あんときのデジカメ 雨はどんな形で降るのか 讃岐の梅雨路を歩きながら考えた with OLYMPUS μ790SW
(はじめに)気象庁によれば「やや強い雨」と「強い雨」には違いがあるそうで、指摘されると確かにそうです。ものごとを十把一絡げに理解しないほうが毎日は楽しいかも知れません。そんなことを考えながら、讃岐の梅雨路をオリンパスのμ790SWでスケッチしてみました。
十把一絡げに「雨」を理解するのではなく
最近、雨についてあらためて調べて考えています。例えば、雨粒の大きさは、通常は直径1mm前後といい、最大でも6mm程度の範囲内にあるとされます。「微小な雨滴(直径0.5mm未満)による「弱い雨」は「霧雨」と呼ばれ、雨とは異なりますが、「積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊」は「ひょう」と呼ばれます。
気象庁によると、この季節に特有の「夕立」は「備考」として「夏期のみに用いる」とされ、1時間の雨量(mm)が「10以上~20未満」の場合は「やや強い雨」、「20以上~30未満」は「強い雨」と区別されています。やや強い雨と強い雨の違いは(「人への影響」)は、「地面からの跳ね返りで足元がぬれる」ことと、「傘をさしていてもぬれる」ということです。
たしかに、「地面からの跳ね返りで足元がぬれる」雨と、「傘をさしていてもぬれる」雨には違いがあります。概念上のことではなく経験的にその違いは理解していると思えます。しかし、改めて雨の「多様さ」を考えてみると、私たちは日常生活のなかで、「雨」を乱雑に扱っていたのではないかとさえ思われてきます。
「やや強い雨」と「強い雨」には歴然とした違いあります。しかし、十把一絡げに「雨」として理解し、生活してきたように思われ、少しだけ反省しております。
雨はどんな形で降るか
では、雨はどのような「かたち」で降るのでしょうか? 雨は「五感すべてで体験できる身近な存在」と語る北海道大学名誉教授の藤吉康志さんは、次のように語っています。
実際には、直径3ミリ以下の雨粒は表面張力によりほぼ球形です。それより大きいと空気の抵抗力が強くなり、下が平たい鏡餅のような形になります。そして直径9ミリ以上になると、すぐに破裂してしまいます。(出典)「リレーおぴにおん 雨にうたえば:6 直径2ミリの雨、美しい虹に 藤吉康志さん」、『朝日新聞』2019年07月04日(木)付。
一粒一粒の雨は、「球形」あるいは「下が平たい鏡餅」のような形で降るそうですが、それを視覚的に理解するのはなかなか難しいものがあります。
私は講義の初めに「雨はどんな形で降るか」と尋ねます。涙形や球形という答えが大半ですが、少数の学生は「線」と答えます。ゴッホにも影響を与えた歌川広重の浮世絵など、日本画では雨を線で表現するのは特別なことではありません。秒速10メートルに近い速さで落下する雨粒を肉眼でとらえるのは難しく、確かに線に見えますね。(出典)「リレーおぴにおん 雨にうたえば:6 直径2ミリの雨、美しい虹に 藤吉康志さん」、『朝日新聞』2019年07月04日(木)付。
落下してくる雨粒は、その空間における時間の移動によって、「線」として私たちの目には写るという指摘ですが、これが雨の降り方のひとつの認識ではないでしょうか。確かに線に見えます。
しかし、実は、これを写真で表現しようとなると結構難しいんですよね。露出時間を長めに設定して雨の移動をスケッチするということになりますが、コンパクトデジタルカメラでは苦手な分野となってしまいます。筆者自身、「写真はスナップショットに意味がある」なんて考えていますから、三脚を立ててみたいなことは殆どしませんので、この季節になると雨を写真として再現することの難しさを実感しています。
1台あると便利な防水/防塵/耐衝撃機能を備えたカメラ
さて、梅雨も終わりそうな気配ですが、今回は「雨」をテーマにして、2007年8月発売のオリンパスのコンパクトデジタルカメラμ790SWでその様子をスケッチしました。
では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、1/2.33型有効710万画素CCD、レンズは35mmフィルムカメラ換算で38mm-114mm(F3.5~5)となります。画素数やCCDなど当時のエントリークラスの同じ「凡庸」なものになりますが、広角端が38mmという点はもう少し頑張ってほしいところです。加えて、広角端および望遠端でのf値の暗さが、ブレやすくなってしまのが難点でしょうか。
さて、このカメラの「ウリ」は、「水深3mの防水性能、高さ1.5mからの落下衝撃に耐える防水/防塵/耐衝撃機能」を備えている点です。ただし、いわゆる「IPX」の保護等級には対応していません。もちろん、中古で完全な機能が保障された状態で手に入れましたので、風呂桶にドボンと投げ込んで撮影したりはしていませんが、それでも少々の小雨であれば、問題なくシャッターを切ることが出来ました。この季節はカメラを持ち出すのに不安を感じる時期になりますが、こうした1台を持っておくと安心して撮影できるものです。
先に言及した通り、降雨の降雨らしい「線」を切り取るのはなかなか難しいものがありますので、今回は、着地した雨で「雨」の雨らしさを再現してみました。花々を包む雨露はかえってその色をより味わい深いものへと変化させているように感じました。
梅雨はじとじとと鬱陶しい季節ですが、雨の多様さを改めて理解したり、その姿をじっくり観察したりしてみると、「雨」と一口に語り、思考を深めることを退けるようなことは「野暮」のように思えてしまいます。
以下、作例です。拙い写真ですが、ご笑覧下さればと思います。
ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、露出補正なし、ホワイトバランスオート。画像は2048×1536で保存。撮影は7月18日~19日。撮影場所は香川県善通寺市、三豊市、仲多度郡琴平町。
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。