
一日一頁:岸見一郎『ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方』集英社、2022年。
学ぶことに限定されない話だが、みんな誰かと戦う、勝つため、相手を陥れるために「生きているのか?」
競争が目的になった人生ほどさびしいそれはないだろう。
ちなみに福沢諭吉にしたがえば「楽しいから勉強する」というただそれだけのシンプルな話だ。
学ぶことに目的を設定し、その上、他の人と競争する人がいます。そのような人は、例えば、大学受験を競争だと見ます。しかし、受験勉強が競争であるかは自明のことではありません。
受験に限らず、多くの人が人生を競争と見ています。幼い頃から何でもかんでも競争させられるからです。それほど競争はありふれたことですが、だからといって、競争することが当然ということにはなりません。
今 の世の中、競争することは当たり前のように考えられています。アドラー心理学者のリディア・ジッハーは「競争はありふれたこと(usual)ではあるが正常(normal)ではな「人間は協力し貢献するものであって、生まれながら協力の感覚を持っている」といっています(The Colected Warks ofLydia Sicher)。子どもたちをほめたり叱ったりして育てると、親が必ずしも意図していなくても、子どもたちを競争させることになってしまいます。
もしも親が勉強ができることに価値があると考えていれば、子どもの成績がよくなければ叱るでしょうし、成績がよい子どもをほめます。そのため、きょうだい間に競争関係が生じます。最初はどの子どもも勉強しますが、兄や姉があまり優秀であれば、勉強では勝てないと思って勉強しなくなることがあります。
いいなと思ったら応援しよう!
