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新しい宇治のミーティング(仮) VOL.1~はみ出して 楽しく 超えてく つどい~

宇治で新しいミーティングが始まりました。
およそ1年前から隔月ごとに、
ソーシャルワークに興味のあるメンバーが集まって、
「ああでもない、こうでもない」と構想(妄想?)を続け、
ようやく第1回目にこぎつけました。
ただの研修会ではなく、宇治で素敵な行動を起こしている人の活動内容や経緯、
その人となりをご紹介いただいて、会場全員のクロストークで意見を交わし合う。
リフレクション・ミーティングというのだそうです。
それぞれの制度や分野に閉じ込められて、結果や結論を早急に求められる息苦しさ。
その価値や魅力が社会でシェアされず徒労感を感じてしまうこの頃…。
地域共生と言われる今、一番必要なこと
「一人ひとりの思いを大切にして、互いの生き方を認め合う」
合言葉に、時代に必要なアクションを見つけていくことを目的としています。

ただし、ここに「正解」はありません
「こたえ」を出すこともありません
ともに生きる意味を感じ合うことから始めていきましょう

司会の川北さん
趣旨説明を丸山から
ファシリテーター 羽鳥さん

今、わたしが、わたしたちが、
宇治でソーシャルワークで「はみ出して」働くワケ

前半ゲストトークの1人目は、小畑治さん

私がなぜ、就労支援をしているのか、お話します。
元々は千葉県銚子市のそばにある大規模施設(障がい児入所、障がい者入所、特養)で児童福祉に携わっていました。
その中で、入所児の人生がこの施設内で完結してしまうことに
すごく違和感を覚えました。
その後、縁あって京都に来て同胞の家(宇治市)で20年間、障がい者の就労と地域で生活する支援を続けました。
そのうちに、どうして何かしらの個別な配慮を必要とする人たちが一つの場所で働かないといけないのだろうか?
なぜ障害のある人の働くことが、もっと地域社会に吸収されていかないのだろうか?
という問題意識がつのってきたのです。

50年後の「働く」事においては、現在あるような一か所に集まる環境ではなく、
地域・社会の仕組みが変わり、障がいのある人の働き方が地域に吸収され、
私たちはその地域企業の中でコーディネートして汗水流していく。

そんな働き方をイメージしながら、地域に出て、
企業とつながって仲間と日々働いています。
今は、昼間皆が仕事に出払って、
事業所に誰も残っていない状態
を目標にしています。
活動としては、清掃作業やカフェ運営、エコボール、食器リユースプロジェクト
などがあります。
どれも、地域の人々に知ってもらうことが大事で、
たくさんの縁に支えられています。

小畑さん(就労ネットうじ)

くりくまの丸山さんとは、販売活動や清掃作業で協業していますし、市橋校長には、何度も何度も意見交換して制作した「トビウオくんの絵本」を、小学校で読み聞かせる取組みに熱心に関わっていただきました。https://sn-uji.or.jp/activity/keihatsu.phpこれからも、働くということを皆で一緒にやってきますので、よろしくおねがいします。

ゲストトークの2人目は、丸山真由美さん

このミーティングの副題にある“はみ出して“が気になって仕方がなかったんです。それで「私、はみ出してますかぁ?」って、この1~2ヶ月間、
色んな人に聞いて回ったんです。
概ね、皆さん「はみ出しているけど大丈夫よ」って言ってくれるので
「やっぱりはみ出しているんだなあ」と認めて、活動紹介をします。
自己紹介は、別紙の京都新聞山城版‘随想やましろ’に掲載されているので、
斜め読みしてください。

デイサービスセンターくりくまでは、お世話するされるの関係ではない、
支え合い認め合うチカラが‘つくる’を生み出す、を合言葉にしています。
モノをつくるだけではなく、一緒にいる時間や人間関係、生きる力とか
色んなものを‘つくる’と表現しています。
でも、スタートした頃は、何をしたら良いのか分からず悩んでいて…。
ある日、ご自宅の庭で野菜を一緒に収穫し、料理を教えて貰いました。
それで、なるべくその人のことを知るように注力しました。
元大工の男性は、困っている私を見て、
‘姉ちゃん大丈夫か?古いもん(年寄り)を使いや’とのご指導。
そこで、何かしてあげるではなく、私たちが学ぶ場にしようと思いました。
またある方は、‘何か儲かる仕事あったらするよ?’と
役に立ちたい思いを伝えられました。
じゃあという事で、モノづくりをするようになったんです。
でも、販売ルートを持っていなかったので、
ゆめハウスさんに委託販売をお願いしたんです。
初めて販売収入をいただいたその日に、
銀行に行って「くりくま協同」の通帳を作りました。
今では色々なものを受注製作して、
その謝礼収入が皆のモチベーションになっています。

ゲスト 丸山真由美さん(デイサービスくりくま)

また、子ども達とのかかわりでは、
木工細工でのこぎりやキリの使い方を教えたり、
下校時の見守りパトロールに行ったり、
音読を聞いてあげる等の活動をしています。
高齢者にとっては、自然と笑顔があふれて、身体が動く、絶大な効果があります。そして、子ども達が大きくなって何かの時に思い出して、
その意味や大切さを感じてくれれば良いなあ、と思っています。

ソーシャルワークとは異なる分野からの「はみ出し」

ゲストトークの3人目は、市橋校長

私がこの集まりにいる理由が本当の所よく解っていませんが、
自己紹介していきたいと思います。
生まれは福井県越前市、いまも囲炉裏が活躍するど田舎です。
プライベートで弁当作りにはまり、
3年前からは宇治市老人園芸広場に通っています。
春はじゃがいも・玉ねぎ、夏はスイカ・メロン、冬は白菜・大根を栽培。
海外にいる息子をライバルと思って、生涯学習に勤しんでいます。

