あんときのデジカメ 讃岐の梅雨入り with GE E1480W
(はじめに)観測史上、最も遅い讃岐の梅雨入りとなりました。連日、曇天と雨天が続きますが、今回は、少しモノクロームな讃岐の梅雨入りを、エジソンが創業したGEのE1480Wでスケッチしてみました。
梅雨の湯豆腐
今年の讃岐は、観測史上、もっとも遅い梅雨入りでした。6月なのに五月晴れが続き、梅雨らしくない光景に驚きましたが、いよいよ梅雨本番です。
梅雨時の珍しい情景といえば、やはり「梅雨冷え」です。
驟雨降り注ぐ雨のせいでしょうか? にわかに蒸し暑い梅雨時とはうってかわった底冷えが訪れると、思い出されるのは「湯豆腐」です。
筆者が尊敬する時代小説家が池波正太郎先生になります。氏の傑作短編集のひとつが『殺しの掟』ですが、そのなかに「梅雨の湯豆腐」があります。
豆飯を台所のかまどへかけておいてから、彦次郎は湯豆腐と焼海苔で酒をのみはじめた。梅雨の冷えに、湯豆腐はことにうまい。
(出典)池波正太郎「梅雨の湯豆腐」、『新装版 殺しの掟』講談社文庫、2007年。
いわゆる殺し屋という江戸の暗黒を描き、仕掛人・藤枝梅安シリーズの先駆けとなる秀作です。池波作品は本格的なものから手軽な一品にいたるまで料理の宝庫と評されていますが、独り暮らしの男の手料理にちょっと工夫を加えた彦次郎の晩酌を、筆者自身、この季節の楽しみにしています。
しかしながら、梅雨入りしたばかりで、梅雨冷えにはなかなか巡り会えません。「梅雨の湯豆腐」はちょっとお預けですね。
梅雨入りの前日(2019年6月25日)の光景。梅雨時なのに五月晴れですよね。
トーマス・エジソンのデジタルカメラ
梅雨になると、カメラが壊れてしまうことをおそれて、撮影枚数が減ってしまいます。防水カメラという手もありますが、今回は、2010年に発売されたGEのコンパクトデジタルカメラを使ってみました。
GEって何? って誰何されそうですが、ハイ、カメラメーカーではなく、アメリカ合衆を拠点とした電気事業を軸とした多国籍コングロマリット企業です。日本法人では、「デジタルの世界と物理世界とを融合し、まったく新しい産業の時代を拓きます」と掲げていますが、ピンと来ないかも知れませんね。わかりやすく言えば、発明王トーマス・エジソンが創業し、家電から航空宇宙産業まで手がけるアメリカを代表する多国籍企業とでも言えばいいでしょうか?
そのGEブランドのカメラなど光学機器を扱うジェネラル・イメージング・ジャパンが製造販売したのが今回紹介するコンパクトデジタルカメラになります。
やすく手に入れたこともあり、そして後述するとおり、癖のあるカメラですので、雨で壊れてもOKかなと開き直って、讃岐の梅雨入りを今回はスケッチしてみました。
発明王を淵源とするGEのデジタルカメラの性能や、いかに?
ちょっとこのカメラやばくね? あるいはエジソンのトイカメラ
では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、画素数1410万画素ローパスフィルターレス1/2.3型CCDで、さすがに2010年製ですから、1000万画素超えですが、cmosではなくCCDを使っています。レンズは35mmフィルムカメラ換算で28mm~224mmの光学8倍ズームレンズです。
どこにでも転がっているコンパクトデジタルカメラの仕様といえばそれまでですが、8倍ズームですから、この辺はありがたいつくりです。気軽にちょっとした望遠が活躍できます。ただしF値は、F3.3-F5.8と暗く、ブレに注意する必要があります。
撮影していて全般的に感じたのは、
「ちょっとこのカメラやばくね?」
……ということです。
作例をご覧になってもおわかりかも知れませんが、周辺のゆがみや露出不良等など、作画がほとんど「トイカメラ」状態になってしまいます。露出に関しては、スポットが正確なのかも知れません、きちんと合わせると問題ない場合もあるのですが、トンネル効果含めて、ホルガやLOMOで撮影しているような感覚です。
個体差があるのかも知れませんが、これでは、きちんとした写真をとるという意味では勝負にならないだろうと思いますが、これはこれで割り切って、「楽しみなさい」というエジソンさんの贈りものってことでしょうかね?
ということで撮影データ。マニュアル撮影(という表示ですが実はプログラム撮影)。ISO100、露出補正なし、ホワイトバランスオート。画像は14Mで保存。撮影は6月25日~6月30日。撮影場所は香川県善通寺市、三豊市。
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。