『人間中心設計入門』で整理するUXとデザインの基礎
デザイン学校で提供された書籍の中に「人間中心設計入門」がありました。
これは「UXデザインの教科書」と並んで受け取ったもので、前者が丁寧な教科書のような内容だった一方、この本は比較的薄く、文字も大きくイラストも多いため、読みやすさが際立つものでした。
しかし正直に申し上げると・・・読みやすいだけに印象に残りにくかったため、今回改めて1年ぶりに流し読みをしてみました。ただその結果として、HCDの基本から多様な設計手法まで、頭の中が整理される感覚を得ました。
1.改めて流し読みをしてみて
人間中心設計(Human Centered Design|HCD)を行うために、HCDとは?から始まり、ユーザビリティの定義、ユーザーエクスペリエンス(UX)とは何か、デザイン思考の方法などがさっと書かれ、HCDの開発プロセスについて書かれています。HCDの開発プロセスではさらに各プロセスごとに、利用状況の把握、その分析手法、そこからのアイデア出し(デザイン)、そしてデザイン評価という内容が書かれています。
つまりUXデザインの教科書において述べられているものが、簡潔にまとめられているという書籍になります。
今読んでみると、その後に色々と読んだ書籍の大事な部分がピックアップされて掲載されているまとめ書籍なんだと思います。
例えば、UXにおいて書かれている3つの処理レベルと行為の7階層サイクル(ノーマン)の図や、ジャーニーマップやサービスブループリントの例、ビジネスモデルキャンバスの図など一通りの網羅がされています。ただ、これを見て実際にできるのかというとこれでは浅すぎてわからないので、それぞれ該当する書籍などを読みながらさらに知識を深める必要があります。
ただ一通り読んだ後にこの書籍に戻ってくると、一通りのまとめがされていて頭野中が整理される感じがしました。
2.印象に残った言葉
各方法論については浅いのですが、HCDで何を目的とするのかというようなそもそもな点について、著名な方の言葉を書いてくれているのは、デザインシステムなどでデザインの方向性を決める際にも参考になると思いました。
その中でもユニバーサルデザインは、自身が医療ヘルスケア領域でのアプリ開発などに携わっていることもあり、とても興味深い言葉でした。
ユニバーサルデザイン・・・
多様なユーザーに対して、それぞれの特性や利用状況に適合した製品やシステムやサービスを設計し、それぞれのユーザーが確実に目標を達成できるようにすることです。
そのユニバーサルデザインを語る時に必ず引用されるのが、ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンターで活動したロン・メイスらの定義と7つの原則とのことです。
3.この書籍の活かし方
この書籍を再度手に取ることで、HCDの基本とその活用法を再確認することができました。特にデザインシステムの方針づくりにおいて、これらの基礎的な考え方をうまく組み込むことで、より強固で柔軟な方向性を築ける可能性を感じています。
初読時にはあまりピンと来なかった部分も、一度深く関連知識を学んだ後に再び触れることで、全体像がしっかりとつかめるのは確かです。こうした書籍を再訪することで、知識を補強し、自分の中に体系的に落とし込む大切さを再認識しました。
なおAmazonの書評を見ると、様々なフレームが乱立して記載されていて理解しづらいという言葉がありましたが、確かにいきなりこれを読むと頭に入ってこないです。ただこれを読んでなんとなく把握して、それぞれの内容を読んで深く入り込み、再度この書籍に戻ると全体と詳細をバランスよく把握できるのかな、と思います。