもう一度読み返しています。
村上春樹作品の好きな所は、ストーリーそれ自体よりも、ストーリーを語る言葉、文章の流れみたいなものです。独特のリズムや言葉選びが癖になって、かなり長いのになぜかもう一度読み返したくなるんです。
序盤の中で好きな箇所をピックアップしていきます。
固い大地、無限の空、無数の星
離婚を切り出された主人公は、なにとはなしに放浪の旅に出る。行き先は決めず、北へ北へと進んでいく。そんな旅の中で、主人公は自由を感じる。この「自由を感じる」描写がイイ。
「固い大地」から「無限の空」と「無数の星」へとベクトルが向いている。「固い大地」という不動の足場から、「無限の空」「無数の星」へと目線が変わるその動きが、読み手の中の自由をより一層かき立てる。
好き。
目の奥にある、前向きな意志の煌めき
その後、主人公は自分が元妻との馴れ初めを語る。一目惚れだったそうだ。彼女の何に惹かれたんだろうか?
「目の奥にうかがえる何か」に心惹かれたらしい。安易に表現するなら、「目の輝き」だけで充分だ。そこを、「前向きな意志の煌めき」と「生きるための確かな熱源」と二度言い換える。「煌めき」と「熱源」。ほんと、グッとくる表現だ。
ところで、「輝き」と「煌めき」のそれぞれから受ける言葉の印象は少し違う。何が違うんだろう。辞書を調べたらほとんど同じ意味だったので、言葉の響きと字面から受ける印象だけで考えたい。
「輝き」と「煌めき」
まず、「煌めき(きらめき)」の方がませていて、オシャレな気がする。日常を振り返ると「輝き(かがやき)」「輝く(かがやく)」の方が、普通に会話で使っていてもおかしくない。
また、「輝き」には動きがないと思う。「煌めき」は「火」を含んでいるからか、「炎がゆらゆら燃えている」イメージを連想させ、動きがあるように思う。
細かいところだが、「煌めき」と「熱源」のワードチョイスは流石だ。
終わり。
早く続く読もう。
じゃあまたねー!