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一日一頁:ハンス・ケルゼン(長尾龍一・植田俊太郎訳)『民主主義の本質と価値』岩波文庫、2015年。

再び民主主義論の古典を読んでいる。


「民主主義の根幹には同意(コモンセンス)があり、それは多数決による勝敗民主主義とは相容れない」とは松村圭一郎(『くらしのアナキズム』ミシマ社)の指摘だが、多数決原理は勝敗原理とは異なるものだという純粋法学者の指摘には瞠目したい。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

 議会制の多数決原理は、まさにこの階級支配を阻止するためにこそ適している。そのことは、この原理が経験上少数者保護と親和的であることにすでに示されている。なぜなら、多数派ということは概念上少数派の存在を前提としており、それゆえに多数派の権利は少数者の存在権を前提としているからである。そこから、多数者から少数者を保護することの(「必然性」とまでは言えないかもしれないが)「可能性」が帰結される。いわゆる基本権・自由権・市民権の本質的役割はこの少数者保護である。

ハンス・ケルゼン(長尾龍一・植田俊太郎訳)『民主主義の本質と価値』岩波文庫、2015年、73頁。


氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。