教師としてのモットーは、
子ども達が、今生きていることを思いっきり楽しんでほしい、ということです。
教師のキャリアをスタートした頃の話です。
小学5~6年の2年間、全く学校に来られなかった不登校のA 子。
クラスで毎日点呼を続け、毎日ノートを自宅ポストへ届けました。
卒業式だけは出たい、という本人の希望に反し、練習に顔を出すことはなく、
本番当日の朝も来ていない…。
30分遅れてくる彼女のために、開式を遅らせてスタートした卒業式。
卒業証書授与式で、私の呼名はこみ上げる感情で声にならず、
クラス全員が嗚咽を漏らしながら退場した…そんな思い出が蘇ります。
あれから40年間、宇治市内多くの小学校に赴任し、
宇治市役所で教育委員会の仕事も経験しました。
60歳を過ぎ、再任用校長としていま3年目。
「安い給料でよくやるなあ」と言われますが、苦にもならず楽しくやっています。

ゲスト市橋公也さん(北小倉小学校長)

私が少しはみ出していること
他の校長がやっていないだろうことをいくつか挙げます。
ちなみに、新聞には計14回程取り上げられました。

同僚間では、‘先生’と呼び合わない。だれだれさんと呼ぶこと
〇文章作成やハラスメントの研修講師を、私自身が続けている
なぜなら、教師は非常識になりやすいから。
〇宇治学(小・中学校における総合的な学習の時間)を
ゆめハウスやみっくすはあつさんと一緒にやっている
〇明日の雪遊び
兵庫県から雪10㌧(ダンプ3台分)を運び入れ、雪山を作ってそり遊び
〇チャイムを鳴らさない取組み
ノーチャイムウィーク、ノーチャイムマンスで、受け身から主体性の喚起を
〇各種コンクールへのチャレンジ支援(管理職のみ)
累計4名が見事入賞しました。

これらはソーシャルワークとは違いますが、前のお二人が取り組まれていることと教職員の持つ役割とは、重なる部分が非常に多いと思います。


前半ゲストトークの様子

ゲストトークの合間には、ファシリテーターの羽鳥さんと土田さんを交えた
クロストークが展開されました。
土田さんからは、
「お三方とも、その人を丸ごと受け容れて、人を巻き込んで、形にされている。
これが、超えていくという事なんですね」との感想が、
羽鳥さんからは、
当たり前と思ってやっていることがはみ出してしまうのが
今の世の中なのかもしれない。利用者と共につくっていく生活、
子ども達と共につくっていく教育の大切さ
を再認識しました」
とコメントが添えられました。

ファシリテーター土田さん

リフレクション・ミーティングの輪を広げる


後半は、5~6人毎のグループによる、自己紹介と感想を言い合うフリートーク。

各グループによるフリートーク

わたしのグループで交わされたトークを紹介します。
「はみ出さず、同調性が強くなってしまうことで、個性や多様性が失われたり、
自分らしく生きる価値を見失いがちになる、という負の側面があるのではいか。
はみ出すことは、むしろ健全なことなのではないか。」
「何らかの障がいがあって社会から孤立してしまうケースが多いが、
はみ出しても良い価値観がもっと普及して欲しいと思う。」
「制度で救えない人たちを、やむにやまれず無認可、手づくりで活動してきた
熱心な福祉事業者さんが頑張っている一方で、
いったん制度ができあがってしまうと色々な事業者が市場に現れて、
質の担保が難しくなってきている面がある。
支援することと、尊厳を守ることとが、イコールと言い切れない感じがする。」
「思いのある小さい事業者が、収益性が低いためにやっていけなくなるのは困る。はみ出して、素晴らしい活動を展開しているのに、
事業の継続性にリスクを抱えてしまうことにジレンマを感じてしまう。」

6グループのトーク内容が会場全体に共有された後、
登壇者より最後の感想をいただきました。

小畑さん
ぶれない事をやり、ぶれる事はやらないスタンスでいることが、
あとあとの評価につながると思って、これからも頑張ります 」

丸山さん
「大事にしているもの、考え方、ビジョンがお互いに共有できました。
はみ出していて良かった。」

市橋さん
「コミュニティスクールに発展してきたが、まだまだ拓かれていない。閉鎖的にならないよう、皆さんの方からどんどんノックして欲しいし、これからも拓く活動を続けていきたい。」

土田さん・羽鳥さん
「この会場の皆さんの熱い思いを聞けて、大変うれしかったです。
そして、第1回目のゲストがこのお三方で本当に良かった。
本日は、ありがとうございました!」

新しい宇治のミーティング(仮)を終えて ~感想~


小畑さんが、障がい者への支援というよりむしろ、
社会がかれらを包摂できるように、地域社会を治療しようとしている、
その思いの強さに私たちの鼓動は高まりました。勇気をもらいました。
丸山さんが、利用者と社会のつなぎ目としての
人間の営み(モノづくりや世代間の教え伝え)をとっても大事にしている
そのこころを、ひとは真心というのでしょう。
市橋校長によるA子さんのエピソードに私の心は震えました。
(きっと皆さんも)
「人を想う」気持ちに感動したからです。
ひととして最も大切な「人を想う」ことによって、
当たり前のことが当たり前でなくなるのだと思い知りました。

お三方に敬意をこめて、ありがとう。
そして、共鳴してくださった会場の皆さんに感謝です。
それにしても、予想を超える反響でたいへん驚いています。
次の企画は、どうしたものか…。ご意見お待ちしています。

開催日 2025年1月24日(金)18:30~20:30
開催場所 東宇治地域福祉センター2階
(報告者:丸山貴司)


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